〝当たり前のことを当たり前に〟という高度な姿勢を、じっくりと育む
男子進学校ながら、どこかほのぼのとした温かみを感じる本郷。「文武両道」「自学自習」「生活習慣の確立」という3つの教育方針を貫く同校ですが、今回は「自学自習」につながる中3の「卒業論文」、中2・中3で行われる「基礎学力試験」にスポットを当てます。高校教頭の木村友彦先生にお話を伺いました。
自己発信型学習のシンボルである「卒論」
「日本の水族館におけるペンギン飼育の工夫」「納豆について」「円高は悪くない」……思わず興味を引かれますが、これらは昨年の中3生が書いた卒業論文の題目です。
同校では高2で文理分けを行いますが、その前に、自分が興味のある分野を認識しておくことが大事だと考えています。同時に、自分の考えを人に伝える能力は、重要な要素の一つです。これらを実践する取り組みの一つが一昨年から始まった、この中3生が書く卒論です。
「卒業論文といいましても、今まで作文しか書いたことのない生徒たちにとっては難しいので、まず今興味があることは何なのかを言語化し、それについて掘り下げて考え、調査したり観察したり実験したりしながら、まとめあげます。これは、今後必要になる、探究型の学習姿勢を育む土台にもなっていきます」
と、木村先生は言います。
実際、先の題目でいえば、納豆工場に出向いたり、全国各所の水族館にアンケート調査を行うなど、生徒たちは精一杯の頑張りを見せています。
卒論は、自分の進路を考えるきっかけになるとともに、総合的な学力の向上にもつながっていくのです。
自分に欠けているところを気づかせる「基礎学力試験」
「基礎学力試験」は中2の11月と2月、中3の6月と計3回行われます。平均点が80点になる問題が出題されますが、100点満点をとれる生徒は少ないとのこと。
「個人差が出やすい英数の2科目ですが、総復習のテストで満点がとれないということは、抜け落ちがあるということ。自分が積み残しているところを認識させるためのテストなのです」
点数や順位ではなく、将来に続く、自身の課題をとらえさせることが目的なのです。
「結局、勉強するということは、知識の詰め込みではなく、今自分がもっていないものを吸収することなのだということを認識してほしいのです。それができる生徒は大学受験でも強いですね」
〝当たり前のことを当たり前にやる〟ということは簡単そうで、じつはとても高度なこと。「我々教員は、生徒たちがもつ可能性を広げていかなくてはならないと思っています」と言う木村先生の言葉が、同校の地道な指導を象徴していると感じました。
そして、多様な進路へ羽ばたいていった卒業生たちを例にひくまでもなく、その指導方針は、生徒たちによって確実に体現されているようです。
※上記はNettyLandかわら版の抜粋です。全容はこちらをご覧ください。
本郷中学校・高等学校
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