私学探検隊

革新的な教育を実践し将来の基盤となる豊かな心とスキルを育む

都内屈指の伝統校であり、未来を見つめた女子教育を展開している実践女子学園中学校。昨年度校長に就任した湯浅茂雄先生は、実践女子大学文学部長、大学・短期大学部学長、学園副理事長等を務めながら、長年実践女子学園を見つめてきました。その湯浅先生に、この1年の変化や教育活動の特長、そして生徒たちの様子をお話しいただきました。

高大連携と探究が進化多様な学びがさらに広がる
校長として1年過ぎましたが、その中で大きく発展したと感じるのが、高大連携と「未来デザイン」です。
昨年「実践女子10年教育」構想が始まり、中高大短連携の強化が加速しました。今までも高大連携を行っていましたが、学園全体で意思疎通を図ることで、結びつきがより強固になっています。今年の春には、事務職と教員の垣根を取り払い、FD・SD研修も実施。和気藹々とした雰囲気の中、グループで競い合いながら話を進める様子から、大きな可能性を感じています。また、以前から高校生が大学の講義を受講できる「科目等履修生制度」を導入していましたが、今年度より単位認定も可能になりました。
大学は研究所や専門的な先生など、設備や文化・人材資源をもっています。それを生徒の教育のために開放する。教育というのは環境や先生の力にも左右されますから、併設校だからできることを強みに、生徒にはより良い体験や選択肢を用意したいと考えています。
未来デザインは以前から展開していた持続可能な開発のための教育(ESD)に、本校のエッセンスを加えブラッシュアップした探究教育です。中学1年生から高校2年生まで取り組んでいますが、中学3年生のテーマを充実させたことでより体系化が進みました。それに伴い担当教員も17名から25名に増加。授業では答えのない未来の問題やグローバルなテーマを扱いますから、先生方も多様性がなくてはいけません。性別、年齢、教科の異なる先生が、それぞれの視点や力を発揮し協力しながら進めています。
また、これまでのESDの取り組みが認められ、渋谷区の中高一貫校で初となるユネスコスクールに認定される予定です。加盟校には情報や教材の提供がありますから、未来デザインを中心に本校の教育活動もさらに深化していくと思います。

実践らしい教育を続け思春期の心を豊かに育てる
発展とはやや異なりますが、昨年度からの変化といえば、今年度は教育活動のほとんどを例年に近い形で実施できていることです。新型コロナウイルスの世界的流行から3年、生徒には多くの我慢をさせてしまいました。思春期と重なる中学・高校生活は大切な時間ですから、本来の形で学校生活を送れないというのは、大変つらいことです。5月に中学1年生は日帰りの校外学習、2年生は泊りがけで移動教室を行いましたが、やはり行事があるとないとでは、生徒の様子も違ってきます。もちろん、生徒の健康は何にも代えがたいものですから、感染防止対策はかなり慎重に講じています。ただ、行事が多いことも特長のひとつですから中止や縮小は極力避け、実践らしい教育を続けていきたいです。

未来のスキルを培い磨く3本の教育の柱
さて、本校は基本となる教科教育に加え、「グローバル教育」「感性表現教育」「探究教育」という3つの柱をもっています。グローバル教育では、国内外での異文化体験・英語研修に加え、中学3年生から海外研修を実施。さらに校内には、国籍の異なるネイティブの先生が多数在籍していますから、日常的に英語に親しめ多様性を感じ学ぶことができます。
日本やその心を知る教育が感性表現教育です。日本の文化には相手を思いやり、その気持ちを表現する手法があります。専門の講師の方の指導や授業を通じて伝統文化を身につけながら、他者の視点で考える力、自分自身を知る力を育んでいます。
課題解決型学習の中で仲間と対話を重ねながら考えを深め、協調する力を養う探究教育では、表現活動も重視しています。最初は意見の違いに戸惑ったり、前に出て話すことを恥ずかしがる生徒もいますが、授業を重ねる中でお互いの違いを尊重し、自分の考えを表現できるようになります。先の未来デザインが探究教育の中心となっていますが、今年度から高校2年生の家庭科の中でSTEAM教育も始まりました。産学連携によるアクアポニックスづくりや、校地の植物を使った草木染に挑戦しながら、「なぜ、そうなの?」という疑問を、理科的視点や数学的思考を用いて分析します。
協調や他者理解は、よりグローバル化が進むこれからの社会で必要不可欠なものです。そして、自国の文化を理解し、自分のアイデンティティをもつことは、グローバルであることに繋がります。このように3つの柱が相互に関わり合う教育の中で、生徒が将来必要とされるスキルを磨いていきます。

