新校長インタビュー「スコアではなくプロセス 重視の学びで、自己肯定感の持てる人を育てたい」
共学化2年目を迎え、改めて建学の精神に立ち戻る
聖ヨゼフ学園中学校高等学校は、「信・望・愛」を校訓とし、70年近い歴史を持つカトリックのミッションスクールです。同校は昨年、長い歴史の中でも大きな変革となる男女共学化を実施。神奈川県内のカトリック校としては初めてのことで、大きな注目を集めました。同校が今後どのような学校づくりを目指していくのか、今年度から新校長に就任した多田信哉先生にお話を伺いました。「共学校となっても時代による変化を受け入れつつ、清水勝幸前校長が切り拓いてくれた道を受け継いでいきたい。建学の精神に今一度立ち返り、そこから枝葉を広げていきたいと考えています」と話す多田先生。もともと同校の小学校が共学で、そこから入学した生徒もいることから、ごく自然な形で男子生徒を受け入れることができたといいます。「現在、中1と中2に男子生徒がいますが、中3以上の生徒も共学化に対する受容が早く、男子生徒をヨゼフ生として自然に受け入れています。4月末に行われた体育祭ではリレーで中1が6学年中2位になるなど、大いに盛り上がりました」(多田先生)
『概念理解』を目標とするMYPの授業
同校は、2019年度国際バカロレア(IB)のMYP(中等教育プログラム)候補校となり、実際に2020年度より8つの教科群で試行授業を進めています。重要になるのが「概念理解」。概念とは「大きな考え方」のこと。例えば、中1の教科群「個人と社会」(社会)では、5ユニット(単元)の中で、ユニット1では「時間・場所・空間」、ユニット5では「グローバルなかかわり」と定めます。それぞれのユニットで探究テーマが設けられ、それに基づいて教科内容から各自が「問い」を立て、自分なりの答えを導き出す。さらには、それをどう紹介すると相手に伝わるのか、ということも探究します。ユニット1では調べ学習で終わっていた生徒も、ユニット5ではちゃんと探究学習になっていたそうです。「『シリコンバレーにとってグローバルとは何か?』というテーマで探究した生徒は『ブランドである』と結論を示しました。立地・内容・名称そのものが他者との関わりを持っているのだ、としたのです。これにはびっくりしました」と多田先生。中1から単なる知識の詰め込みではなく、広い視野や自分とは異なる視点を持ってテーマに向き合うことにより、まさに「個人と社会」とのつながりを感じさせるものになっています。
先生と保護者にプレゼンする生徒主導型面談
同校では、各学年の最後に生徒主導型の三者面談(担任の先生、保護者、生徒の三者)を行っています。これは生徒がその年学んだことについて、いくつかをピックアップし、それを通して何を学び、どのように感じたのかなどを先生と保護者にプレゼンテーション形式で発表するというものです。一人あたり15分間、手書きの資料やタブレットで作成したものなど思い思いのツールを使って表現します。本番までに生徒同士が練習を行い、お互いに疑問点を指摘し合う場にもなっています。「IBはスコアではなくプロセスを重視します。生徒主導型面談は学びのプロセスを表現する場でもあります。本校では学びを通じて得た知識や技能を糧に生き抜く力、知恵を備え、自己肯定感のある人を育てたい。そのための環境を用意しています。教員は一人ひとりに丁寧に寄り添い、最後まで諦めない人になってほしいと願っています」と多田先生。同校は従来からの伝統を守りつつ、時代に合った学びの場として、これからも進化していきそうです。
※上記はNettyLandかわら版の抜粋です。全容はこちらをご覧ください。
聖ヨゼフ学園中学校
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