学校改革2年目。「深化と挑戦」を スローガンに、さらに進化を続ける 「NEW江戸取」の真価に迫る!!
昨年の創立41周年を機に「NEW江戸取」を旗揚げし、そこに向けた学校改革に着手して2年目。「形ができてきたので、さらに深めていきたいと思います」と語る校長の竹澤賢司先生に、その成果と、さらなる展望を伺いました。
授業参観の参加率が8割超え。
改革2ステージへの期待が高まる
ゴールデンウィーク明けのある日、中学で今年初めての授業参観が行われました。参加した保護者は、なんと8割にも及びました。中1だけで見ると93%、なかでも2クラスは100%だったそうです。そして、両親そろって参加した方は45組も。この保護者の方々の熱意からも、同校の進化しつづける教育への期待値がうかがい知れます。
「一昨年に創立40周年を迎え、本校はようやく学校としての型ができたように思います」と校長は言いますが、改革1年目の昨年には、探究学習のテーマにSDGs(※1)を設定したり、放課後講習を再構築したアフタースクール(※2)を開講したりと、さまざまなトピックがありました。そして、今後は2段階でさらに変化していくと言います。
「第1段階の要になるのは今の高1です。彼らは、中学で『医科ジュニア』『東大ジュニア』『難関大ジュニア』というコース制を導入した1期生に当たります。中学時代は幅広い視点で学んできましたが、これからは焦点を絞っていく時期になります。本校のプログラムの中でどれだけ成長していってくれるか、とても楽しみですね」
第2段階の要は中1の、小学校からの一貫生の存在です。
「今年、付属小学校から63名が中学に入学しました。その63名は8クラスの中に均等に振り分けていますが、小学校では『7つの習慣』(※3)を徹底させていることもあり、早くもリーダーシップを発揮しています。最初はこの生徒たちが核になるでしょうが、徐々に全体にシナジー効果が出てくると思います」
「伸びようとする芽を存分に伸ばす」教育を展開
ここで、改めて同校の根っこを振り返ってみましょう。教育方針は「規律ある進学校」。そこには、「規律とは互いを思いやる心で支えられるもの」という確固たる信念があります。「学問とともに礼儀やマナーもきちんと身につけ、我慢する力や継続する力なども自分の型として体得する。そういった、人としての基礎をしっかりつくるのが中高時代です」と、校長は語ります。
伝統的に大切にしている「道徳」を根幹に、「心力と学力と体力のバランスのとれた三位一体の教育」を展開する同校は、創立以来、「世界を築く礎となる人材の育成」を目指してきました。「学校は、主体性を持って自立し、豊かな人間関係を構築できる人間を育てなければなりません。教育は、そのためのものだと思っています。そして、教師は手取り足取り教えるのではなく、状況を見ながら『ここだ!』という時に背中を押す、生徒に寄り添う姿勢が大切です。それが、我々が考える『伸びようとする芽を伸ばす教育』です」
その一番のモットーが「授業が一番」。「授業が生命線です。教室が、教師と生徒が共に学問の素晴らしさ、おもしろさを追求する空間であるか。そこが肝心です。大切なことが皮膚感覚で伝わる、それが教育ですから」。だから、家庭でも親子で話題を共有してほしいと。「親の言葉や姿というのは、雨のひと雫のように子どもの心に染み込んでいくものです。そういう意味でも、親御さんとも語り合える学校でありたいですね」
そして、保護者の方に望むべくは、世界型人材の育成に努める学校の雰囲気と生徒たちの動きが、入学後の6年間でどう変わっていくかを見守ってくれることに尽きると言います。
総合的な人間力を身につける「3つの目」を育てる
今、「人生100年時代」と言われますが、だからこそ、「100年もつ人間力をどう構築するか。最も大事なのは、教育の質を落とさないことです。人間性の劣化が、物事の質を劣化させる。そのために、学校は長期ビジョンをもって、人づくりをしていかなければなりません」
人づくりとは、もちろん総合的な人間力を持った人材を育てることです。そのためにも3つの目を育てることが重要だと言います。「全体を俯瞰する『鳥の目』、足下をしっかり見つめる『虫の目』、そして流れに流されない(時流を見極める)『魚の目』です」
「世界に遅れてはならない、経済力をつけなくては、生産力を上げなくては」と、表層的なことに振り回されていると、それが教育にも暗い影を落とす、と校長は言います。だからこそ、この時期は急がず、じっくりと物事を読み込む姿勢を大切にする教育が大事なのだと。
