男女の特性に合わせてキャリアプロジェクトを実施。女子は中2から働く意味を考え、生き方を模索する。
人はなぜ働くのか根本から考えるのが久我山流
男女が同じキャンパスで生活しながらも、ホームルームや授業においてはそれぞれの違いを認識し、特性を伸ばすプログラムを展開する。いわゆる「男女別学」のスタイルで文武両道を実践している同校。生徒会活動や行事の中には、男女が力を合わせて行っているものもありますが、キャリア教育はどのように行われているのでしょうか。
女子部の濵眞一先生は「キャリア教育こそ、男女の特性を踏まえて進めるべきプログラム」と言います。共働きが当たり前の時代になっても、出産は女子が担わざるを得ません。子育てや親の介護も、まだまだ女性の負担が大きいからです。
「女子のキャリア教育では、働くということが、自分の人生にどういう意味をもつのかを、深く考えさせることが大切だと考えています」
自分という小さな世界から、社会へ視野を広げる2年間
文理選択(高1の3学期)までに道筋が立つよう、男子部よりも一足早く、中2から始まる『働くということ』と名づけたプログラムでは、社会の第一線で活躍する人の話を聞く「特別講義」(3回)が指南役になります。初回は「人はなぜ働くのか」をテーマに話を聞いて考えます。その後、2回の職場訪問を経て、2度目の講義に臨みます。そこでは創(クリエイティブ)・工(テクノロジー)・商(ビジネス)の分野から1つを選択して、その道のプロフェッショナルの話を聞きます。そして中3では、公民の授業を通して、興味のあるテーマを探究する『修学論文』に取り組みます。
「基本的にテーマは自由ですが、女子部では2回目の講義を冊子にして配るので、その中の気になるキーワードを掘り下げるよう指導しています」
こうした社会へ目を向ける活動が、女子の場合、自我意識が芽生える時期と重なります。本当の自分と、周囲が抱いている自分との違いに気づき、悩みながらも、継続的に社会と接点をもつことで、次第に視野が広がり、自分が社会でどう生きたいのかを客観的にとらえることができるようになります。高1の特別講義では、「生徒の成長を実感したい」と、初回の講演者が再び来校するケースも珍しくありません。
このように男女の違いを認識し、発達段階に応じて適切な教育を行えるのが、男女別学の魅力。文化祭をはじめ、同校の取り組みに触れる機会がまだまだありますので、ぜひ学校に足を運んで確かめてください。
生き方を考える久我山のキャリア教育
★この他に、卒業生や保護者による講義なども設けています。
女性の視点で働きやすい社会をつくる時代。
その力を身につけて巣立ってほしい。
社会へ出れば文理の壁はありません。どんな仕事も人のニーズと密接に結びついているため、人を理解できる豊かな心と多角的な視点を育むことも大切にしています。今の社会は男性が作ってきたもの。生徒によく話すのは「既存のレールに乗るのではなく、どういう働き方ができるのか。子育てとどう両立するのか。そこを考え、新しい価値基準を作っていくのはキミたちの世代なんだよ」ということです。女子が働く前提で、どう家庭をつくるかを、男子に考えさせる日が来るのも、そう遠くないような気がします。
国学院大学久我山中学校
[学校HP]http://www.kugayama-h.ed.jp/
〒168-0082 杉並区久我山1-9-1
☎ 03-3334-1151
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