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イベント 特集

私学の「個性」って何だろう。 私学の授業・オリジナルプログラム2020.11.16

私学には「個性」があると言われます。それは、各々の学校に、「このような人物を育てたい」という教育理念があるから。「個性」は、校風やオリジナルの授業・取り組みに現れます。今号では、その一端を見ていきましょう。

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「言葉」の力を獲得する
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 コロナ禍は急速に授業のオンライン化(配信や双方向)を進めました。モニター越しにクラスメイトに向かい、「言葉」を用いて論理的に自分の考えを伝えることは、新しい挑戦だったことでしょう。こういう時こそ「言葉」の授業の真価が現れます。
 桐朋女子、森村学園、麗澤で導入されている言語技術。言葉(日本語)をトレーニングし、「思考を論理的に組み立て、相手が理解できる様に分かりやすく表現すること」(つくば言語技術教育研究所HPより)を目的とする教育プログラムです。なお桐朋女子は、日本語と英語の2つの言語を用いて世界で通用する論理的思考力を育てる、DLP(DualLanguageProgram)中に言語技術を取り入れています。東京女学館、サレジオ学院でも言語技術に取り組んでいます。芝浦工業大学附属では、2021年入試にも導入します。


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協働する力を獲得する
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 さて皆様は、「PBL型授業」というと、どの様な授業を思い浮かべるでしょうか。
 PBL型授業には、問題提起型授業(Problem Based Learning)と、課題解決型授業(Project Based Learning)とがあります。「主体的・協働的に問題を発見し、解決する能力」を育てることが期待されるアクティブラーニングの手法です。
 和洋九段女子では、問題提起型授業を行っています。生徒はファシリテーター役の教師が発するトリガー(引き金)クエスチョンについて考え、生徒同士の意見を聞き、考えをブラッシュアップするサイクルを繰り返すことで、表現力、コミュニケーション力、思考力を身に付けて行きます。批判禁止のルールがあるので、安心して意見をのべることができ、達成感を得ることにも繋がっているようです。聖学院の「探究」は課題解決型。授業時はもちろん、宿泊学習、課外活動は、PBL型教育です。登山や糸魚川農業体験、湯河原町でのソーシャルデザインキャンプなどの宿泊学習は、現地での体験から感じた課題を“自分ごと”として捉え、解決策を提案していく過程で、生たちは大きく成長していきます。
 次項からご紹介するプログラムも、PBL型の手法を採っているものは少なくありません。


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「学ぶ喜び」を知る
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 各校ではそれぞれ、工夫を凝らした独自の教科・探究活動を行っています。プログラムのオリジナリティと創造性は、私学の力を示します。
 宝仙学園共学部理数インターには、「理数インター」という独自の教科があります。サイエンス・ICT・グローバル教育の要素を取り入れ、「答えのない課題」に取り組むもので、教科書のないその授業では生徒の自由な発想が活発に飛び交います。日本学園では「創発学」を実施。フィールドワークや職業を知ること、論文作成、発表などを通して養うのは、まさに「創」造力と「発」信力です。かえつ有明では、週2日、「サイエンス科」の授業があります。サイエンスという語の本来の意味、「学問」を、オリジナルの総合学習に具現化しています。企業とのコラボや哲学対話などに挑戦し、思考のスキルを獲得していきます。その成果でしょう、「以前は担任が仕切っていたような場面でも、生徒が自主的に物事を考え決めるのが当たり前になりました」と先生方も目を細めます。

