大妻多摩中学校
第2学期始業式(中学)にて
みなさんごきげんよう。
猛烈な暑さだったこの夏、どう過ごしていましたか?久しぶりに行動制限のない夏休みでしたから、旅行やイベントに行った人も多いのではないでしょうか?
私は本校の希望者で行った、東北被災地訪問に同行しました。11年前に起きた地震による津波で、東北地方が大きな被害を受けたことは皆さんご存じと思います。今回訪ねた先々で、防災の重要性や関係者の皆さんの新しい町づくりかける思いを勉強してきました。
こうして経験したことはしっかりと一度振り返って、貴重な体験や学習として自分の中に活かしていく事が大事だなと思います。皆さんもこの夏に体験したこと、旅行やイベントへの参加など特別な体験に限らず、部活動での出来事や毎日重ねた学習なども含めて、自分が夏休み前と比べてどんな力を身につけ、どのように成長したのかを記録しておきましょう。皆さんはそのための手帳、フォーサイト手帳を持っていますよね。それを有効に利用してください。さらに言えば、夏休みの記録だけでなく、2学期の目標も是非書いておきましょう。毎日を目標に向けて積み重ねていくことが大事です。
さて、本日9月1日は「防災の日」です。おうちに防災グッズは整えてありますか?家族との連絡手段や集合場所は決めてありますか?始業式の後、連絡方法についての動画を見ていただきますので、いざというとき家族の方と連絡が取り合えるようにしておいてください。
地震の心配は今に始まったわけではなく、日本は大昔から地震大国なわけですが、そのわりに古くからの建造物ってたくさん残っています。世界最古の木造建築といわれている法隆寺の五重塔は何年前からあると思います?実は1300年以上昔の建物なんです。マンションで言うと10階建て、瓦がたくさん乗っているので重さは1200トンにもなるという建物です。それが現在までにマグニチュード7.0相当の地震に50回近くも耐えて残っています。不思議だし、すごいことです。よほど頑丈にできているのでしょうか。実はその逆。とても揺れやすいんだそうです。揺れることで地震のエネルギーをうまく逃しているんです。 (パワーポイントによる解説)
この揺れてエネルギーを逃す技術は、現在日本で一番高い構築物東京スカイツリーにも活かされているそうです。
私は人も同じなんじゃないかなって思うんです。「私はこうだ」という信念を曲げない人は、とても強そうに見えるし、ある意味かっこいいし立派だと思います。でもそういう人は案外ギリギリまでがんばった挙句ポキッと折れてしまう危うさも感じるんです。
迷ったり悩んだり、心はよく揺れているっていう人の方が、建物と一緒で案外強いんじゃないかしら。心が揺れるというのは、他の人の意見に耳を傾けられたり、他の可能性をイメージできたり、他の人の気持ちを慮ることができることの裏返し。要するに心がしなやかな証拠だと思うんです。
中学生の2学期というのは心が揺らされる機会が多いと思います。文化祭の活動で友人とぶつかったり、行事と勉強の両立に悩んだり、やりたい事を探したいけど見つからなかったり。
地震と同じで心が揺れているその最中というのはとても不安なものだとは思います。そんな時は揺れを打ち消すような自分なりのリラックス法を見つけるのも良いでしょう。ご家族に愚痴をこぼしたり、たまにはやけ食いも、まぁよしとしましょう。右に揺れたものを左に戻す術ですから。
心がマグニチュード7レベルの揺れだと思ったらどうぞ大人に相談してください。保護者や先生は皆さんの味方ですし、学校にはカウンセラーの先生もいらっしゃいます。
とにかく、建物同様揺れても倒れない人が一番強い人です。
そして建物と違うところは、人は心が揺れる経験をするたびに、必ず成長するということです。悩んだり苦労したりした経験は、必ずあなたの心を大きく柔らかにしてくれます。
どんな2学期が待っているのかは人それぞれですが、いろいろな体験をしながらしなやかで強靱な心に成長していってください。
2学期も頑張りましょう!