革新的であるという伝統
教育の3本の柱、学びのすそ野を広げる高大連携と、本校は常に時代の先を見つめながら、未来に繋がるプログラムを展開しています。この方針は1世紀以上続く学園の伝統ともいえます。時代の先頭を切って女子教育に尽力された学祖 下田歌子先生は、伝統を重んじながら革新的な取り組みをなされた方です。特に女性の権利を主張する際には、男性と対峙するのではなく、世の中には女性が必要だということを伝えていったそうです。相手を批判して考えを押し付けるのではなく、受け入れてもらうために行動で表し言葉を尽くすという姿勢は、今の生徒にも継承されているように思います。

受け継がれる実践生の心と信頼からうまれる主体性
説明会でも毎回お伝えするのですが、本校の一番の自慢は生徒です。本当に皆、やさしい心をもっています。私が体調不良で学校を休み久々に登校した時には、「先生、大丈夫?」と生徒が駆けつけてくれました。相手を思いやり、それを表現することが自然にできるんです。また、挨拶もしっかりしています。入学当初はなかなか声が出ない1年生も、先輩であるお姉さんたちが先生や保護者の方に笑顔で挨拶する姿を見て、声が出るようになっていきます。挨拶ができるということは、きちんとけじめをつけられるということです。そのけじめは校外でも発揮され、中学2年生の移動教室の食事では誰一人しゃべることなく黙食し、お店の方に大変驚かれました。
このように本校の生徒は基本的な生活習慣が身についていますが、まじめ一辺倒というわけではありません。休み時間や放課後にはおしゃべりの声や笑い声が聞こえ、学校生活を楽しんでいる様子がわかります。学校生活を楽しめるというのは、良き友がいることも理由のひとつですが、学校や先生に対して信頼や安心感があるからです。その信頼や安心感は自己肯定感を高め、積極性や主体性という形で表れています。昨年度発足した生徒広報チームの〝JJ BLOSSOM〟には多くの生徒が参加し、活発に活動を続けています。今年の夏休みには、「生徒目線で学校の良さを伝えたい」「もっと受験生のお手伝いをしたい」という熱い思いから、生徒たちが企画し運営する「JJ BLOSSOM説明会」を開催しました。
中学受験を考えられているご家庭では、のびのび過ごして欲しい、多様な学びを体験して欲しい、良い友達をつくって欲しいと願ってらっしゃると思います。この3つは、どうぞ任せてくださいと、自信をもって言えます。ぜひ、説明会で本校の学びや生徒の様子を見て感じてください。

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「未来デザイン」とは
情報活用やリテラシーという探究に必要な基礎からはじめ、身近な問題から世界の問題と段階的に進めることで生徒の視野を広げ、多様な視点、思考力、協調力、表現力などのスキルを育成。集大成となる高校1年時の選択制修学旅行では、培ってきた力をもとに現地で活動を行い、事後学習に繋げています。

 

※上記はNettyLandかわら版の抜粋です。全容はこちらをご覧ください。

実践女子学園中学校
[学校HP]https://hs.jissen.ac.jp
〒150-0011 東京都渋谷区東1-1-11 Tel.03-3409-1771
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