世界に通用するコミュニケーションには“普遍の型"がある。現代日本に必須のその「言語技術」で、すべての学びの地盤作りを目指す
グローバル人材の育成のためには、母語でしっかりとコミュニケーションできることが最重要と考える同校は、つくば言語技術教育研究所と提携し、2012年から「言語技術」の授業を実施しています。その「言語技術」について、入試広報部長の小澤宗夫先生にお話を伺いました。
中学の3年間で学ぶ「言語技術」とは?
言葉の使い方や話し方には、〝普遍の型〟があります。Language Arts(言語技術)を通してそれらのことを習得することができます。「日本人らしい〝察し合う〟ことは素晴らしいのですが、空気を読むコミュニケーションは、世界のスタンダードなコミュニケーションとは乖離(かいり)しています。グローバル社会を生き抜くためにも、日本文化を発信するためにも、この『言語技術』は最も重要なものだと考えています」と小澤先生。「欧米をはじめ、※諸外国で実践されている母語教育が言語技術に根ざしていることを考えると、日本人がいくら英語を話せるようになっても、言語技術のベースがないとうまくコミュニケーションがとれません」
自分の考えや意見を、客観的根拠に基づいて明確に伝える。その術を身につけるのが「言語技術」ですが、同校では中学の3年間、週に1時間正課として学んでいます。そして、「論理的思考」「批判的思考」「鑑賞」などの力を体系的に身につけ、グローバルなコミュニケーション力の下地をつくっていくのです。「生徒も意見を問われたときに感想を言うだけではなく、学んだスキルを生かした話し方ができるようになっていきますが、そのように成果が可視化できるのもこのプログラムの特徴です」
世界標準の母語教育それが「言語技術」
言語技術は「『個』としての自己の自覚」も促し、後に行われる海外研修での「異文化・多文化との積極的交流」の下地にもなりますが、教科学習においても文系はもちろん、理系にこそ大きな成果が表れると言います。
「言語技術のスキルがあれば、研究成果を最短で伝えられますし、活躍できるステージが広がります。生徒自身が成果を最初に実感できるのは大学の小論文かもしれませんが、社会に出たあとで、あらゆるコミュニケーションの基盤になることは間違いありません」
先生は興味深い例も話してくれました。言語技術は日本サッカー協会などでも取り入れられていますが、プレーについて選手に論理的に説明させることを習慣化したことが、日本サッカーを世界レベルに引き上げた要因の一つではないかと。
100年以上前に、同校の創立者で、日米貿易の先駆者である森村市左衛門翁は、「日本人はもっと教養を身につけ、独立心を養うべきだ」と、グローバル人材育成の必要性を説いています。その思想を支柱に実践される同校の「言語技術」は、いま、各教科への広がりを目指しています。
※「読む・書く・聞く・話す」の4技能をバランスよく伸ばす指導で、“物事を構造的にとらえる力”“分析し、解釈する力”“教養をもとに批評する力”を体系的に養っている
「言語技術」のカリキュラム例
問答ゲーム → 空間配列の説明 → 再話 → 丸本
物語を読むとき、従来の国語が読解力を重視するものとすれば、言語技術では、根拠をすべて洗い出してキャラクター分析をするなど、きわめて論理的な読み方を学びます。
まず「□□は好きですか?」「それはなぜですか?」という【問答ゲーム】に始まり、パラグラフ構成(主題文+展開文+まとめ文)で意見を述べる訓練をします。次に、たとえばフランス国旗を言葉だけで正確に説明する【空間配列の説明】、先生が物語を二度くり返し読むのをメモをとりながら聞き、その後、物語を忠実に再現する【再話】、そしてキャラクター分析など、本格的なテクスト分析を行う【丸本】へと発展。授業の最後には必ず、学習したことに基づいて作文を書きますが、その数は3年間で約60本。考え、組み立て、書く力が確実に育っていきます。
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「言語技術」で身につく力
・自分を客観視し、明確な根拠をもとに意見を組み立てる力
・論理的・客観的に事象を分析して説明する力
・メモをとる力、物語を細部にわたって構造的にとらえる力
・大学や実社会で求められる精緻な考察力・分析力
※上記はNettyLandかわら版の抜粋です。全容はこちらをご覧ください。
森村学園中等部
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