私学探検隊

3年間で130回以上。実験を重視した理科の授業が育む、論理的思考力

恵まれた環境を生かして草花の観察を体験

キク科の植物の観察

(写真上)先生に聞きながら、探していた花を見つけて貼り付ける生徒たち。タンポポと一口に言ってもさまざまな種類があるので注意が必要

東京ドーム6個分の広さを誇る日本女子大学附属中学校のキャンパス。校内には手つかずの里山など豊かな自然が息づいています。今回は、この恵まれた環境を生かして行われる理科の授業について、山本昴宏先生にお話を伺ってきました。
この日の中学1年生の理科の授業は「キク科の植物の観察」をテーマに、グラウンド近辺に生えている草花を見ていきます。こうした屋外での授業ではティームティーチングといって、1クラスを2名の先生が担当します。まずは花のつくりについての説明からスタートです。
キク科といっても舌状花と管状花があると話す先生たち。それぞれの花の実物を、配布されたプリントに貼り付けていく生徒たち。一通りの説明を聞いたら、グラウンド近辺に咲いているキク科の植物の採取するため、散らばっていきます。「これが先生の言っていた花かな?」と、生徒たちの様子も真剣そのもの。間違った花を貼ってしまうと、再提出になってしまうのです。
こうした草花の観察を校内でできるのも、豊かな自然が残る環境があるからこそ。とは言っても、授業を進める上での苦労もあるそうです。「実は多くの花の開花期間は一週間程度なんです。だから授業が雨で変更になったり、初めと終わりのクラスでは、採取する花も変えなくてはいけません」と山本先生。そこで常に校内の花の咲き具合もチェックしているそうです。また、草花の観察以外にも、「グラウンド近辺と雑木林に生息する昆虫の違い」といった観察も通して、中学1年生は理科への興味を深めていくそうです。

理系進学だけでなく論理的思考習得にもプラスに

こうした理科の授業全体に関して、理科担当の下村由紀子副校長からもお話を伺いました。「日本女子大学附属中学校では、理科の授業で実験を多く取り入れている点が特徴です。その回数は、3年間で131回にもなります」とのこと。この数は、中学での理科の授業時間数に相当するそうで、常に何らかの実験を行っていることになります。「実験を通して、本物に触れることを重視している」という下村先生は、「たとえば、磁界にしても写真で見るのと、実際に磁石を使って試してみるのとでは理解度も、そこからイメージできることも大きく違ってきます」と語ってくれました。恵まれた環境は周辺の自然だけでなく、科学棟と呼ばれる理科の実験専門の教育棟に代表される、充実した施設・設備にも表れています。高校に進学すると、さらに高度な実験にも挑戦するのだそうです。この結果、女子校としては珍しく大学進学時に理系学科を選ぶ生徒が4割に達するとか。「科学の良さは、仮説を立ててそれを検証しているという過程にもあります。そこで培った論理的な思考は、文系・理系を問わず役立つのではないでしょうか」と下村先生。中学1年次からの充実した理科のカリキュラムは、生徒たちのさまざまな部分でプラスに働いているようです。

※上記はNettyLandかわら版の抜粋です。全容はこちらをご覧ください。

日本女子大学附属中学校
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