そこで、今後は試験もこれまで以上に思考力や判断力、分析力などタフな学力を問う問題に変えていく予定だそうです。「そうしないと、予期しない問題に対応できなくなります。さまざまなものに触れていれば、そこから突破口が見えてきますから」
日本人としての独自性を持った「世界型人材」へ
そして、世界型人材の育成を目指すには、日本人としてのアイデンティティーが欠かせないとも。
「日本人は、凛としたものを大切にしてきました。建築一つを取っても、釘を使わず、気候によって伸び縮みし、年月が経てば経つほど強度を増す造りになっているなど、日本人がDNAとして持っている、そういう知恵や精神性に寄与する人材も育てたい。その意味では、世界において、日本人の出番はこれからだと思っています」
「心は鍛えるもの。そうでなければ本当の優しさは生まれない」「タフな学力を支えるのは人間力」という教育思想が導き出す江戸取の今、そして次の一歩に、ぜひご注目ください。
※3 7つの習慣…世界に通用する道徳性を培うもの。「主体性を発揮する」「目的を持って始める」「重要事項を優先する」「Win-Winを考える」「相乗効果を発揮する」などがある。
※4 アメリカ・アカデミック・ツアー…グローバルな観点で物事を考える力を身につける研修(中高/希望者)。年々参加者が増えているが、昨年度は38名が参加。
生徒たちの「伸びようとする芽」が芽吹き出している
「我々がプラットホームさえ作れば、生徒たちはいろいろな分野で動き出します」と校長。一例として、アメリカ・アカデミック・ツアー(※4)に参加した中2生の感想文を一部、要約してご紹介します。その生徒が参加した理由は、英語力を伸ばしたいからでした。しかし、彼女はこのツアーで、「鳥の目」(本文参照)を得たのです。それでは、たった1週間の中での彼女の心の変遷を追ってみましょう。
「私の夢は、千葉県の農林水産部に所属して農産物を、海と空で繋がっている世界中に売ることです。将来、千葉県の農村部における地域活性化に努めるため、外国でも通用する英語力を求めてこのツアーに参加しました」
「ハーバード大学のメディカルセンターやマサチューセッツ工科大学を訪問しましたが、訪問前は医学や工学は私には関係のない学問だと考えていました」
「しかし、ハーバード大学で貧しい人の歯の状態から社会福祉を考えるなどのお話を伺い、学問とは、直接自分に関係がなくても学ぶべきだと学ばされました。ただ一つに決めつけず、広い視野で物事を見ることが必要だと思いました」
「私は将来、アグリビジネスに就きたいと考えていますが、おそらくすべての学問が役に立つと考えられます。一歩進んだ研究には、幅広く、より多くの知識を身につけることが前提にあることを知りました」
この生徒は北海道大学の農学部農業経済学科への進学を希望しているそうですが、今後さまざまなことを経験していくなかで、志望が変わることもあるでしょう。でも、この感想文からはその時々に敏感に心が動き、夢を持てる環境があることがいかに貴重かということがおわかりいただけると思います。そして、それも「伸びようとする芽」を伸ばす教育、そのためのプログラムの数々を用意していればこそです。
2019年入試には「英語入試」を導入。
英語力育成も加速している
2019年入試で新設した「英語入試」で入学した生徒(6名/全員が英検2級もしくは準2級取得者)、また今年から付属小学校から上がってきた生徒(63名)、そして一般入試で入学した生徒を合わせて、学年全体の41%が5級以上の取得者で、22%が英検3級以上の取得者とのこと。このように、「英語教育」のいっそうの強化も、学校全体を活性化することは間違いなさそうです。なお、付属小学校出身者は小2から英語を学んでいるため、英語だけは取り出し授業を行いますが、中学からの入学生でも英語が相応のレベルの生徒は、一緒にその授業を受けることができます。
※上記はNettyLandかわら版の抜粋です。全容はこちらをご覧ください。
江戸川学園取手中学校
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最寄駅/
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常総線「寺原駅」下車、徒歩20分
TX「守谷駅」下車、西口よりスクールバス20分(または守谷駅からの直通バス)