私学探検隊

主体的な学びや創意工夫を促し自立につなげるICT活用

今春、強豪校がひしめく甲子園でベスト4に輝いた野球部。高校の強化指定クラブの一つですが、朝練禁止など制限の中で活動しています。それでも様々な工夫をして高みを目指す姿勢は「きちんと青春」を体現しています。このキャッチフレーズには困難にぶつかっても目を背けることなく創意工夫して乗り越えて欲しいという思いが込められています。ICT教育に関しても同様で、統一されたデバイスや特別な教室といったモノではなく、活用の工夫等のコトに軸足を置いた教育を実践しています。

協働で試行錯誤する体験こそプログラミングを学ぶ価値
今年度より実技が中心の授業に発展した、「情報Ⅰ」(高1・週2時間)の授業を担当する金子勇治先生(情報科)は、「そこでも『きちんと青春』を体験できる授業ができている」と言います。
「コンピュータが出力する多種多様なエラーを適宜読解し対処することは、忖度のない指摘に向き合う良い機会です。また、BYODなのでスマホでプログラミングする生徒も大勢います。スマホは携帯性に優れる半面、画面サイズが小さいなど扱いに慣れや工夫が必要です。自分の選択に伴う困難にしっかり向き合って欲しいです」
毎回、最初の5分で核になる事柄を説明します。その後、生徒は自分の端末を使い、課題を解決します。
「様々な制約の中で、いかに結果を出すかということは、社会に出れば当たり前に求められることです。その過程で誰と相談しようが、ググろうが問題ありません。むしろ自由に検索し、その検索結果を共有するために、積極的にコミュニケーションを取ることを推奨しています。方法が発見できたとしても、入力がうまくいかない、そもそもアカウントが切り替わらないなど様々なトラブルが起きます。生徒には『トラブルの解決も含めて情報の時間だよ』と話しています。失敗を繰り返すことによって、率直な指摘や否定されることに慣れながら自立してくれればいいと思っています」

今も変わらず大切にする社会人としての基本姿勢
漸化式の数値計算を授業で扱うと、何百回もの代入操作が一瞬で終了すること以上に、スマホを使って漸化式の計算ができるという事実に生徒は驚きます。「現状できないことがあるときに、それを可能にするツールを短絡的に導入するのではなく、まず、目的を明確にして、手持ちのツールでどうにかできないかを考えること、制限を活かして頭を鍛える姿勢が大事です。これは単に受験を見据えたものではなく、生涯を通して自らを磨く姿勢を培うことが目的です」(金子先生)
並行して、学校生活の中での端末の扱いについてもICT委員会の教員と生徒会が一緒に啓発動画を作成して朝の時間に流すなど、意識改革に力を入れています。
「これまで学内でのスマホの使用に制限を設けていましたが、この先スマホやパソコンを持たなくなることはあり得ません。そこで、過渡期の今こそ生徒自身が真正面からこの課題に向き合い、しっかりと考えることが必要だと思っています」(ICT教育委員会主任・英語科/梶善之先生)
時代は変わっても「きちんと青春」に表現される、物事に対して真正面から取り組む姿勢と社会人としての基本を磨く同校の教育方針は一貫しています。その校風や生徒の様子を、ぜひ学校に訪れて感じ取ってください。

ICT教育の考え方
「必要最低限のものをいかに上手に取り入れるか、という考え方をベースにしています。そのため端末も一斉購入ではなく、BYOD (個人所有の端末を持ち込む利用形態)で進めています。生徒にはGoogleアカウントを配布し、お知らせなどはGoogleクラスルームを使用しています。端末の扱いについては効率よく学ぶための道具として認識してもらうことが大切であるという考えのもと、生徒とともに考えていきます」(梶先生)

端末を活用した授業例
「『情報Ⅰ』の1学期はGoogleスライド(プレゼン)、Googleフォーム(アンケートの回収) 、Googleスプレッドシート(表計算)がコアになります。これらを学んだ後でGAS(Google Apps Script)という言語を使用。例えばGoogleフォームで集めたデータをスプレッドシートに出力。スプレッドシート上のデータをGASで操作するなど、各種サービスを操作します。その後、GoogleコラボラトリーでPythonを使用します」(金子先生)

「中学生の『数学』ではスタディサプリを活用しています。『情報Ⅰ』同様に教員の説明は5~10分程度で、その後は生徒がどんどん問題を解いていきます。このアプリの良いところは解答した生徒が瞬時に表示されるところです。『誰々が解けているから教えてもらって』とタイミングよく指示を出せるので、教室のあちこちで教え合いが生まれています。プリントを配布し、途中式を書かせたい問題はそこに書かせて、クラスルームで提出させるなど、デジタルとアナログの良いところをうまく使い分けている教員もいます。新しいことにチャレンジすることが好きな教員が多いので、今後ますます発展すると思います」(数学科主任/飛田先生)

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Apple系とAndroidはOSに違いがあるため、同じような端末を持っている生徒同士が自然と集まって学び合う形が生まれています。
「光学文字認識機能に着目し、手書きしたプログラムをテキスト化し、それをコピペして実行した生徒がいました。想定外の方法でおもしろかったです」(金子先生)

 

※上記はNettyLandかわら版の抜粋です。全容はこちらをご覧ください。

国学院大学久我山中学校
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