私学探検隊

「自問自答」の教育方針のもと、グローバル教育 138年の歴史と伝統をさらに推進する

今年、中学開校6年目にして「グローバルコース」を開設した二松學舍大学附属柏。とはいえ、同校のグローバル教育は138年の歴史を誇ります。明治維新直後の1877年、漢学者の三島中洲は真の国際人を育成しようと二松學舍を創立しました。その目標は、まるで現代の課題の映し絵のようです。同校の伝統ある教育について、副校長の島田逹彦先生と、グローバルコース担任の三澤彩加先生にお話を伺いました。

『論語』を軸に、真のグローバル教育を展開

「子曰、學而時習之。不亦説乎。(しいわく、学びて時にこれを習う。またよろこばしからずや)」

「先生が言われた。学んだことをいつも実践し、身につけていく。なんとうれしいことではないか」

The Master said, “To learn and to review those you learned are pleasure.”

これが、二松學舍大学附属柏の教育を端的に表すものです。また、同校が継続してきたグローバル教育の象徴でもあります。
中高6年間を通して『論語』を学ぶ全国でも唯一の学校として、同校には古の知を学ぶ伝統があります。そして、その真髄をとらえて現代に生かす工夫をし、さらにその有用性を世界の人々と共有しようとする姿勢を育てているのです。また、同校には創立以来のキーワード「自問自答」がありますが、これこそ、いま、未来を切り拓く力として盛んにいわれている「自ら課題を発見し、解決する力」を指しているのです。
島田先生は言います。
「真のグローバル力とは、想定外のことが起きたときにどう対応できるか。その力だと思います」

英語は課題解決のための大きな手段の一つ

語学研修

中3の希望者は、語学研修でオーストラリアへ。約2週間、クイーンズランド州で異文化体験をするなかで、英語を体得する意欲も増す

開設したばかりのグローバルコース担任の三澤先生が続けます。
「中3で英検準2級を取るという、英語力としての目標もありますが、グローバル教育としては英語そのものではなく、異文化を理解してお互いに受容しあい、思考力・判断力・表現力を身につけることなどを目的に行っています。ですから、語学力として英語を極めること以上に、まずは1年生でいろいろな角度から世界を見て知識を深め、2年生になったら世界の中の日本の状況はどうなのかを考えて、自分を見つめる3年生では、自分たちには何ができるのかということを考えていけるようになればと思っています」
夏休みには「英語でフォトグラフ」というプログラムを実施しました。これは、外国人のカメラマンを講師に招き、実際に写真を撮るというもの。島田先生がそのときの様子を教えてくれました。
「本校の生徒たちは全員タブレットを持っていますので、校内を巡り、そのタブレットで好きなものを写真に撮ってきます。その後、プロのカメラマンの方が『同じ被写体でも、こんな角度から撮ると全然違うイメージなるよ』ということを英語で解説してくれる。そして、2日目に改めて撮ってみると、びっくりするくらい良い写真になるんですよ(笑)。目的やシチュエーションがはっきりしていますので、英語を習いはじめて間もない生徒でも、想像力を発揮して理解するようです」
これも、英語が目的なのではなく、いかに良い写真を撮るかという情報を得るための、つまり課題解決のためのツールとして英語をとらえている好例です。

主体性を重んじる指導で、生徒を大きく伸ばす

これはほんの一例にすぎませんが、コースにかかわらず、同校の指導は「自問自答」そのまま、主体性を重視したものになっています。
「いま文部科学省が盛んに言っている、思考力・判断力・表現力というのは、じつは創立者の三島中洲が明治10年に言っていることです。それから、〝異文化を理解する〟重要性も、〝自国の歴史・文化をしっかり学ぶ〟必要性も、すべて言っているのです。そういう意味では、二松學舍は、ずっとグローバル人材の育成という観点で教育をしてきましたし、これからも、そこが基本ですね」(島田副校長)
まさに「温故知新」。同校には、じつに豊かな学びの環境があります。
そんななか、中学1期生がこの5年間で目覚ましい学力の伸びを見せていますが、それはそのまま、二松學舍の138年の教育の成果の証といえるのではないでしょうか。

