私学探検隊

総合学習の意味合いをもつ英語の授業。日本文化体験との両輪で国際理解教育の礎を作る

地域でも進学校と知られる本庄東高等学校。とくに附属中学出身者は東大をはじめとする難関大学への合格者が多く、英語に関しては、「英語の学習は中学から始めましたが、中学生の時に英検2級を取れました」「中学の英語は、先生方にかなり鍛えられました」と振り返る卒業生もいるほど。「知性に満ちた人間力」をもつ人材と、世界で活躍する国際人の育成を目標とする同校の国際理解教育について、その根本を成す2本の柱「英語」と「日本文化理解教育」について紹介します。

①英語の授業
入学直後はアルファベットと発音から徹底的に学ぶ
英語の授業について、文法などを担当する英語科主任の中村由紀子先生と英会話を担当する野村ケイト先生にお話を伺いました。
「英語は週7時間、うち5時間が教科書を中心とした文法や読解などの授業で、残り2時間がネイティブの先生による英会話の授業となっています。中学での目標は『読む』『書く』『話す』『聞く』の4技能をバランスよく学び、基礎をしっかり身につけることです」(中村先生)
中1の1学期ではアルファベットと発音を徹底的に学びます。また3年間毎日小テストを実施。
「生徒一人ひとりを見ながら英語科の教員同士で話し合って指導しています」(中村先生)

英語劇 最初は「ムリです!」と言っていた生徒も多かったというが、挑戦してみるとこの笑顔

英語劇
最初は「ムリです!」と言っていた生徒も多かったというが、挑戦してみるとこの笑顔

英語劇に俳句やディスカッション… 興味深いしかけも数多く用意
野村先生の英会話の授業(中3)を見学しました。この日の授業は夏休みの課題となっていたBook reading。『トム・ソーヤーの冒険』や『O・ヘンリー短編集』など約30冊の中から1冊選び、選んだ理由や感想の下書きを清書する作業を行っていました。コメントはもちろん英語です。みなさん本を読み返したり、コメントを修正したりして、真剣に取り組んでいました。
「本を読んで知らない単語を調べ、自分の考えを発表する。これは英語だけでなく総合学習にもつながっています」(野村先生)
また、中1では英語劇に挑戦したり、「英語でダイレクション」という取り組みも。英語劇は狂言「附子」を題材にした「A Pot of Poison」で、英語だけでなく演技も要求。セリフを間違えれば最初からやり直しという厳しさです。また「英語でダイレクション」は、付き添い役の生徒が、目隠しをした生徒を英語で指示しながら案内するというもので、コミュニケーション力も養えるとか。
さらに中2では英語で俳句を作り、中3の3学期には英語でディベートにも挑戦。「過去には『埼玉県vs 群馬県』というテーマで議論を戦わせたこともありました。みんな“勝ちたい!”という思いから一生懸命に取り組んでくれます」(野村先生)
また、英語によるポスター発表も。総合学習も担当する野村先生は、「生徒たちにはいろいろなことに興味をもって知識を蓄えていってほしいですね。そのことが英語力をさらに向上させることにもなります」と思いを語ってくれました。

②日本文化体験
先人の思いまで受け取り、心で感じる
「国際理解教育の基本は、『自分たちの国・日本を知ること』」と考えている同校。自国の文化や歴史、伝統についての見聞を深めることは日本人としてのアイデンティティーを確立すること、国際社会に出たときの強みになります。そのため、日本文化を体験する機会が用意されているのです。
校内では茶道体験に箏などの和楽器体験が。また、1月には百人一首大会も実施されます。校外学習として古典芸能鑑賞などのほか大相撲観戦もあります。
さらに、中2では京都・奈良校外研修を実施。清水寺や東大寺などの神社仏閣を見学。「建物自体が街を作っていることが感じられました。また建物から先人たちの思いやメッセージを感じ取れた気がします」とはある生徒の感想です。また、「能体験」のほかに「写経体験」などの体験学習も。
心で感じる日本文化体験、英語の学習とともに同校の国際理解教育をより推進していくことでしょう。

