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東洋大学京北中学校

保健体育科教諭 「M-24男子砲丸投げ」マスターズ日本記録樹立

本校の保健体育科教諭の栗本恭宏(くりもとやすひろ)先生が、「M-24男子砲丸投げ」において「マスターズ日本記録」を樹立しました。
「マスターズ」とは、陸上競技を職業としていない選手が集まる団体のことです。タレントとしてテレビなどで活躍されている武井壮さんも4×100mリレーでマスターズ日本記録を保持しています。「M-24」とは24歳以下の部類とのことで、マスターズの中で一番若い部類なのだそうです。
栗本先生は、2021年9月26日(日)に大阪府ヤンマースタジアム長居で行われた全日本実業団対抗陸上競技選手権大会において「14m68cm」という記録を投げ、上記のマスターズ日本記録を樹立しました。

この記録が、2023年7月に正式に認定され、この度、認定書と表彰盾が送られてきました。記録の認定には、砲丸の重さが合っているか、年齢や試合条件に不備が無かったのか、などと詳細な審査が必要なことから、認定されるまでにはかなりの時間を要しました。

以下は、栗本先生のお話です。

私は、大学4年生9月の全日本インカレ(日本学生陸上競技対校選手権大会)をもって競技を引退しました。引退した理由は、中学1年生から大学4年生まで10年間競技を続けてきましたが、この間、日本一になれなかったこと、世界大会に出場できなかったことが大きな理由です。
競技から引退したのち大学を卒業し、本校教諭として生徒たちと触れ合っていく中で、保健体育の授業や部活動などで生徒たちが楽しそうに体を動かしている姿を見ていて、スポーツの素晴らしさを改めて認識しました。
競技を極めようとすればするほど勝つことへのこだわりが強くなってしまい、競技に打ち込んでいる頃はスポーツの楽しさを忘れていましたが、また原点に戻って生徒たちのように純粋にスポーツを楽しもうと思い、競技に復帰しました。
一度引退をしてから再び復帰することにはとてもエネルギーが必要でした。以前のように投げることができるだろうかという心配もありましたし、試合で勝つことができるのかという不安も大きかったです。
しかし、立ち止まった後の一歩は、大きなエネルギーが必要であった分、自分自身の大きな自信にもなりました。そして何よりも、いつからでも人は頑張れるんだという勇気を与えてくれました。

人は、ふとしたタイミングで立ち止まってしまいます。私は何度も経験しています。学生であれば、学業や部活動、人間関係、恋愛などでしょうか。大人になっても様々な悩みや問題が降り注いできます。辛い時は立ち止まっても良いと思います。ですが、そのままにして終わるのではなく、また次の一歩を踏み出してみると、以前とは違う景色を見ることができるのではないのかと思います。私も立ち止まった後の一歩を踏み出したことにより、こうしてマスターズ日本記録を樹立することができました。あの時一度引退したからこそ、きっと今の私があるのだと実感しています。

中学1年生から始めた陸上競技ですが、始めたきっかけは、重いものを遠くに投げる爽快感に魅了されたからです。それから12年間陸上競技に打ち込んできました。コンタクトスポーツ(柔道やラグビーなどの競技者間の接触のある競技)ではないからこそ、自分自身と向き合う時間がとても長かったです。どうすれば今の自分を超えられるだろうか、どうしたら勝てるのかなど、常に自問自答して過ごしていました。本校の創立者である井上円了先生は「諸学の基礎は哲学にあり」と唱えました。この言葉に出会ったのは大学生の頃でしたが、それよりもずっと前の中学生の頃から、小さな哲学者として陸上競技に向き合っていたのかもしれません。そう考えると、本校で教員をしていることも何かの運命のようにも感じます。

次の目標は、この経験を生徒たちに還元していくことです。様々な面から生徒たちに伝えていきたいです。
私のことで表彰や記事に取り上げていただき本当に感謝しています。
今後、本校がより発展するために、私自身これまで以上に精進して参ります。

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