私学探検隊

生徒の好奇心と向上心をくすぐる「手をかけ、鍛え、送り出す」指導の中身をご紹介

2010年に中高一貫部を開設。同時に、高校での改革も進めてきた昌平ですが、今春の大学合格実績には目を見張るものがあります。同校には中身の濃い取り組みが数多くありますが、校長の城川雅士先生は言います。「システムだけでは足りません。生徒が100人いれば100通りですから、本校では個を見ながら最善の指導を心がけています」と。そこで、〝手をかける3年間(中学)〟の指導の様子を伺いました。

大学合格実績の好調ぶりは、英語教育の強みにある

日本語禁止部屋

「パワー・イングリッシュ・プロジェクト」で活用するインターナショナル・アリーナ。ネイティブの先生4人が常駐する日本語禁止部屋だ

「本校の英語教育の成功が、大学合格実績に直結していると思います」
と、城川校長。同校は〝全校生徒が英語を得意教科に〟をスローガンにしていますが、文・理どちらに進むにしても、大学入試に向けて英語の苦手な生徒をつくらないというのは、結果に反映するといいます。
「英語である程度の力をもたせるという取り組みは徹底させています。英語は生徒のタイプにかかわらず、努力次第で伸びる教科ですから。とはいっても、努力することは大変ですので(笑)、モチベーションをどうもたせるか、そのきっかけづくりが我々の役割だと思っています」
もちろん、〝きっかけづくり〟は英語に限ったものではありませんが、今回は同校のグローバル教育にスポットを当てていきます。
今年から中高一貫部で「グローバル人材育成プログラム」(後述)を立ち上げましたが、ほかにも、中1・2でも宿泊語学研修を開始するのをはじめ、中3でニュージーランドへの修学旅行、高2でカナダへの修学旅行があるほか、オーストラリアの姉妹校との交流など、国際交流活動も盛んに行っています。
また、同校には帰国生が比較的多いのですが、そのことも一般生には大きな刺激になっています。スピーチコンテストも年々レベルアップし、帰国生ではなく一般生がグランプリをとることも珍しくないのだとか。

中高一貫教育で展開する「グローバル人材育成プログラム」

もともとグローバル教育には力を入れてきた同校ですが、IB認定校の候補校になったことで(左のコラム参照)、「グローバル人材育成プログラム」が本格的に始動しました。
IB指導法を導入し、中学段階で〝気づかせる〟〝考えさせる〟〝表現させる〟ことを重視し、知識とのバランスを保ちながら、さまざまな体験を通して生徒の「知を吸収する器」を広げていきます。
このプログラムの要は、大きくは次の4つになります。
❶ 国際バカロレア(MYP)の導入
❷ パワー・イングリッシュ・プロジェクト
❸ プロジェクト学習
❹ スペシャル・ウェンズデイ
❶は、コラムをご覧ください。
❷は、英検やTOEIC受検、スピーチコンテストなどはもちろん、〝インターナショナル・アリーナ〟という、ネイティブの先生が常駐する日本語が禁止の部屋もあります。
❸では、中学3年間の共通テーマとして「世界」を掲げています。中1は「世界は面白い」、中2は「世界は違う」、中3は「世界と働く」と、どんどん視界を広げていき、各自が見つけたテーマを〝探求する→議論する→まとめる→発表する〟という一連の力を身につけます。
❹は同校オリジナルの体験学習で、キャリア教育ともいえるもの。外務省や各国大使館、JICAなどを訪問して世界で活躍する方々の話を聞き、日本と世界の違いや、ふだんの勉強が世界とどうつながっているのかなどを実感します。また模擬裁判を体験したり、公共施設見学や企業訪問などもあり、自分の将来へと目を開くきっかけになっています。

きっかけが豊富で刺激に満ちた環境が、生徒を大きく伸ばす

「骨太な、世界で通用するリーダーを育てるためには、難関大学への進学を目指すだけではなく、バランス感覚を育み、『人としての器』を広げることが肝心です」と校長。
「中学高校のこの年代に体験しなければならないことはたくさんあります。勉強はもちろんですが、行事や部活など、一つひとつの活動の密度を高めることが大事です」

同校には強豪クラブが数多くありますが、意外にも朝練はないのだとか。部活は6時限目が終わってから。切り替えの意識をもち、メリハリをつけて物事に集中する。これも、さまざまな場面で生徒の能力を引き出し、成果を上げさせる同校の秘訣なのかもしれません。
「手をかけ、鍛えて、送り出す」という先生方の合言葉のもと、同校の生徒たちは大きく成長していきます。

埼玉初の国際バカロレア候補校に!