【写真左】桐朋女子 【写真中】かえつ有明  【写真右】静岡聖光学院  文京学院大学女子では、「科学塾」からSSH活動を経て生まれた「科学探究カリキュラム」や、ゼミ型式の「国際塾」、SGHアソシエイト校活動の一環として取り組む、海洋大学と連携した「アジア研究」など、探究・思考する学びを実践しています。カリタス女子では、2019年から「iTime」(i、は探究 inquiryのi)を設けています。「福祉・人権」や、多摩川や多摩丘陵でのフィールドワーク「タマロジー」への取り組みなど様々な活動を通して、探究活動に必要な力を身につけて行きます。自修館は、ゼミやフィールドワークで「探究心」を「探究リテラシー」に高める「探究」(総合学習)を行ってきました。来年度より、新プログラム「C-AIR」にバージョンアップ。「変化と共存を志向して、社会の課題を引き受ける探究者を育てる」としています。立教女学院の総合学習は、6年間の「ARE学習」です。AはAsk(自らテーマを求め)、RはResearch(調べ)、EはExpress(言語化して発表する)。中学では課題設定、調査研究、表現発表の力を養い、高校では、集大成となる高3の卒業論文(立教大学推薦希望者は必修選択)に向けて準備を進めます。多摩大学聖ヶ丘の「A知探Q(英知探究)」には、生徒も先生も「楽しい」探究授業というコンセプトが名前からも伺えますし、立正大学付属立正の「R-プログラム」のRは、調べる(リサーチ)、読み取る(リイド)、表現する(レポート)調べる)の3つのスキルを定着させます。
 いずれのプログラムも、目指すものを名前に込めているのですね。


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表現する力を獲得する
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 新しい価値観を生み出す力として、アートに対する関心は近年高まっています。私学では、従来から様々な表現教育を行ってきました。さらに今、新しいツールを取り入れ、教養としてのアート、自己表現としてのアート、ソーシャルデザインとしてのアートに生徒が目覚めて行きます。
 藤村女子は、音楽にボーカロイドを導入。探究女子を育てるトキワ松学園は、教育の柱の一つが「美」。「思考と表現」のなかで対話型の美術鑑賞を行なっています。吉祥女子の美術は「デザイン」という科目を持ち、プロジェクト型学習も実施。聖セシリア女子の英語劇、聖光学院の「群読」などは、表現力、コミュニケーション力を養う教育の事例です。藤嶺学園藤沢では6年間茶道を学びます。茶道具や所作の美しさ、茶室という空間から学ぶ茶道の精神も「美意識」を涵養する効果があるでしょう。
 静岡聖光学院では、STEAM教育を基盤としたデジタルテクノロジー教育を推進。「BーGIRION-Garage」も作られ、生徒が活用しています。数学や理科・芸術・音楽とプログラミングを統合した授業では、映像や音楽などの作品を作り上げています。「美・技・理・音」「ガレージ」で、何が生まれるか、ワクワクします。聖徳学園は、STEAM教育を「社会で経験するであろう、トライ&エラーを実践するため」にあると考えています。生徒は、課題を自分に引きつけて考え、教科の枠を超えて解決方法を作品「Art」に作り上げます。その作品は、共感や関心を喚起する映画、クレイアートなど多彩です。


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世界とつながる力を磨く
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 私学には、6年間中高一貫という時間軸を生かして、社会と向き合うために身近な関係を築く仕掛けがあります。
 学年の縦割りグループで活動する昭和女子大学附属昭和のピア・ラーニング「朋友班」、高3生が新入生をお世話する不二聖心女子学院の「エンジェル制度」などです。また本郷では、中学2年生が中学1年生を教える数学の合同授業を定期考査前などに実施しています。
 学校の枠を超えた交流も、狭い環境から広い世界に飛び出し、新しい関係を築くことを促します。例えばサレジオ学院と目黒星美学園は企業インターンワークでの交流、聖学院と女子聖学院が協力して行っているパラスポーツ応援プロジェクトで、性別を超えて刺激し合います。
 さて、これからは世界の(地球の)未来を意識した生き方、そのための力が一層必要です。そうした力を養う取り組みは教科の枠に収まりません。
 湘南学園、横浜女学院は、SDGsの目標達成の鍵となるESD(持続可能な開発のための教育)に取り組んでいます。
 英語以外の言語を学び多言語教育で広い世界に目を向けているのは、桜美林、神田女学園、大妻中野、聖ドミニコなど。
 東洋大学京北には、社会や人のために生きることを哲学的に考えながら社会とのつながりを学んでいく「哲学」の授業があります。

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 授業やオリジナルプログラムをいくつかの側面からご紹介してきました。どの授業もプログラムも、単独では成り立たず、有機的な関係で生徒を育てています。それゆえに私学の“個性”がより際立って見てくることでしょう。
(市川理香)

※NettyLandかわら版11月号P.6・7より掲載
NettyLandかわら版11月号はトップページ下段(フッター)「NettyLandかわら版」(PDF)より 

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