私学探検隊

本物に触れる、世界を広げる。生徒向けの講演会を毎月開催

幅広いテーマで開催される月イチの講演会

高鈴は震災の被災地でも演奏を披露。そんなエピソードも聞くことができました。

共栄学園中学校では、13年より月に1回の講演会を実施しています。舞台となるのは、400人以上を収容できる自慢の講堂で、中学校の全生徒が参加します。その内容は、大学教授による研究成果の発表から一般の人を招いての講演、また演奏会など多種多彩。一見すると脈絡がないようにも思いますが、「普段の授業とは違うさまざまな経験を、生徒にしてもらいたいと思いました。リアルな話や本物の芸術に触れる機会を設けることで、刺激になればいいと考えたのです」と、教頭の松宮博先生が話してくれました。ちなみに5月の講演会はアコースティックユニット「高鈴」によるライブでした。プロによる生演奏を聴くのが初めての生徒も多く、ライブ終了後にはサインと握手を求める生徒が列を作ったそうです。
このほかにも砂漠緑化に取り組んでいる東京都市大学環境学部の学部長をお招きしたり、柴又で起きた殺人事件で娘を亡くされたお父さんによるお話など、さまざまな講演が行われています。前者の話を聞いた生徒からは「緑化作業に参加したい」といった声が挙がり、後者では「裁判官を目指したい」といった声が。またお話の途中で涙を流す生徒もいたそうです。

講演会を通じて、生徒の心にもさまざまな思いが

参加した生徒にもお話を伺いました。「講演会は家族も見に来ました。祖父母も毎回来るのですが、帰宅後に講演会の内容についてよく話をするんです(中学1年・岡田里菜さん)」「自分の知らない世界に触れることができるので、毎回とても楽しみ(中学1年・佐藤多美さん)」「動物が好きなので、生物学関連の人の話を聞いてみたい(中学1年・三谷恒太くん)」「殺人事件の話を聞いて、自分も急に家族を亡くしてしまったらどうするだろうと思った(中学2年・高橋優介くん)」「少林寺拳法部に所属しているので、武道をやっている人の話が聞きたい(中学2年・鈴木風香さん)」と、さまざまな感想を持ったようです。

生徒の心に種をまく、それが講演会の意義

ギターとボーカルのみのシンプルなユニットが逆に新鮮で、心に響いたという生徒たち。

生徒たちの話を聞いて感じるのは、この講演会で聞いたことや感じたことが、確かに大きな刺激になっているということです。今後も東証OBを招いての株式に関するお話など、バラエティに富んだ講演を行う予定とのこと。生徒からの要望のあるスポーツ関係者の講演も検討しているそうです。「普段の授業で学ぶことは、もちろん大切です。ただ、いろんな世界を知ることで将来の夢を見つけたり、新たなことに興味を持ったりすることも非常に重要だと考えています。そのきっかけを作るのも私たちの役目なのです」と語る松宮先生。この講演会は中学校の全学年が参加するので、次年度の講演会のためには新たな演者を探さなければなりません。先生の苦労も並大抵ではないようです。ただ、中学時代という多感な時期に感じたことは、その後の人生にも大きな影響を与えるはず。「生徒に興味という名の種をまく」という意味では、この講演会は非常に重要な意味を持っているのではないでしょうか。

共栄学園中学校
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