振り返り、記録することで未来につなげる。 中3生が挑んでいるポートフォリオ
行事体験直後の感想を記録する
本庄東高等学校附属の中3は、「ポートフォリオ」に取り組んでいます。「ポートフォリオ」とは学習や行事、クラブ活動など、日々の活動を記録することです。新しい大学入試では「ポートフォリオ」の提出が求められる場合があります。また日々の活動を記録することは、「主体性」や「思考力」「表現力」の育成につながると言われています。
「ポートフォリオ」を中心になって指導するのは中3のクラスの担任・髙坂尚康先生(社会科)です。髙坂先生に、同校の「ポートフォリオ」についてお話を伺いました。
「私は以前、本庄東高等学校で進路指導の担当をしていました。そのとき、附属中学出身の生徒が修了研究で書いた『源氏物語の研究』を発展させ、大学入試の研究報告書として提出し、書類審査を突破したことがありました。中学生のときの取り組みが大学入試でも評価されるのだと知りました」
髙坂先生のクラスの生徒でもある森健人くんと須藤彩莉(あやり)さんに、「ポートフォリに取り組む」と聞いたとき、どんなふうに思ったのか、聞いてみました。
森くんは「最初は面倒臭いなと思いましたが、いまは楽しんで取り組んでいます」。一方、須藤さんは「もともと日記をつけたり、記録することが好きだったので『楽しそう』と思いました」と言います。
具体的にはどのようなことを行っているのでしょうか。
「たとえば、中2の京都・奈良校外研修です。研修ではお寺の朝のおつとめを見学したり、写経や能などの体験をします。行く前は事前学習し、イメージを書き留めておきます。体験直後に学んだことや発見したこと、刺激を受けたことなどを記します。体験してから時間が経過して書く作文とは違い、そのときに感じたことや思ったことを素直に記録することができるので、より細かな感想が出てきます。作文のようにきれいにまとまったものではなく、臨場感ある、生徒の個性が光るコメントが出てくるので、そこもおもしろいですね」
コメントは『京都奈良研修ポートフォリオ佳作集』としてまとめられ、中3の生徒全員の手元に。
佳作集から一部を紹介しましょう。たとえば、事前学習では写経について「ただ字を写すだけ」と思っていた生徒は、体験後、「ただ写すだけでなく、仏さまに願いをしながら写していくことがわかった」とコメントしています。
生徒の内面や成長も見ることができる
「ポートフォリオは行事ごとに作ります。それが第三者から評価されると、行事に対するモチベーションアップや自信にもつながります。また、同じ行事でも、学年が進むにつれ成長すると、違った感想をもつことにもなるでしょう。ポートフォリオは生徒の成長や内面まで知ることができるので、進路指導にも役立つと思います」
ポートフォリオ作りには、リクルートの“スタディサプリ”を利用しているそうです。
「アンケート機能を利用して、生徒たちに課題を出したり、質問をしたりしています。新型コロナウイルスで休校中は、本の紹介、また、夏休みには“大学調べ”をしてもらいました。中3だとまだ大学について具体的なことは考えていないのですが、これから高1、高2になると、調べることもより深化していくと思うので、楽しみですね」
「ポートフォリオ」は、今後、中1と中2も取り組んでいくことが予定されています。
毎日記録をつけることも習慣化
上の写真は、森くんと須藤さんのスコラ手帳。見開き2ページに1週間分の毎日の学習記録やタスク、さらに振り返りや目標を書くことで、自学自習の力を伸ばす中高生用のスケジュール手帳です。このスコラ手帳も「ポートフォリオ」です。
森くん(上)は簡潔に、記録することが苦にならないように作っていて実用的です。一方、須藤さん(下)の手帳は、シールを貼ったり蛍光ペンで色分けするなど見た目にもこだわり、楽しみながらつけています。
ちなみに、中1と中2は、1学期に1冊の「学習理解度チェックノート」を使用。こちらは1日1ページ(日曜日のみ2ページ)で、毎日の時間割や学習計画を記入します。このノートをつけていたことがベースとなり、スコラ手帳になっても違和感なく、記入できるようです。
①「期末考査にむけての現状分析」はコピーを切って貼ったものにコメントを記入。貼ることにより課題の「見える化」という効果も。
②保護者の方から先生へのメッセージも。なお、赤字や青字は担任である髙坂先生からのコメント。
③時間割の科目は「英」「社」「理」と短く。科目の横にあるアルファベットは理解度を示す。ちなみに、「A」はよく理解できた、「B」はそこそこ理解できた、「C」は「よくわからなかった、という意味。
④帰宅後のプライベートも1時間単位で記入。「勉」は「勉強」、「食」は食事で、「ゲーム」の時間も正直に申告。
⑤恐竜に花に、顔のシール、そしてマスキングテープや直筆のイラスト。華やかに賑やかにデコレーション!
⑥小テストの結果はイラスト付きの付箋に書いて貼る。ちょっと目立つので、結果を意識することになり、勉強に対するモチベーションもアップする。
⑦授業の項目の蛍光ペンは、ジャンルごとに色分け。黄色は主要5教科で、緑色が美術や音楽など芸術関係、ピンクが運動、青が読書など好きなこととなっている。また、科目の横には授業の内容も。赤の◎や○、△は理解度を示す。
⑧シュールな感じの顔のシールに吹き出しをつけ、感想をコメント。シールの隣に「かわいくないですか?」と髙坂先生へメッセージ。それに対し、髙坂先生は「ごめん…先生には…」と返事。生徒と先生の距離が近い!
※上記はNettyLandかわら版の抜粋です。全容はこちらをご覧ください。
本庄東高等学校附属中学校
[学校HP]https://www.honjo-higashi.ed.jp/
〒367-0025 埼玉県本庄市西五十子大塚318 Tel.0495–27–6711
最寄駅/
スクールバス:JR上野東京ライン湘南新宿ライン高崎線「岡部駅」から8分、「森林公園」、「妻沼」、「藤岡」、「伊勢崎」、「籠原」からあり。