「進路指導」「理数教育への期待」が入学の決め手に卒業生の45%の理系進学を可能にする理数教育
数学への苦手意識が好きから得意に変わる6年間
2020年度入試で「算数1教科入試」を導入し、昨年比1.5倍の志願者数を集めた田園調布学園(世田谷区)。女子の特性に即した理数系教育に定評があり、2020年春の卒業生の45%が理系の進路をかなえています。
しかし、数学科主任の長岡先生は、「元から理系が得意な生徒ばかりではないです。理数系科目に苦手意識を持って入学してくる生徒も多いです」と話されます。生徒たちの苦手意識をどう払拭し、得意科目に変えていくのか? 同校の数学科の取り組みについて長岡先生にうかがいました。
手で触れる、遊び感覚など、具体的な体験から抽象概念の理解へ
「数学科では、具体から抽象へを大切にしながら、授業を組み立てています。女子はよく、立体を想像することが苦手だと言われますが、立体のパズルや模型を実際に触ってもらったり、カードや謎解きパズルを取り入れたりと、数学に苦手意識を持っている生徒たちにまず興味関心を持ってもらうことを心がけています。
また、女子生徒の多くが、完ぺき主義というか、『わかった』と感じるまでのハードルが高いような印象を持っています。問題を何回も解いて、間違えないようになって初めて、その単元を理解できたと思えるようなのです。ですから授業でも、難しい概念は、特にていねいに説明したり、『今は完ぺきにわからなくて大丈夫だよ』と声をかけたりしています」(長岡先生)
数学が得意でなくても輝ける「関数グラフアート」
数学への興味関心を高める取り組みは、授業外でも行われています。例えば、中2・3の冬休みには、様々な関数のグラフを用いてイラストを描く「関数グラフアート」に全員が挑戦しているそうです。
「中1の後半より生徒が1人1台所有しているChromebookのアプリを使って作成しています。なぜこの数式がこのグラフの形になるのか、という理解を深めるために始めた関数グラフアートですが、今では、『こういう線を描くためにはどのようにしたらよいか』と、習っていない関数を自発的に調べる生徒が多く出てきました。関数グラフアートで活躍する生徒は、数学が得意な生徒とは限りません。イラストが得意な生徒やじっくりと取り組む作業が得意な生徒なども力を発揮しています。毎年力作ぞろいで、全国大会でも数年連続で入賞しています」(長岡先生)
今回の新型コロナウイルス感染予防のための休校期間に関数グラフアートの世界大会が開催された際も、準備期間が数日だったにもかかわらず70名もの生徒が応募。全世界4000通以上の中から入選した日本人作品3点のうち、2点が田園調布学園生の作品だったそうです。
苦手意識のリセットと、得意をさらに伸ばすことの両輪で生徒のニーズに応える
「算数1教科入試を経て入学した理数科目に自信のある生徒に対しては、授業や学外のコンテスト活動などでさらにその力を伸ばし、苦手意識をもつ生徒にはその気持ちをリセットして学んでいけるよう、ていねいに指導していきたい」と長岡先生。「理数の力を伸ばしたいという生徒の思いに応えられる教員が、本校にはそろっている」と断言される長岡先生の言葉に、頼もしさを感じました。
女子生徒の特性を熟知しているからこその指導アプローチで、理数科目を苦手から得意に導いてくれる田園調布学園に、今後も注目です。
※上記はNettyLandかわら版の抜粋です。全容はこちらをご覧ください。
田園調布学園中等部
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