私学探検隊

キリスト教に基づく心の教育を実践。愛と平和の心を携えて、生徒たちは旅立ちます

明治学院は創立151年目の、日本で最も古い私学の一つ。英語教育に定評のある、プロテスタントの伝統校です。最近は他大学進学に力を入れるなど、新しい動きにも注目が集まっていますが、今回は、同校の根幹をなすキリスト教教育について、キリスト教活動主任の曽武川道子先生にお話を伺いました。

「道徳人・実力人・世界人」を目指して〝心〟を育てる

曾武川道子 先生

キリスト教活動主任の曽武川道子先生は、プロテスタントの家庭に生まれた、生粋のクリスチャン

「本校で最も大切にしているのは、毎朝の礼拝です」と曽武川先生。同校では、毎朝8時40分から9時までの20分間、中学生は講堂に、高校生はチャペルに全員が集まります。ゆっくりと、心の時間を過ごすことから1日が始まるのです。
同校では教職員の約4割がクリスチャンですが、生徒の多くの家庭は、そうではありません。
「礼拝では、新入生は最初はドキドキしているようですが、だんだんと日常の一部になっていきますね」
礼拝や、中1から高3まで週に1時間ある「聖書」の授業も含めて、生徒がキリスト教教育に自然に溶け込んでいけるのは、同校が〝宗教〟以前に、人格を育むことをベースにしているからでしょう。
同校の教育目標は「道徳人・実力人・世界人」の育成です。「道徳人」とは規律を守り、人々を愛することのできる人。「実力人」とは神から与えられた能力を発揮し、人々に誠実に仕える人。「世界人」とは国籍や民族などにとらわれず、世界的視野をもって行動できる人のこと。
説明会で校長の孫永律先生が、「ある企業の方から、本校の卒業生は自分が前面に立とうとするよりも、人と人をうまくつないでくれると言っていただいたことがあります」と話していましたが、それも、同校で培われる〝心〟の証かもしれません。

礼拝

毎朝、講堂に集まる中学生の礼拝。ボランティア体験についてなど、生徒が話す機会も増えているとか

クリスマス会

近隣の老人ホームの方や保育園の園児を招くクリスマス会で(写真は去年)、ハンドベルを演奏する生徒たち

一つひとつの取り組みは、〝心の生涯教育〟につながる

キリスト教関連の行事も豊富ですが、それは隣人愛について、社会について考える機会になっています。修学旅行にあたる研修旅行では、中3は広島を訪れて平和学習を行い、高2では長崎を訪れ、キリスト教の歴史も学びます。
「総合学習やLHRの時間を使った『ボランティア学習』では、中学生は点字を学んだり、車椅子に乗ったり、アイマスクや重しをつけて身体の不自由な方やお年寄りのつらさを知る〝体験型学習〟を行います」
そして、高校生になると〝支援型学習〟に移行するのですが、募金を集めてタイのエイズ孤児やさまざまな施設に送っています。
「フィリピンの恵まれない子どもたちのために、1クラスで1人の子どもの就学支援をしようという活動も続けています。教室にその子どもの写真を貼り、自分たちの支援金が一人の子どもを助けているんだということを意識しながら、毎月一人100円ずつ捧げています」
在学中は、このように校内で活動しますが、卒業後に自分たちが支援していたアジアの施設を訪ねるOBやOGもいるとか。一つひとつの取り組みが、生徒たちの心に種を植えていくのでしょう。
卒業して何年も経ってから、ふと聖書を取り出してみたり、礼拝の言葉を思い出す生徒もいるそうです。「そんなふうに、卒業したあとも続く心の生涯教育ができたらいいですね。今は〝心の時代〟だと思います。私たちがどう生きるべきかということは、本当に大きなテーマになっていますが、6年間のキリスト教をベースにした教育のなかで、何か一つでもヒントになればと。平和とか愛の心を育んで社会に出て行ってほしいですから、私たちはキリスト教という宗教以前に、人を大事にする、自分も大事にするという心を育てていきたいと思っています」

明治学院中学校
[学校HP]http://www.meijigakuin-higashi.ed.jp/
〒189-0024 東京都東村山市富士見町1-12-3
☎ 042-391-2142
最寄駅/西武拝島線 国分寺線「小川駅」徒歩8分。JR武蔵野線「新小平駅」徒歩25分。(自転車通学可)