同校は、今年3月に埼玉県初の国際バカロレア(以下IB)中等教育プログラム(MYP)の候補校として認定を受け、いま申請段階に入っているところです。IBとは、スイスのジュネーブに本拠地を置くIBO(国際バカロレア機構)が提供する国際的な教育プログラムのこと(世界中で4000校が実践)。
政府は、IBOとの取り決めによって中等教育段階で行う「IBプログラム」の最大3分の2のカリキュラムを日本語の授業で行うことが可能になったため、認定校を200校に増やすことを目標に掲げています(現在は35校)。
「IBは非常によくできたプログラムですし、『探求する人』『挑戦する人』『バランスのとれた人』など、IBが目指す学習者像は、従来から本校が目標としているものに非常に近いと思っています。学力と人間力、グローバル社会に向けてこの時期に人としての器を広げるために、中1から高1までMYPに沿った授業をスタートしています。この内容は、2020年から変わる大学入試にも有効ですが、いまの中1が大学改革の1期生になることを見据えての導入でもあります」(城川校長)

おもな合格大学(2014年度/抜粋)
国公立
東京大1/大阪大1/東北大2/北海道大1/東京工業大1/東京外国語大1/お茶の水女子大2/国際教養大1/筑波大2/千葉大4/埼玉大12/東京学芸大1 ほか
早慶上理
早稲田大35/慶應義塾大8/上智大5/東京理科大18
GMARCH
学習院大13/明治大34/青山学院大11/立教大18/中央大13/法政大47

2015年から、最難関大学を目指す「Tクラス」を新設

今年から「Tクラス入試」を設け、入学時から最難関国公立大学を目指すクラスがスタートしました。「T」には象徴として「東大」の意味も込められていますが、難関大学への進学をバックアップするだけではなく、「骨太で、学力と人間力を兼ね備えた、世界に通用するリーダーを育てようという思いから設置しました」と城川校長。
そして、このTクラスですが、各学年への進級時にテストに合格すれば、標準クラスからの移動も可能なのです。中学入試段階ではスタートの遅い生徒もいますから、つねにチャンスがあるというのは、生徒にとってうれしいシステムです。ちなみに、現中1で、来年標準クラスからTクラスに移る候補生は5名くらいいるのだとか。さらに、現在成績トップの生徒は、標準クラスの生徒なのだそうです。これも、生徒に自分の限界を決めつけさせない、同校の教育の深みを表すエピソードです。

2016年入試要項(抜粋)

●入試の種類と入試日
入試の種類 入試日 入試科目
一般入試(第1回) 1月10日(日)午前 2科・4科選択
(第2回) 1月11日(月・祝)午前 2科・4科選択
(第3回) 1月12日(火)午前 2科・4科選択
(第4回) 2月 5日(金)午前 2科・4科選択
Tクラス入試(第1回) 1月10日(日)午前 4科
(第2回) 1月12日(火)午前 4科
(新設!)適性検査型入試 1月11日(月・祝)午後 適性検査①・②+面接
帰国子女入試 12月22日(火)午前 [英語+面接]または[国算+面接]

●インターネットでも出願可能に!
従来の郵送・窓口出願に加え、2016年入試からインターネット出願がスタート!詳しくは同校ホームページをご覧ください。

保護者も安心の、登下校管理システム

登下校時の送迎スクールバスや、生徒通用門では常時守衛さんが見守るなど、安全面にも配慮する同校ですが、さらに登下校管理システムも導入しています。
これは、登下校のときに生徒が自分のカードをセンサーにタッチすると、その時刻が保護者にメールで送られるという安心システム。さらに、PASMO機能もついているので、定期券としても使えます。

※上記はNettyLandかわら版の抜粋です。全容はこちらをご覧ください。

昌平中学校
[学校HP]http://www.shohei.sugito.saitama.jp/jrhighschool/
〒345-0044 埼玉県北葛飾郡杉戸町下野851
☎ 0480-34-3381
最寄駅/JR宇都宮線・東武伊勢崎線「久喜駅」よりスクールバス10分。