私学探検隊

「知る」ことを楽しむ人に。ノンフィクション中心の読書指導

読書を習慣化する取り組みで、ノンフィクションに着目!

校舎の中心にあるメディアセンター。休み時間や放課後をここで過ごす生徒も少なくない。

恵泉女学園は80年以上にわたり、聖書の教えをもとに女子教育に取り組んできた伝統校です。支持され続けているのは、創立者の掲げた「聖書」「国際」「園芸」という教育の柱を具現化し、人格形成に役立てているからでしょう。それを土台に、同校がめざす「知的好奇心と確かな学力を備えた女性」を育てるために、さまざまな取り組みが行われています。その一つが、ノンフィクションを中心とした読書指導です。
「読書が好きな生徒は多いのですが、生徒の読書傾向を分析すると小説に偏っていて、それ以外の本があまり読まれていなかったんですね。学年が上がるにつれ読書量も減っていたので、低学年のうちから、小説とは異なるノンフィクションの読書を積極的に働きかけることにしたのです」(メディア教育部長/前田憶良先生)

生徒の知的好奇心をくすぐる本選びで反応は上々

読書量を増やすのはたやすいことではありません。「読書の時間」(週1回15分)を中1・中2で導入。オリジナルの「読書ノート」を作り、読んでほしい本のリストや取り組み方などを盛り込みました。
もっとも力を入れたのは選書です。「たとえ良書でも、生徒にとって退屈なら、次につながらないですよね。読書が苦手な生徒もいますから、時間を忘れてぐいぐい読める面白さにもこだわりました」(前田先生)
いわゆる名著に頼らず、生徒の目線で、戦争・仕事・音楽・動物など幅広いテーマから満足感を得られる本をリストアップ。おかげで反応は上々。教室で本を読む生徒が増えて、知的な探求ができる人はかっこいいという雰囲気が広がりつつあります。

手にとって選ぶ楽しさ

書評は先生や生徒の生の声!今読みたい本がわかるノンフィクションのコーナー。

先生も積極的に読書する


先生も取り組みに参加。リストにあげた本を積極的に読んで感想カードを書く。


先生の読書スタイルを公開。読書がぐんぐん身近に!

学校を訪れたら、メディアセンター入口の掲示板をぜひ見てください。一見、雑誌のインタビュー記事のようですが、登場しているのは学内の先生。『かばんの中の一冊』『本棚拝見』といった切り口で撮影された写真はインパクトがあり、読書を生活の一部とし、常に学ぼうとし続ける大人への憧れをかきたてます。
先生が読書をする姿を生徒に示し、授業やホームルームでも意識して話題にすることで、読書が身近なものとなります。10代で読書を習慣化できるかは、その子が大人になってからの知的生活の質にも関わること。「知る」ことを楽しみ、もっと勉強したいと思う知的好奇心を育む上で、メディアセンターは心強い味方となってくれそうです。
「読書は社会に通じる“窓”。たくさんの窓を開けて現実に触れることで、視野が広がり、進路にもつながっていく可能性がありますよね。中1からノンフィクションを読み始めた生徒がどう成長していくか。これからがとても楽しみです」(入試広報部長/德山元子先生)

夏前に10冊を越えた生徒も

「1年読書ノート」には日本の読み物10冊、外国の読み物20冊、ノンフィクション20冊、絵本・写真集10冊を紹介。

感想を綴ったカードを教室内に掲示

カードは、教室に掲示。友達のコメントが本選びのきっかけになることも。明らかに本の話題が増えた、とHR担任。

恵泉女学園中学校
[学校HP]http://setagaya.keisen.jp/
〒156-0055 東京都世田谷区船橋5-8-1
☎ 03-3303-2115
最寄駅/小田急小田原線「経堂駅」「千歳船橋駅」徒歩12分。