私学探検隊

一流の講師から学び、一流の生徒と共に学ぶ国際教育

英トップエリートが同校のために来日し特別プログラムを展開

2018年秋からオックスフォード大学に通う同校の先輩が、SSSのスタッフとして参加することも。

2018年秋からオックスフォード大学に通う同校の先輩が、SSSのスタッフとして参加することも。

「世界は広いと頭で分かっていても、実際に体験しなくてはその広さを理解することはできません。生徒が『世界は広いな』『世界って面白そうだな』と体感できるのがSSSです」と、話すのは国際教育部部長の岡田英雅先生。巣鴨中学校では3年前より、イギリスのトップエリートたちを講師として招いた「SSS(Sugamo Summer School)」を実施。一定条件をクリアし、さらにその中から選抜された中学2年から高校1年生の約50名が、夏休みの6日間、長野にある同校の蓼科学校で講師と共に過ごします。
講師陣は、オックスフォード大学やケンブリッジ大学の卒業生であるだけでなく、一流建築家であり水泳のシニア世界チャンピオン、内閣官房勤務でセミプロのシンガーなど、マルチな才能をもったスペシャリストばかり。このような面々がSSSのために来日し、同校の生徒のためだけに組んだ特別プログラムを展開していきます。『なぜ女性天皇が認められないのか』『何が日本を日本的にするのか』など、新たな発見や視点を得られる講義に加え、クリケットやタッチラグビー、歌や絵のレッスンなど、スポーツ・アクティビティも盛りだくさん。中でもSSSの柱のひとつとなっているのが、失敗からの立ち直り方や活かし方を学ぶ「モチベーション・カーブ」です。エリートとよばれる人も、多くの挫折を経験しながら失敗を恐れず前進したという事実を知ることで、生徒たちは勇気をもってチャレンジすることの必要性を心に刻んでいくのです。 「SSS後に『海外で仕事をしてみたくなりました』と生徒からメールが届いたり、『帰ってから突然勉強をし始めて驚きました』と保護者の方から感想をいただくこともあります。やはり、本物のエリートは勉強もできて、やさしい。そして、失敗を恐れず自分の夢に向かって努力する人だという体験が、生徒の心を動かすんだと実感しています」(岡田先生)。

同校の生徒と他校生がコラボレーション来春開催のTSSに注目

同校ではSSSの経験をより多くの生徒に広げたいと、今年の春休みに「TSS(Tokyo Spring School)」を開催する予定でした。残念ながら新型コロナウイルスの世界的流行により中止となりましたが、来春の開催に向け準備を進めています。
TSSは他校の生徒を招き、春休みの1週間を同校に通いながらSSSの理念を体験するもので、「優秀な生徒が学校の中だけで才能を発揮するのは非常にもったいないことです。他校の生徒と切磋琢磨し、『世の中にはすごい人がいる』『こんなすごいことを考える人がいる』という経験をして欲しい。そして、違う文化をもった生徒たちと、お互いの力を出し合いながらベストな答えを見つけていく。いつもの教室の中ではできない練習をTSSで実現したいんです」と岡田先生は意気込みを語ります。
講師は、オックスフォード大学、ケンブリッジ大学、ハーバード大学出身と、SSS同様に各界の第一線で活躍する方々に依頼。受講対象が新高校1~3年生のため、ハイレベルな内容を設定し、女子校、共学校とそれぞれの学校のカラーや価値観をもった生徒が、同校の生徒と共にお互い高め合いながら、これからの世界で必要な力、「Communication」「Collaboration」「Critical Thinking」を鍛えるプログラムになっています。そのため予定している講義テーマも、明確な答えがないものばかり。意見交換をしながら、自分で新しい価値観を見つけていく必要があります。例えば『AIは仕事を奪うのか』というテーマでは、ユニバーサル・ベーシックインカムについての問題から、働くことの意義や目的へと議題が広がっていきます。「生徒たちの意見をただ肯定するのではなく、講師、生徒それぞれが『でも』という批判的思考でディスカッションを進めていきたい。それにより、多様な角度から物事をとらえる視点、自分で考えることの必要性を体感させるのが目的です。ですから講師には、『生徒に道を示さないで欲しい』と依頼しています。その道を考えるのは生徒自身。答えが出ない問いに挑戦させ、答えが出ないことで欲求不満にし、そこから学ぶ喜びを得て欲しいですね」(岡田先生)。

世界の名門校が集まる国際教育機関WLSAに日本の学校として初加盟

先のSSS、TSSに加え、以前より実施してきたイギリス名門校への留学など、国際教育を強化し生徒の視野と進路を広げてきた同校。今年6月にはそれらの実績が認められ、国際的な教育ネットワーク機関である「WLSA(World Leading Schools Association)」への加盟が認められました。WLSAは、イギリスのイートン校、ハロウ校、アメリカのグロトン校など、これからの世界を牽引する各国の名門校が加盟しており、同校の加盟は日本として初めてとなります。加盟校の生徒たちが集まり世界的な問題について話し合う会議や、先生方のフォーラムもあり、今世界の学校でどのようなことが問題になっているのか、世界の優秀な生徒たちが何を考えているのかなど、お互い情報を共有しながらより良い教育・環境へと結びつけることが可能となりました。
加盟校の生徒がオンラインでリーダーになるためのタスクをこなすプログラムも展開しており、渡航が厳しい中でも海外の生徒と学び合うことができます。「WLSAの加盟により、将来的にはTSSの世界展開も見えてきました。世界の加盟校の生徒に来日してもらい、平和について話し合うなど、いろいろな可能性が広がり我々も大きな期待を抱いています」(岡田先生)。

講師の依頼から運営まですべてを手掛けることで質の高いプログラムを実現

SSSやTSSの企画を始め、WLSAの加盟にも尽力した国際教育部部長の岡田先生に、思いや実現までの道のりを伺いました。

――SSS、TSSはすべて学校が手掛けているとか

専門業者に委託することもできますが、満足いく内容、生徒を感動させるプログラムとなると難しいため、我々で行うことにしました。私はプログラム作りのための打合せなどを行っていますが、かなりの時間がかかりますね。相手はプレミアリーグのチェルシーのスタジアムを手掛けた一流の建築士などトップ中のトップですから、知識のないままに話を進めることは失礼ですよね。だから、専門書を読んで下調べをし、それをノートにまとめてから打合せに入るなど、表に出ない部分にも時間をかけています。

――WLSAの加盟は条件が厳しいと伺いましたが

申請には加盟校2校からの推薦書が必要なんです。本校は、加盟校である英国屈指の名門イートン校のサマースクールへの参加が認められているため、学校同士の繋がりはありましたが、推薦書をいただくとなると大変でした。もう1通は英ハロウ校に依頼しています。加盟には役員全員の同意が必要なので、名門中の名門といわれる2校からの推薦書の存在は大きかったです。苦労はありましたが加盟できたことで教員、生徒共により充実した国際教育を実践でき嬉しく思っています。

 

※上記はNettyLandかわら版の抜粋です。全容はこちらをご覧ください。

巣鴨中学校
[学校HP]https://www.sugamo.ed.jp/
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