「自分たちの未来は、自分たちの力で作る」 学校でのSDGsの取り組みから愛好会が発足
ベトナムに小学校ができた!? 鎌倉学園が取り組むSDGsとは
ここ鎌倉学園(以下鎌学)では、SDGs(持続可能な開発目標)への取り組みが活発化しています。SDGsは「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の略称で、2015年の国連サミットで採択され、貧困、食料、人権、環境問題など2030年までに達成するために17の目標が掲げられました。
始まりは現在の高校2年生が中学生の頃に総合学習でSDGsをテーマに取り組んだことから。この時、生徒たちはSDGsとは何か、未来への課題にどんなものがあるのかを学び、これらに取り組む神奈川県内の企業・団体を市町村ごとにまとめ、「SDGs神奈川マップ」を作成しました。海になじみの深い鎌倉ではプラスチックごみが身近な存在でもあり、ごみの分別にも積極的に取り組んで成果を出しています。
また中学3年生と高校1、2年生で行っている海外研修先のひとつであるベトナムで、教育環境の現状を目の当たりにしたことから、2017年にNPO法人シーエスアールスクエアの協力も得ながら「Bạn Thân Project(バンタンプロジェクト)」が発足しました。
目標は「ベトナムと鎌学を繫ぐ」、「ベトナムの子供達への継続支援」、「仲間作り」。「Bạn Thân」とはベトナム語で「親友」の意味があり、現地児童との交流をしながら共により良い環境を作り上げていく活動です。これまでもベトナムへの募金活動を行ってきましたが、さらに発展してベトナムのクアンナム省に小学校を建設するプロジェクトが生まれ2018年に寄贈が完了。さらにコロナ下では、現地とオンラインで連絡を取りながら新しいトイレを作るプロジェクトも進行したそうです。
こうして自分たちとの関わりから、SDGsに取り組んできた生徒たち。貧困問題や環境問題を身近なこととして捉えるようになりました。
学年の垣根なく活発に議論 主体的に取り組むSDGs愛好会
ところが、新型コロナウイルスの感染拡大のために、これまで行ってきた海外研修が中止になったり、活動頻度が減ってしまいました。そこで総合学習の担当をしていた教員が生徒たちに号令をかけると有志が集い2021年に愛好会が発足。その名も「鎌学SDGs」。現在は高校2年生、3年生を中心として中学生を含めたおよそ18人が活動しています。
「SDGsのゴールとなる2030年までに全然時間がないと思いました。自分たちが8年後にどうなっているかを考えていたら、自分たちの未来は自分たちで考えていかなければと思ったんです」(野村さん)
現在は月に1度の定例会でSDGsに関わる話し合いを行っているそうです。できるだけリアルミーティングで、学年の区別なく自由な話し合いをすることがモットー。
「学園祭でどんな掲示をするのかを話し合ったり、先輩から引き継いだベトナムへの支援活動、由比ヶ浜でビーチクリーンなど議題は様々です。みんなでビーチをきれいにする取り組みは身近でもあり、楽しくもあります。未来をよくするにもまずは近くから楽しむのがいいと思ってやっています」(鬼澤さん)
昨年の学園祭ではベトナムの伝統的な遊びの体験会や、朝日新聞が発行する「SDGs新聞」の記事を使ったワークショップを行いました。
バンタンプロジェクトの他にも、山火事で数が減ってしまったコアラを助けるために、すでに他で活動実績のあった「コアラプロジェクト」も愛好会が引き継ぎました。
「学園祭ではコアラ基金を知ってもらうために、コアラのマーチを景品にしました」(鬼澤さん)。 実は身近にあるSDGsの周知活動にも一役買っています。
「新入部員の勧誘ではSDGsに興味を持ってもらえるように、授業が終わったら廊下に出て、“SDGsすごろく”というボードゲームで勧誘したら4名入ってくれました。中学生の柔軟な発想が勉強になることも多いです。真剣な議論はまだ高校生が中心ですが、中1だからといって遠慮せずどんどん意見を出して欲しいという気持ちでやっています」(野村さん)
夏休みにはフィールドワークを計画するなど、発足1年でありながら主体的に活動しているのが印象的です。これには顧問の先生の力も。
「先生はやりたいことを自由にやらせてくれます。だからと言って放置しているのではなく、寄り添いながらプロセスをしっかり教えてくれます」(鬼澤さん)
SDGsの課題は人ごとではなく、自分ごと。そう考えられるようになったという愛好家のメンバーたち。「社会経験にもなり、自分たちの興味のあることができて一石二鳥です」(野村さん)
輪をどんどん広げていきたい 「鎌学SDGs」のこれから
愛好会ではSNSも上手に活用しています。
「自分たちの活動内容を外部に紹介する手段として、インスタグラムを使っています。海に興味のある学校と一緒にビーチクリーンをしようとか、企業ともSNSで輪が広がっている感覚があります」(鬼澤さん)
今は目の前にあること、活動していることを、ちょっとずつ広げているところだと言います。
「他人の評価より自分たちが何をやりたいか。今は世の中の情報が多く交錯しているけれど、自分たちがやりたいことは自分たちで責任を持っていきたいです」
愛好会とは思えない頼もしい意見を聞かせてくれた野村さん。同好会になる日もすぐそこかもしれません。鎌学からどこまで輪が広がっていくのか楽しみですね。
※上記はNettyLandかわら版の抜粋です。全容はこちらをご覧ください。
鎌倉学園中学校
[学校HP]https://www.kamagaku.ac.jp/
〒247-0062 神奈川県鎌倉市山ノ内110 Tel.0467-22-0994
最寄駅/
JR湘南新宿ライン 横須賀線「北鎌倉駅」徒歩13分。「北鎌倉駅」、JR湘南新宿ライン 横須賀線・江ノ島電鉄線「鎌倉駅」から江ノ電バス「建長寺」。