3つのコースのそれぞれの学び(中学段階)
コースの特徴 実施内容(基本は同じ)
グローバルコース 多様な価値観を認め、さまざまな局面を乗り超えるコミュニケーション能力を養う。 グループ学習形式の「アクティブラーニング」を導入し、英語の授業以外にも英語を取り入れた活動を展開。多彩な海外研修やワークショップを通じて、真の国際人に。
特選コース 成長に合わせた指導で高度な学力を身につけ、最難関大学を目指す。 最初に自学自習の習慣を徹底させ、放課後には上位講習会の発展的な学習で力を伸ばす。単元ごとの小テストや個別指導で不得意を残さずにステップアップ。
選抜コース 主体的な学習姿勢を身につけ、国公立、難関私立、二松學舍大学への進路を目指す。 モーニングレッスンで授業へのウォーミングアップを図り、くり返し行う小テストで学習をサポート。各進級時には他コースへの編入することもできる。

伝統×革新自問自答」で学びを深める取り組み例

学力の向上
先生方の手厚いサポートのもと、学習に主体的に取り組み、高い学力を身につける!
授業以外にも…
●モーニングレッスン
(毎朝25分間。英語:演習プリント、数学:小テスト、論語:素読)
●放課後講習・個別指導
(発展的な内容の講習と、基礎固めの講習を対象別に実施)
●長期休暇講習
(春季、夏季、冬季に基礎講習と発展講習を実施)
●「365ノート」
(毎日提出する、自分で内容を考えて取り組む家庭学習用ノート)
……など

アクティブラーニング
あらゆる場面で、実際にやってみて、意見を交わして、まとめて、発表する力を体得する!
の教室
(近隣の手賀沼の環境を学び、地球規模の環境問題に広げていく)
都市の教室
(国立科学博物館などの施設や東大、二松學舍大で最先端の学問にふれる)
古都の教室
(奈良・京都への修学旅行。事前学習を行い、事後には学んだことを発表)
田んぼの教室
(田植えから稲刈りまで成長を見つめ、「いのちのつながり」を考える)
の教室
(心身を鍛える3泊4日のスキー教室)

卒業論文の作成
(3年間の学習の集大成として、中3で『研究論文 自問自答』に取り組む)
卒論のテーマ例(今年度の中間発表より)
「カンニングの原因はどこにあるのか~科挙と現代を比べて~」「ディズニーランドが舞浜にできた理由~なぜ手賀沼ではなく舞浜にできたのか~」「人類は時間移動することは可能なのか」「なぜ中国の纏足は美しいと言われていたのか」

2016年入試要項(抜粋)
区分 日時 コース 試験科目
第一志望 12/1(火)午前 選抜 算+(新設!)表現力検査型※①
一般① 1/20(水)午前 選抜 2科4科選択
一般② 1/20(水)午後 グローバル/特選 2科4科選択※②
一般③ 1/22(金)午前 選抜 2科4科選択
一般④ 1/24(日)午前 グローバル/特選 (新設!)思考力検査型または2科4科選択※③
一般⑤ 2/4(木)午後 グローバル/特選/選抜 算+(新設!)表現力検査型※①
※ ① 表現力検査型:作文+自己アピールを含む面接
※ ② グローバル受験者は理社にかえて英語(英検4級程度)での受験可
※ ③ 思考力検査型:今年度新設の入試。課題をとらえる力、解決に向けて筋道立てて考える力、自分の考えや意見を表現する力を見る

※上記はNettyLandかわら版の抜粋です。全容はこちらをご覧ください。

二松學舍大学附属柏中学校
[学校HP]http://nishogakusha-kashiwa.ed.jp/
〒277-0902 千葉県柏市大井2590
☎ 04-7191-3179・5242
最寄駅/通学に便利な無料スクールバスが4ルート。JR常磐線・東武野田線「柏駅」、東武野田線「新柏駅」、JR常磐線・成田線「我孫子駅」から15分。北総線の4駅(「印旛日本医大」「印西牧の原」「千葉ニュータウン中央」「小室」)からも乗降可。