この国で、世界のリーダーを育てたい。「世界」「英語」「専門」を深める春日部共栄の6年間
「本校が中学開設以来、一貫して取り組んでいるのが、『世界で活躍する真のリーダーの育成』です。『世界』『英語』『専門』をキーワードに、高い学力だけでなく、志す道における高く深い専門性、国境を越えて人々と協働できる英語力、そして世界に目を向け、広い視野でものごとを考えることができる力を養っていきます。」
教頭の星先生がこうお話しされるとおり、同校には、多くの体験の中で「本物」に触れることを通じて、生徒一人ひとりが将来の夢を発見し、それに向かって学び、夢をかなえる力を獲得するための様々な取り組みがあります。
今回はそんな同校の、国際社会のリーダーを育むユニークな取り組みの数々をご紹介します。
短時間で集中力を高める「Mタイム」と「Lタイム」
生徒が登校してすぐ、8:15~8:40に表1のような流れで行われるのが「Mタイム」です。ここでの特徴的な取り組みが「速読練習」と「ワールドビュー」です。「速読練習」では、オリジナル教材を用いて、目の動きを速くし、情報の処理力を高めるための訓練を行い、速読力を養います。「ワールドビュー」では、各クラスの生徒全員が交替で新聞や雑誌から興味を持った記事を抜き出し、それに対する要約・感想・提案をレポートにまとめ、それを全員で読みます。新聞を毎日読む習慣を身につけるだけでなく、クラスメイトが取り上げた記事を読むことを通じて、生徒たちの知的世界を広げ、相互理解を促します。さらに、自分の考えをまとめ、意見を形成する力を養うことにも役立っています。
月水金の放課後には「Lタイム」と呼ばれる補習と自習の時間もあります。月曜と金曜は、英語と数学について先生が指名して行う補習と、ハイレベルの講習が行われています。いずれも17時から50分間。水曜は全員が教室に残って、20分間、自学自習をします。生徒たちは学力と同時に、短い時間を有効利用する集中力を身につけます。
表1 毎朝行う朝学習「Mタイム」のメニュー
速読練習(3分) | 目の動きを早くし、目から読み取った情報を頭の中ですばやく処理するための訓練。↓ |
---|---|
ワールドビュー (1分) |
毎日の新聞や雑誌などから興味深い記事をピックアップし、それに要約・感想・提案を記した「ワールドビュー」を読む。↓ |
英語のリスニング (10分) |
耳と目と口を使って、約1週間同じ題材に取り組む。↓ |
計算数学 (3分) |
問題集の指定された問題を解き、計算能力を高める。↓ |
自習 (残り時間) |
限られた時間で集中して自分の課題に取り組む。 |
世界のリーダーとしての素養を育む「共栄グローバルプログラム」
同校が近年特に力を入れて取り組むのが、海外の人や異文化に触れる体験プログラムの充実です。「共栄グローバルプログラム」と総称される表2の取り組みではいずれも、単に英語を学ぶだけではなく、様々な背景を持つ人々との交流を通じて異文化への理解を深め、国際社会のリーダーとしての素養を身につけます。
中学1年生の夏に行われる「イングリッシュ・サマーキャンプ」では、英語で積極的に話すアウトプット活動を通して、英語を使う楽しさを体験します。中学校の学びの集大成である中学3年生は、7月に10日間の
「K-SEP(Kyoei Summer English
Program)」、直後の夏休みには「カナダ語学研修」という2つのプログラムがあり、異文化体験づくしの1年間です。
K-SEPとは、カナダの大学生10人ほどを先生として学校に招き、10日間にわたってカナダの生活や文化を学ぶプログラムです。生徒たちはテーマ別に小グループに分かれ、最後の3日間は代々木オリンピックセンターで合宿し、最終日のプレゼンテーションに臨みます。K-SEPは、生徒たちがそれまでに培ってきた英語力を高めるとともに、異文化を理解するための絶好の機会になります。
K-SEPで学んだ英語と異文化への理解をさらに深めるのが、「カナダ語学研修」です(希望制)。夏休みの期間を利用して、現地の大学の寮に宿泊したりホームステイをしたりしながら、現地の大学生や留学生と交流します。多民族国家であるカナダでの体験は、その後の英語学習への意欲を高め、海外の大学への進学に目を向けるきっかけになります。
高校進学後には、高1・2年での「ボストン・グローバル人材育成プログラム」(希望制)、高2での「シンガポール・マレーシア修学旅行」(全員参加)という2つの大きなプログラムがあります。「ボストン・グローバル人材育成プログラム」は、ハーバード大やMIT(マサチューセッツ工科大学)があり、世界の英知が集うボストンで、各国から集まった同年代の学生とともに切磋琢磨して学び、英語力やコミュニケーション力を高めます。
