私学探検隊

社会課題に「自分事」として立ち向かうマインド作りを全学で支援

SGH指定から3年目となり、研究発表での受賞など、着実な成果が見え始めた富士見丘中学高等学校。前号に引き続き、台湾での海外フィールドワークについてお伝えすると共に、今後の教育内容の更なる深化について、広報部長の佐藤一成先生にお伺いします。

―前提として、まずは岩手県釜石市へのスタディツアーについて教えてください。

本校のSGHプログラムでは、高1時に全員必修の「サステイナビリティ基礎(サス基礎)」を行い、高2で選択科目「サステイナビリティ演習(サス演習)」として海外フィールドワークを含む活動をしています。
サス基礎では、教科横断型の授業で災害・環境問題・開発経済などの分野について学び、10月に釜石へのスタディツアーを実施。東日本大震災で甚大な被害を受けた釜石市で様々な問題と向き合いながら、社会課題への当事者意識を高めることを目標としています。
復興住宅や漁港などの見学の後、大学生の協力も頂きつつ、グループでテーマ討議を行いました。「災害」チームでは、来るべき首都直下地震を見据え、「自分が都知事だったらどうするか」を激論、「自分事として」考えさせます。最終的に、市民の方々や市長の前で発表しました。
「被災地の現状について肌で学べただけでなく、課題に対し真剣に向き合うことができるようになった」と、生徒の感想。9割近い生徒が「社会問題への関心が高まった」と回答しました。

―台湾も日本と同じ地震国ですね。

1999年の集集地震の震災遺構として保存され、18年がたった今も、生々しい記憶を伝えるスポットとなっています。

1999年の集集地震の震災遺構として保存され、18年がたった今も、生々しい記憶を伝えるスポットとなっています。

はい。台湾では、1999年に起きた「集集地震」をテーマに現地高校との交流を行いました。
事前学習として、慶應大で地震災害を研究する大木聖子准教授の協力を頂き、「自分たちでできる地震対策」について検討。防災用品を入れる「防災ポーチ」の所持を呼びかける内容と、災害時の防御姿勢を紹介する内容、2種類のCM作品を制作しました。
台湾では、国立成功大学防災研究センターの賴文基准教授のコーディネートを頂き、現地校と交流。過去に倒壊した建物を後の世代に受け継ぎ、「地震と共存する」意識を幼いころから持つ教育を行っていることが大変印象的でした。
本校生徒の保護者である林敬三・名古屋産能大教授による中国語の講座を事前に実施して頂いたことで、交流がスムーズに進んだことも嬉しい成果でした。

―5年間のSGHも折り返しの年となりますが、今後の展望についてお聞かせください。

事業としてのSGHが終了しても、探究を中心としたこの取り組みを続けていけるよう、数年をかけて学内の仕組みを整えていきたいと思っています。
例えば、教科の中でも、サステイナビリティに関連する内容を結び付けて連携し、全体として効率的かつ深い学びを実現できるようカリキュラムの刷新を図っています。また、教員が輪番でSGHを担当するようにし、教員自身の意識やスキルを向上させるような組織を整えています。

 

※上記はNettyLandかわら版の抜粋です。全容はこちらをご覧ください。

富士見丘中学校
[学校HP]http://www.fujimigaoka.ac.jp/
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