 

コロナ禍でも生きた英語を学びたい!
TOKYO GLOBAL GATEWAY(東京グローバルゲートウエイ)で日頃の学びの成果を発揮
7月20日、中3の生徒は東京・お台場にある体験型英語施設TOKYO GLOBAL GATEWAY(TGG)に行きました。これは9月24日から27日まで山梨県で行われる英語の校外研修(Cultural experience camp)の予習を兼ねています。TGGではネイティブの先生が様々なシチュエーションでの英会話をサポート。コロナ禍で海外研修に行けない生徒たちにとって貴重な経験となりました。そんなTGGでの学びを齊藤巧磨くんと須川明(めい)さんに聞きました。
――TGGに行く前、事前学習はしましたか?
須川さん よく使うフレーズなどを教えてもらいましたが、実際にはそれ以上にいろいろなフレーズが多かったです。
――TGGではどんなことをしましたか?
須川さん TGGにはエアポートゾーン、ホテルゾーン、トラベルゾーンの3つがありましたが、私たちはホテルゾーンでの体験で、そこにはホテル、クリニック、グロサリーストアの3つのプログラムがありました。午前中はそこで会話をしました。たとえばホテルの受付では宿泊する日にちや人数、食事や部屋のグレードなどについて尋ねられました。また、スーパーでは買い物の練習をしました。
齊藤くん クリニックでは症状を説明しなければなりませんでした。僕はサッカーでぶつかって足を痛めたので「足が痛い」と訴えました。
須川さん 私はキャンプ場でハチに刺されたと説明しました。これらは班ごとに分かれて行いました。
齊藤くん 須川さんと僕はクラスは違うけれど、班は同じだったんだよね。
須川さん 初めてのメンバーだったけれど、和気あいあいとした雰囲気だったね。
齊藤くん そうそう、プログラム以外でも気さくな先生がいて、気軽にフレンドリーにいろいろ話しかけてくれるスタッフもいたよね。
須川さん ああいった何気ない会話も楽しめてよかったです。
――午後は何をしましたか。
齊藤くん テレビや新聞の班に分かれてニュース映像や記事を作りました。僕たちは、交通事故のニュース映像を作るという設定で、医師や運転手などにインタビューしました。
須川さん すべてアドリブだったので難しかったです。また、ネイティブの先生の発音も理解するのが難しかったです。
齊藤くん 最後にまとめるとき、重要なポイントを探すのに苦労しました。
――全体を通じての感想をお願いします。
須川さん 英語は得意なほうだと思っていましたが、発音や綴りをもっと勉強しなければいけないなと気づかされました。9月の校外研修ではこの経験を生かせたらな、と思います。
齊藤くん 僕は逆に英語はあまり得意ではないのですが、思い切ってしゃべってみたら意外と大丈夫だなと思いました。緊張せずに自信をもって話せたと思います。
――ところで、将来英語をどのように生かしたいと考えていますか?
須川さん 開発途上国など外国に行き、医療系の仕事に就いて子どもたちと関わりたいと考えています。そのためにも英語の学習を頑張りたいです。
齊藤くん 僕は将来、工学部に進み、エンジニアになりたいと思っています。そのためにも英語をもっと頑張って海外の人と関わっても困らないようにしたいです。とりあえず近い目標としては英検2級を取りたいです。
――9月の英語の校外研修、楽しみですね。ありがとうございました。

 

※上記はNettyLandかわら版の抜粋です。全容はこちらをご覧ください。

本庄東高等学校附属中学校
[学校HP]https://www.honjo-higashi.ed.jp/
〒367-0025 埼玉県本庄市西五十子大塚318 Tel.0495–27–6711
最寄駅/
スクールバス:JR湘南新宿ライン(高崎線)「岡部駅」から8分、森林公園、妻沼、藤岡、伊勢崎、籠原からあり。

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