「シンガポール・マレーシア修学旅行」では、国際社会での存在感を強めるこれらの国の人々と交流し、アジアの勢いや多民族が共生する文化を肌で感じます。こうした経験は、その後の進路選択や職業選択など、生徒の人生に大きな影響を与えるはずです。
表2 共栄グローバルプログラム 主な取り組み
実施学年 | プログラム名 | 内容 |
---|---|---|
中1 | イングリッシュサマーキャンプ | 夏休みの校内で、外国人講師との双方向のコミュニケーション活動に取り組み、英語の楽しさを感じる3日間。今後の英語学習の動機付けとなる。 |
中3 | K-SEP(Kyoei Summer English Program) | 10日間にわたってカナダの大学生とともに、カナダの社会・生活・文化について学んでいく。合宿も行い、英語でのプレゼンテーションに臨む。 |
中3 | カナダ語学研修 | カナダの大学で、英語の授業を受けながら、現地の大学生や留学生と交流する。実践的英語力はもちろん、異文化への理解を深める。 |
高1・2 | ボストン・グローバル人材育成プログラム | ボストンの大学キャンパスで10日間、世界中から集まった同年代の学生たちと学び、英語力やコミュニケーション力を高める。ハーバードやMITの学生と交流し、海外大学への進学に目を向ける。 |
高2 | シンガポール・マレーシア修学旅行 | 現地の高校生との交流や、家庭の暮らしを経験するホームビジットにより、日頃鍛えた英語力の力試しと異文化への深い理解を目的とする。帰国後の勉強の刺激にも。 |
年間8回開催本物に触れる「講演会」
様々な分野の最先端で活躍する方々を講師として招き、「本物」を体験する場が「講演会」です。長期休暇中を除きほぼ毎月行われており、同校が力を入れている取り組みのひとつです。講演テーマは多岐に渡り(今年度テーマは表3参照)、各分野の第一人者が生徒たちの知的好奇心を刺激します。講演会は、生徒たちが普段の学校生活だけでは知り得ない様々な世界を知り、将来の可能性を探求する貴重な機会となっています。
単に講師の話を聞くだけでなく、入念に事前学習を行うことで有機的な学習を実現しているのも特徴の一つです。生徒たちは講演テーマについて事前に調べ、レポートにまとめた上で講演会に臨みます。これによって講演での学びが、ずっと深いものになっていきます。
表3 2014年度の講演会テーマ
対象学年 | テーマ | 講師 | |
---|---|---|---|
4月 | 1年 | 「メディアクリエーターの世界」 | Kプロジェクツ代表(本校保護者) |
2・3年 | 「血液の大切さ」 | 県赤十字血液センター顧問 医学博士 | |
5月 | 全学年 | 「携帯電話がつながるしくみ」 | 日本ケミコン株式会社 企画本部 |
6月 | 全学年 | 第100回記念講演「気象キャスターの仕事」 | NHK気象キャスター |
7月 | 1・2年 | 「世界の子どもたち」 | 写真家・元青年海外協力隊員 |
9月 | 全学年 | 「夢を実現する力」 | オフィス トゥリトネス主宰(元平泳ぎ日本記録保持者・本校卒業生) |
10月 | 全学年 | 「私の野球人生」 | 日本プロ野球OBクラブ理事長 |
11月 | 1年 | 「認知症について」 | 介護老人保健施設施設長(元本校後援会長) |
2・3年 | 「弁護士の仕事」 | 埼玉弁護士会 | |
2月 | 1・2年 | 「動物の病気からわかること」 | 東京大学教授 |
一人ひとりの夢をかなえリーダーシップを育む
「本校では、生徒自身が様々な経験や体験を通して力をつけ、自らの将来の道を切り拓いていけるような人になってほしいと考えています。そのような力を身に付けた人は社会に出ても必ず、周りから信頼され、リーダーシップを発揮できるはずです。その素養を育てる教育が、本校にはあります。」取材の最後に星先生は力強くこう語ってくれました。
多様な取り組みを通じて真のリーダーとしての素養を育む春日部共栄での6年間は、きっと子どもを大きく成長させてくれることでしょう。学校へ足を運び、ぜひそれを確かめてみてください。
春日部共栄中学校
[学校HP]http://www.k-kyoei.ed.jp
〒344-0037 埼玉県春日部市上大増新田213番地
☎ 048-737-7611(代)
最寄駅/東武アーバンパークライン・東武スカイツリーライン「春日部駅」からスクールバスで10分