探究心や問題解決能力を育む「理科自由研究」
疑問を大切に、自ら答えを求めよう
「見て、触って、確かめて、考える……。理科は机の上で想像しているだけでは学べません」と語る桜美林中学校の高地國盛先生。疑問を大切にし、常に自分で答えを求め続ける姿勢を育むために、演示実験も含めて、年間約30回もの実験を行っています。
さらに中学3年間、生徒たちは毎年夏休みに「理科自由研究」に取り組みます。「生活の中で感じた疑問を大切にし、自らその答えを求めること」を重視しているためです。
5月下旬から、生徒たちは準備を開始します。まず「計画書」の執筆に取り組みますが、これが一番の難関です。テーマの選定で悩む生徒がたくさんいます。自分がどういう分野に興味、関心があるのかを知ることが自由研究の第一歩です。
テーマが決まると、次は仮説を検証するための実験方法を具体的に書き出します。必要な器具や試薬品について、再び頭を悩ませます。ここで登場するのが「理科マスター」と呼ばれる先輩たちです。
先輩が後輩を指導する「理科マスター制度」
「理科マスター制度」とは、理科自由研究の優秀作品に選ばれた先輩たちが、後輩たちを指導してくれるチューター制のようなシステムです。中学3年生が1年生をサポートし、高校1年生が中学2年生をサポートします。
「2年前からこの制度を導入しました。先輩たちがどこまで指導できるか、不安もありましたが、自分たちの経験を生かし、ていねいにアドバイスしているのを見て、頼もしく思うようになりました。後輩をサポートすることで、自分の学びにもなり、責任感も芽生えるようです。マスターになるということが、生徒たちにとっても、誇りになっていると思います」と高地先生。
先輩たちのアドバイスをもとに自由研究に取り組み、プレゼンテーションを行います。聞き手はそれぞれの発表内容に対してコメントを書いて提出します。他者の意見を知ることが、自身の研究に対する良い振り返りの機会となります。計画力、課題解決力、プレゼンテーション能力など、生徒たちは理科自由研究を通して、さまざまな力を総合的に育んでいきます。
9月に行われる桜空祭(文化祭)で優秀作品が展示されます。昨年は「よく鳴る風鈴」「圧電素子を使った電子の研究」「コウジカビと塩麹について」といった作品が選ばれました。なかには模造紙30枚以上もの大作があり、大人も目を見張るような研究内容もあります。
生徒たちの様々な作品や研究論文はその学校の教育力を測る一つの指標ともなります。桜空祭でぜひ同校の生徒たちの多彩な研究内容をご覧ください。
桜美林中学校
[学校HP]http://www.obirin.ed.jp/
〒194-0294 東京都町田市常盤町3758
☎ 042-797-2668
最寄駅/JR横浜線「淵野辺駅」徒歩20分。「淵野辺駅」・JRなど「町田駅」からバス「桜美林学園前」ほか。スクールバス:京王線・小田急線・多摩都市モノレール「多摩センター駅」、「淵野辺駅」からあり。