学校からのお知らせ

藤嶺学園藤沢中学校

旅立ちの君たちへ ~自利利他の心を胸に~

高校生活の締めくくりを迎え、皆さんはそれぞれの未来へと歩みを進めようとしています。新たな環境に飛び込み、多くの人と出会うこれからの人生において、ぜひ大切にしてほしいことがあります。それは、「自利利他」の精神です。
「自利利他」とは、仏教の教えであり、「自ら仏道を修行し悟りを得るとともに、他者にも仏法の利益(りやく)をもたらすこと」を意味します。分かりやすく言えば、「自利」とは、自らの成長を追求し、努力を惜しまないこと。知識を深め、技を磨き、心を鍛え、自分をより高めていくことです。一方、「利他」とは、周囲の人々の幸せを願い、行動すること。学んだことを社会に還元し、仲間を支え、家族や友人、地域の人々に感謝の心をもって接することです。
 皆さんは中学2年生のとき、「コロナ禍」という未曾有の事態を経験しました。当たり前だった日常や学校生活が、いとも簡単に崩れてしまうことを目の当たりにした世代です。その経験を通じて、「今この瞬間の大切さ」を誰よりも深く理解していることでしょう。
 今、私たちが生きる社会は、多様な価値観が共存する「共生社会」へと向かっています。AIの進化、国境を越えたつながりの拡大、そして多様性が重視される時代において、真に求められるのは、「自分さえよければいい」という考えではありません。「他者の幸福や社会全体の調和を願い、行動できる力」こそが、これからの時代を生きる上で重要なものとなります。
 どのような道を選んだとしても、「利他の心」を大切に持ち続けてください。その心が、皆さん自身の未来を、そしてこれからの社会をよりよいものへと導く確かな力となるはずです。
 皆さんの前途が光り輝くものであることを願い、餞(はなむけ)の言葉といたします。

(新聞部『大銀杏』に寄稿した文章と同一のものです。)

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