私学探検隊

キリスト教の精神をベースに、真の国際理解を目指す

ユネスコスクールで学ぶ、国際理解

カナダ語学研修ではホームステイ生活を送る。英語はもちろん、生活文化や他民族と関わり合いなどの歴史も勉強。事前学習として、カナダ大使館も訪問する。

ニュースや新聞でもよく見かける「グローバル社会で勝ち抜くために」といったフレーズ。「けれども」と語るのは、晃華学園の宇野幸弘先生です。「世界で勝ち抜くということは、言い換えれば他国の人や企業を負かすということ。負けた相手はどうなるのか、また自分がもし負けてしまったら終わりなのか。そうしたことに目を向けないで、『勝ち抜け』といった指導ばかりをしてもいいのでしょうか」。もちろん負けたほうがいいと言っているわけではありません。ただ、いわゆる「弱者への眼差し」を持つことが、グローバル社会を理解する上で欠かせない、ということなのです。そこで晃華学園では、独自の国際理解教育を展開しています。その一環として、12年度にはユネスコスクールに加盟。ユネスコスクールはユネスコ憲章に示された理念を学校現場で実践するため、国際理解教育の実践的な取り組みを比較研究し、調整を図る共同体として設立されたもの。加盟校は提唱する4つのテーマ「国連システムの理解」「人権、民主主義の理解と促進」「異文化理解」「環境教育」に沿った学習を取り入れています。「本校の場合、ユニセフによる出前授業やUNHCR(国連難民高等弁務官事務所)の話、JICA(国際協力機構)で活躍するOGの講演などを行います」と宇野先生。
また、高校1年次にカナダへの語学研修を実施しています。希望者のみですが、半数以上の生徒が参加するそうです。「語学習得が主な目的ですが、カナダは多文化共存を実践している国。学ぶことも多いと思います」とも語ってくれました。その一方で、今後はアジアとの国際交流も進めていくとのこと。欧米とはまた違うアジアの文化を知ることで、より多くの人とコミュニケーションを取れるようになるのではないでしょうか。

キリスト教的視点に立った人材育成に期待

国連関連として、「ハンナのかばん」のモデルとなった石岡史子さん(NPO法人ホロコースト教育資料センターkokoro代表)の講演会を開催し、人権や差別について学ぶ。

昨今の国際理解教育では、「欧米に倣って自らの意思を強く発信する」といった指導が多く行われています。ただ、欧米ではそれと同時にキリスト教的視点に立ち、「弱者への眼差し」についても指導を行います。カトリック校である晃華学園は、そうした教育をうまく取り入れていると感じました。「もちろん本校でも国際社会で活躍できる人材を育てていきたいと思っています。特に途上国に貢献するグローバル企業や、財政貢献の割合と比較して人的貢献の少ない国連などで活躍する卒業生が出てくるとうれしいですね」と宇野先生。そんな卒業生が誕生する日は近いのではないでしょうか。

晃華学園中学校
[学校HP]http://www.kokagakuen.ac.jp/
〒182-8550 東京都調布市佐須町5-28-1
☎ 042-482-8952
最寄駅/京王線「国領駅」から正門までスクールバス12分。京王線「つつじヶ丘駅」・京王線 相模原線「調布駅」からバス「晃華学園」徒歩5分。JR「三鷹駅」からバス20分「晃華学園東」徒歩5分。JRなど「吉祥寺駅」からバス「西原」徒歩10分ほか。