大学の研究室と一緒に研究する 富士見丘が取り組む「真の高大連携」
「国際性豊かな若き淑女の育成」を教育目標に掲げる富士見丘。グローバルリーダー育成に取り組む学校として、文部科学省から「スーパーグローバルスクール(SGH)アソシエイト」に指定されました。今回は、大学の研究室と提携して生徒が未知のテーマの研究に取り組むプログラムをはじめとする「真の高大連携」について、教頭の大島先生にお話を伺いました。
大学と共同で研究に取り組む「真の高大連携」
――高大連携プログラムの概要を教えてください。
今年度は、4つの大学研究室と提携したプログラムを実施します(表1)。高大連携というと、大学の教授が学校に来て1回講義をして終わり、というのが一般的ですが、本校ではどのプログラムも、フィールドワークやワークショップ形式で生徒たちが能動的に学ぶのが特徴です。
その中でも、慶応義塾大の伊香賀研究室との連携プログラムでは、「運動量と学力の関係性に関する研究」というテーマに生徒が1年間かけて大学院生と共同で取り組みます。まず生徒の運動量に関するデータを研究室に提供し、そのデータ分析の方法や解釈の仕方について院生からレクチャーを受けます。その後、ライフスタイルの改善策について大学院生のアドバイスを受けながらグループで研究し、来年3月に最終発表を行います。
答えがない問題を解決する力を育てる
――大学と一緒に研究に取り組む意義は何でしょうか?
生徒たちが社会に出てから直面するのは、明確な答えがない問題ばかりです。そうした正解がない問いに対して、いろいろな人と相談して自分なりの答えを見つけるという、問題解決のトレーニングが学校教育に求められています。そのトレーニングとして最適なのが「研究すること」です。大学院生が取り組むテーマを一緒になって研究することで、未知の問いに答えを創りだす力を生徒たちには身につけてほしいと考えています。
また、大学での研究や、研究室における大学院生と教授の関係に触れることが、大学への理解にもつながり、将来の進路選択にも役立つはずです。
将来役に立つ力を身につけさせることが学校の存在意義だと考えています。そういう意味で、本校の高大連携プログラムは大きな意義を持つものだと確信しています。
【授業レポート】
慶應義塾大学総合政策学部 井庭研究室
「表現力を高める」ワークショップ
知識の記述・共有の方法である「パターン・ランゲージ」。今回、それを研究する慶應大の井庭崇先生によるワークショップが同校で行われました。
最初に、聴き手に新しい発想や発見を誘発する「創造的プレゼンテーション」の34のポイントについてレクチャーを受け、そのポイントを自分がこれまでに実践したことがあるかを確認しました。次に、その実践経験についてペアになって相互に紹介しあいました。最後は「スーパープレゼンテーション」として知られる「TED」のビデオを見ながら、プレゼンのポイントがどこで実践されているのかをグループで話し合い整理しました。
「これから迎える創造社会では、誰もが自分たちで創ることが当たり前になる。今日学んだことを活かして、表現力豊かに生きてほしい」という先生からの最後のメッセージは、参加した生徒たちの心に響いたようです。
富士見丘中学校
[学校HP]http://www.fujimigaoka.ac.jp/
〒151-0073 東京都渋谷区笹塚3-19-9
☎ 03-3376-1481
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