私学探検隊

国際理解教育は国内でもできる 留学生・帰国生がもたらす「校内の国際化」

オーストラリアの交換留学プログラムでの現地の生徒との様子。姉妹校は6校あり、留学制度が充実している。

グローバル化が急速に進展する現代においては、答えのない問いに対して、いろいろな人と協働しながら、自分たちなりの答えを見つけていく力が重要になります。その基礎にあるのは、さまざまな人とのコミュニケーションを可能にする英語力と異文化を理解する能力です。富士見丘では、こうした時代認識の下で、「グローバルスタディプログラム」と銘打って、英語力・異文化理解能力を育てるためにさまざまな取り組みを行っています。海外の姉妹校6校と提携した留学制度や、中高それぞれでの海外への修学旅行など、実際に海外を舞台にしたプログラムも多くありますが、今回は「校内の国際化」というテーマで、同校で日常的に取り組まれている異文化理解教育の一端をご紹介します。

双方向コミュニケーションで海外での体験を共有

夏休みの1日を使って行われるのが海外留学体験の情報交換会です。これは、姉妹校への3ヶ月・6ヶ月の海外留学プログラムに参加し、帰国した高2の生徒が、その体験を下級生と共有し、海外留学へのイメージを持ってもらうことを目的に開催するものです。このプログラムの特徴は2つあります。1つは、留学を経験した生徒が一方的に報告するのではなく、当日参加した下級生からの質問の時間を多く取り、生徒同士の双方向のコミュニケーションに重点が置かれていることです。参加した生徒からは、「留学前にはどんな準備が必要?」「一番苦労したことは?」「友達はできるの?」など、具体的な質問が出てきます。このような形式にすることで、学校から提供される情報だけではわからない、留学経験者の「生の声」が引き出され、参加した生徒たちがより「自分ごと」として留学を意識するきっかけとなるようです。2つめの特徴は、留学の主な対象となる中3や高1だけでなく、中1から参加できることです。このプログラムへの参加が、早いうちから海外に目を向けるきっかけとなり、英語の勉強への動機付けになることが期待されています。

中1は2割!国際色豊かな帰国生との学校生活そのものが異文化理解

取材に応えてくださった教頭の大島先生

海外からの帰国生の多さも同校の特徴です。なんと中1では全体の2割が帰国生です。滞在していた国も、エルサルバドル、メキシコ、ロシア、オーストラリア、中国、アメリカ、など多岐に渡り、国際色豊かです。しかし同校では、帰国生向けの取り出し授業を一部行っている以外は、あえて帰国生だけのクラスはつくらず、一般の生徒との混合クラスにしています。これによって、互いの文化の違いに直面し、それを乗り越えていく場面を経験し、異文化への理解を学校生活の中で深めています。

 

富士見丘中学校
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