私学探検隊

自分の好きや得意を極め、課題発見・解決力を育成する「探究」「教科横断型授業」の取り組み

数多くの講座・体験を通じて豊かな教養を培う「土曜プログラム」で有名な田園調布学園。今年度より、生徒の課題解決力を育成する取り組みをさらに進化させています。それは、高等部で取り入れていた「探究活動」を中等部生まで広げて授業としたことと、一つの事柄を複数の教科の先生が教える「教科横断型授業」の拡充です。教務部探究係主任の長岡敬佑先生と、副教頭・教務部長の入英樹先生に、その狙いと内容をうかがいました。

ビジネスで使われる手法が学べる「探究」の授業

「今年度より、中1から高2まで週1コマの探究の授業を新設しました。この授業では、生徒たちの課題発見力を育成していきます」(長岡先生)
中等部では、企業の商品開発などで使われる「デザイン思考」を学び、学校生活における身近な困りごとの解決にグループで挑戦します。
「まずは調査をして、みなが何を困りごと(課題)と感じているかをあぶりだします。それをグループで話し合い、問題の定義と解決のアイディアを発想します。解決策は実際に試作しテストを行います。例えば、教室のロッカーを隣同士で同時に使うと扉がぶつかる課題を解決したいと、じゃばら式の扉を考案した班があります。試作品を作ってみると、さらに課題・改良点が見つかりました。このように、課題発見→解決策のテストの流れを繰り返していくのが「デザイン思考」です。授業には企業の方に入っていただいているので、生徒たちもプロの視点のアドバイスをもらいながら、楽しくも真剣に取り組んでいます」(長岡先生)
学校の困りごとについて、解決案を校長先生や各部署長へ提案する機会もあるそう。また、秋以降には東急グループとのコラボも予定されており、駅やホテルなど、身近な社会の困りごとについても考えを広げていきます。
高等部の探究の授業では、自分自身と向き合う「BOTTOプロジェクト」へとシフト。自分の好きなものを書き出す「偏愛マップ」と自身の得意・強み調査の結果から、好きと得意をかけあわせて没頭できるテーマで探究していきます。こうして自分の好きなこととじっくり向き合った先に見えてくる進路は、より明確で具体的な目標となるのです。

「教科横断型授業」で、普段から「なぜだろう?」と考える姿勢を

演奏しながら波形を確認することで音とは何かを理解します

演奏しながら波形を確認することで音とは何かを理解します

「教科横断型授業では、複数の教科の教員が一緒に登壇して授業をします。例えば、中1の数学で図形を扱った後に、歴史とのコラボで『家紋』を作図する授業を行ったり、中3では音楽×物理として、ヴァイオリンの音の波形をオシロスコープで確認する授業を行ったりしました。今後、どの学年でも定期的に実施していく予定です。生徒たちは、理科で習ったことは理科の内容、社会の授業は社会の内容、と知識を教科で分断してとらえがちです。教科横断型授業を通じて、知識のつながりや物事を複眼的にとらえることを、生徒たちに意識してもらいたいと考えています」(入先生)
実際に、宿泊行事先で風力発電機を見て、その地域で風力発電が盛んな理由や発電量などを調べた生徒や、観光船事故の報道内容を疑問に思って自分なりに浮力を計算した生徒など、普段の生活の中で見聞きした事柄について「なぜだろう」と感じ、自ら調べて探究する姿が少しずつ出てきていると入先生は話されます。これはまさに、田園調布学園が育てたい「必要な力」の、「情報収集・整理・分析する力」や「課題を発見・設定する力」が体現された形です。今年度からの「探究」の授業化と、「教科横断型授業」の拡充で、これらの「社会で必要な力」の育成により磨きがかかる田園調布学園。「探究」「教科横断型授業」ともに、学校ホームページにて様子が紹介されていますので、ぜひチェックしてみてください。

 

※上記はNettyLandかわら版の抜粋です。全容はこちらをご覧ください。

田園調布学園中等部
[学校HP]https://www.chofu.ed.jp//
〒158-8512 東京都世田谷区東玉川2-21-8 Tel.03-3727-6121
最寄駅/
東急東横線 目黒線「田園調布駅」徒歩8分。東急池上線「雪が谷大塚駅」徒歩10分。

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