私学探検隊

異年齢グループで現代社会の課題に取り組む共生学

中等科の男女が一緒に学ぶ「共生学」の授業

共生共学に向けて行なった、男女合同オリエンテーションのようす

共生共学に向けて行なった、男女合同オリエンテーションのようす

緑の木立に囲まれた自然豊かで広大なキャンパスに、趣ある校舎が点在する自由学園。1921年創立から100年を超え、変化する社会の課題に向き合い、平和な社会の担い手となるための「自ら学び続ける人を育てる」学校改革に取り組んでいます。同校では、「共に生き、共に学び、共によりよい社会を創り出す学校」という学校像を示す目標「共生共学」が掲げられています。
2024年度より、これまで男女別学だった中等科・高等科の共学化に向けた準備の一環として、昨年から中等科で男女が一緒に学ぶ「共生学」という授業を始めました。その狙いについて、高橋和也学園長にお話を伺いました。

全24講座のキーワードは「平和」「人権」「環境」
「共生学」の授業は、女子部・男子部両部の校舎を使って行われています。普段、生活エリアを別にしている生徒たちが、「互いの精神的・空間的距離を縮める第一歩」というわけです。共生学では、「平和」「人権」「環境」という3つの言葉をキーワードに、「ウクライナ侵攻を考える」「少子高齢化」「ヒロシマを知る」など、女子部・男子部の全教員が専門分野を活かした全24講座を開講(90分)。生徒は学年を縦割りにした班編成で受講します。
前期は座学によるグループワークが中心です。最初はやや受け身がちな生徒たちも、先生方の熱気あふれる講義に応えるように質問が飛び交います。後期は、前期の講座をもとに男女一緒のチームプロジェクトを作ってリサーチをしたりキャンパスの外に出て地域企業を取材したり。生徒が受講できるのは12講座まで。受講していない講座は、受講した生徒のプレゼンを聞いてシェアするスタイルで、その日に講義のない先生はほかの先生の講座を受講して、生徒と一緒に学ぶことも共生学の特徴です。
共生学のほか、男女が一緒(中1・2)に昼食を作るなど、女子部と男子部の自然な交流が生まれるような環境整備を進めています。

だれもがその人らしく学べる学校に向かって
長い伝統と歴史がある同校にとって、共学化は「大きな変化」です。高橋学園長は、「それは目的ではなく一つのステップに過ぎません」と話します。
「本校は創立以来、多様な人々が共に生き、平和な社会を創り出す人を育てる人間教育に取り組んできました。複雑多様化する社会課題が山積する今の時代、国籍、性別、文化など異なる背景を持った人たちが共生する社会に必要なものは何かと考えた時に、だれもがその人らしく学べる学校への移行は自然な結論でした」
今春の入学式では、初めて高3の男女3人が司会を務めました。「前日のリハの際に、明日は失敗してもいいからリラックスしてやろうと声をかけたら、本番で本当に失敗をしてしまいました。でも、しっかりリカバーできて温かな空気に包まれた良い式になりました」
生徒自治を基本とする同校では、学校のルールづくりもすべて生徒たちが進めています。「いよいよ始まる共学化に向けた具体的準備も、生徒たちと共に進め、自分たちが学校を作っていく自覚を育てていってほしいと思っています」

 

※上記はNettyLandかわら版の抜粋です。全容はこちらをご覧ください。

自由学園 男子部 女子部 中等科
[学校HP]https://www.jiyu.ac.jp/
〒203-8521 東京都東久留米市学園町1-8-15 Tel.042-422-3111
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