私学探検隊

ビブリオバトルで心を動かすプレゼン力を身につける

幅広い世代に人気の書評合戦

ビブリオバトル

発表の練習以外にも、聞き手も聞く姿勢を学ぶ

最近よく耳にする「ビブリオバトル」。これは、本を勧めるプレゼンテーションを行い、1番読みたくなったチャンプ本を投票で決める書評合戦です。京都大学で始まり、図書館や書店でもイベントとして行われているほか、中高生の全国大会も開かれるようになりました。
このビブリオバトルを中学1年生の国語の授業に取り入れたのが、市川中学校です。指導を担当した大澤和仁先生と、クラスで1位に選ばれた2人の生徒からお話を伺いました。

「聞き手の心をつかむ」プレゼンの基礎を学ぶ

「市川中学校では毎朝の10分読書を取り入れており、生徒にも本を読むことが浸透しています。ただ、ほかの生徒がどんな本を読んでいるのかは、なかなか見えていませんでした。このビブリオバトルを通して、お互いにどんな本を読んでいるのかを知り、これからの読書生活につなげてほしいという思いがありました」と語る大澤先生。
授業では、まずビブリオバトルの動画を見て理解を深めます。「そのうえで、紹介する本のマインドマップを作成します。内容のほか、著者のプロフィールやその本との出合いなど、さまざまな観点で書き出していき、考えを整理します」(大澤先生)。話す内容をまとめたら、まずは班の中でビブリオバトルに挑戦。「あらすじを紹介するのではなく、その本との出合いを話したり、プレゼンの冒頭を印象的なセリフから始めたりするなど、聞き手の心をつかむ工夫について考えてもらう」のもこの授業の狙いです。

生徒が本に親しんでいるからこそできる教育

実際に参加した生徒にも感想を聞いてみました。「本と一緒に、僕自身についても知ってもらいたいと思い、話す内容やジェスチャーなど、表現の工夫を考えました」と語るのは絹井凜太郎くん。龍美羽さんは「興味をひくこと、おもしろそうだと思ってもらえるよう伝えることが大変でした。ニュースのアナウンサーや大統領の演説、授業で話す先生を見て、伝わる話し方を参考にしました」とのこと。
単なる読書感想ではなく、聞き手にその本の面白さを伝え、読みたいと感じてもらうことが重要なビブリオバトル。プレゼン能力が必要なうえ、何よりも本をきちんと読み込むことが求められます。中学1年生でそれができるのも、毎朝の10分読書などの取り組みが役立っているに違いありません。大澤先生によると、今後はほかの学年でも行っていきたいとのことでした。

絹井凜太郎くんのオススメ本はコレ!
『レベル7』宮部みゆき著

「最初に『レベル7まで行ったら戻れない』という本の中のセリフを引用し、『裏切り』というフレーズを意図的に何度も使用して関心を持ってもらうように工夫しました。読書は好きで、小学生のころから両親と面白い本を貸し借りしています」

龍 美羽さんのオススメ本はコレ!
『Warriors』エリン・ハンター著

「海外で生活していたときに読んだ大好きな本(英語版)です。この本を広めるチャンスなので、本番ではこの本への思いを伝えつくしました(笑)。大変でしたが、人前で話す自信がついたと思います。これからもビブリオバトルに挑戦したいです」

※上記はNettyLandかわら版の抜粋です。全容はこちらをご覧ください。

市川中学校
[学校HP]http://www.ichigaku.ac.jp/
〒272–0816 千葉県市川市本北方2–38–1
☎ 047–339–2681
最寄駅/京成本線「鬼越駅」徒歩20分。JR総武線・都営新宿線「本八幡駅」、JR武蔵野線「市川大野駅」、JR総武線「市川駅」、JRなど「西船橋駅」からバス。(「西船橋駅」からは登下校時のみ直通バス)