休校中も一人ひとりとつながる実感を大切に生徒の状況に合わせたオンライン授業を実践
4月初旬から始まった休校中の学習環境の整備
政府の緊急事態宣言を受け、4月から5月にかけて各学校現場は前例のない対応に追われましたが、恵泉女学園では「生徒たちの学びを止めない」という強い思いで休校中の授業体制を整備していきました。
4月初旬は、自宅学習用にレターパックによる教材の郵送を3週にわたって実施、担任がクラスの生徒に電話で安否確認を行いながら、オンライン授業のためのネットワーク整備について各家庭と連絡を取りました。この段階で教育プラットフォームのClassiとGoogle Classroomのアカウントを配布。こうした初期対応を踏まえた4月中旬からの取組みについて、校長の本山早苗先生に伺いました。
授業動画やライブ授業により生徒の様子を見ながら指導
「規則正しい生活を促すため毎朝8時に礼拝動画を配信した後、恵泉YouTubeチャンネルで各先生による授業動画の配信を始めました。事前にICT委員の教員が、音声をはじめとする技術面と著作権や生徒の個人情報などの法的問題をチェックしました。各教員は講習会で学んだ知識を使って、動画の挿入や紙芝居風など個性的な工夫を施した動画を作成し、6月の休校明けまでに900本を超える動画が配信されました。
質問アカウントに寄せられた生徒の質問に、専任だけでなく非常勤講師も含めて翌日までに返信しました。教科の全教員で質問へのやりとりを共有したため、教員同士の指導力向上にも寄与しました。
5月に入るとZoomでの朝のホームルーム、時間指定による個人面談や学年集会、さらにライブ授業も始めました。ライブ授業はその場で指名もできるため生徒も緊張感をもって臨みます。一方、配信動画は何度も見られるので、ゆっくり学びたい生徒には有効でした。教員たちは、これらを一方的に行うのではなく、常に個々の生徒の様子を確かめながら指導していきました。
このような段階を経て5月11日には、時間割通りのオンライン授業をスタートさせました。時間割表には各授業で利用するツールと準備する教材の範囲も載せました」。
事前に内容を通知することで、家族とPCを共有する生徒も、家庭内で使用時間の調整ができ、円滑に授業に参加できたそうです。
今回培ったノウハウを活かして柔軟に対応できる体制を整備
6月第2週目から、週1日1時間のホームルームのための登校を始め、徐々に緩和しながら4週目には通常授業に戻りました。そして6日には2か月遅れの入学式も行われています。
「社会的距離を確保するため、校長挨拶を5分にし全体で30分にコンパクト化した式典を1クラスずつ1日5回に分けて行い、式の間には会場の消毒も実施しました。上級生が作った人形を胸に付けて臨む当校の伝統は引き継いで実施し、当日は、新入生201名全員が出席しました。保護者に伴われて、通学路を覚えながらの初登校が実現できたのです」。
玄関の非接触型体温測定器や各クラスの非接触体温計、発熱症状が出た生徒を区分けするパーティションなど、学校再開に向けた設備拡充も同時に行われましたが、今後に向けて本山先生はこう結びました。
「生徒一人ひとりとつながっている教育の継続を第一に考え、今回培ったノウハウを糧に対処すれば、どんな状況になっても最善の学習環境を創造していけると思います」。
※上記はNettyLandかわら版の抜粋です。全容はこちらをご覧ください。
恵泉女学園中学校
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