ことばの表現力を磨く新授業、 2020年教育改革を先取り
2020年の新しい大学入試では、知識量や暗記量よりも、表現力や論理的に説明する力、そして資料の分析をもとに自分の考えを述べる力などが必要となります。それは、これからの多様な人々や価値観が溢れる、グローバル社会での生きる力なのです。
自分で分析し、考え、文章や発表で表現する力を養うために、今年から共立女子中学校が独自にスタートさせたのが、「国語表現」の授業です。どうしても「読む」「聞く」ことに時間をかけがちな国語の授業とはまた別に、中学1年生から3年生まで全学年で週に1時間の「国語表現」という科目を創設しました。
「これまでも共立では、読書習慣を身につけるための『読書ノート』や様々な機会で作文を書くことを実践してきました。しかし、最近ではどう作文を書いたらいいのか分からないという生徒の声を聞くようになり、もっときちんと一緒に授業内で取り組む時間が必要だと考えたのです。きちんとしたフォームを身につけないでバットで素振りをしてもなかなか上達しないのと同じで、基礎をきちんと学べば、生徒たちもさらに伸びていくと思っています」
と広報部で国語科の金井圭太郎先生。一人ひとりの生徒に寄り添えるようにと、授業は1クラスを半分に分けた少人数で行われています。
メディアリテラシーから創作小説まで多様な授業
中3の国語表現の授業を訪問すると、PC室でメディアリテラシーをテーマに発表が行われていました。班ごとに時事ニュースの題材を1つ選び、新聞、ウエブニュース、個人ブログと複数のメディアでの書かれ方を比較したうえで、メディアとの付き合い方を考えます。筆者の意見、写真の選ばれ方、事実関係の詳しさ……。生徒たちは比較することで見えてきた違いを説明し、メディアとの付き合い方を改めて学ぶ機会になりました。担当している塩畑先生は、「『書くことが苦手だった』、『なんとなく書いてた』という生徒たちの感想を読むと、改めて表現に絞った少人数授業の必要性を感じています」と話してくれました。
一方、中2の教室では、教科書から気に入った短歌を1句選び、そこから1000字程度のストーリー創作を行っていました。短歌の言葉一つ一つから何を連想するか、登場人物はどんな人なのか、など先生が段階を追って出してくれるヒントを足がかりに生徒たちは熱心に取り組み、空想の扉を開いていました。
デジタルとアナログ表現力を伸ばすツールに
国語表現の授業では、こうして年に数回はPCを使って調べ学習や発表を行う一方、図書室を活用することもあります。
「ITを使いこなすことは大事ですが、本を読む力や手で書く力、口頭で発表できる力はこれからも必要なスキルですよね。意見交換が活発になる仕掛けで、授業の最初に言葉のゲームによる、コミュニケーションタイムを取ることもあります」と金井先生。
先生たちの創意工夫で始まった共立の「国語表現」の授業は、さらにこれから進化し、生徒たちの表現の羽を伸ばしていってくれるでしょう。
※上記はNettyLandかわら版の抜粋です。全容はこちらをご覧ください。
共立女子中学校
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