私学探検隊

楽しいだけでなく、学ぶことも豊富 クラブ活動での体験は授業とは異なる成長の機会に

クラブ活動は生徒にとって学校生活の重要な部分を占めるもの。獨協中学校・高等学校でも多くの生徒が参加しています。今回は、サッカー部の神宮司親治先生と演劇部の柳本博先生、そしてそれぞれのクラブの生徒に、クラブの面白みや成長できた部分など、お話を伺いました。

「サッカーを通していい人間(おとこ)に」と語る先生。その理由とは?

「中学生の頃は先生の指導通りに練習をしていましたが、高校生になってからは戦術や練習方法を先生に相談するようになりました」と語る二村君に対して「高校生になると勝ちたい気持ちがより強くなって、自主性が出てくる」と神宮司先生

――サッカー部の指導で工夫している点はどんなところですか?
二村 獨協の場合、校庭にフルコートを取れるスペースがありません。平日の放課後は校庭を使い、日曜日にコートを借りたり、試合を組んで練習したりしています。
神宮司 練習場所もそうですが、高校生ですから当然勉強もあります。限られた場所と時間をやりくりして練習し、強くなっていく。その経験から、勉強でも計画を立てる習慣を身につけられるのだと思っています。
二村 確かに部活のある日は家に帰っても眠くなってしまうので、帰宅途中に予習復習をするようになりました。
――日々の練習だけでなく、学校周辺の清掃も行っているそうですね。
神宮司 はい。清掃は地面ばかりを見ていてもできません。高い場所の植栽に気を配ることや、道を歩いている人への配慮も必要。そうした「気付き」を生徒に感じてもらいたいと思っています。
二村 広い視野をもつことや皆と協調することなど、意外と清掃にはサッカーと共通する部分が多いです。
――そうした中で、先生は生徒たちに何を学んでほしいと考えていますか?
神宮司 一言で言うなら、サッカーを通して「いい人間(おとこ)」になってほしいということですね。
――いい人間(おとこ)、ですか?
神宮司 はい。学校生活で遅刻が多い生徒は練習にも遅れることが多い、あいさつができない生徒は部員との協調性が足りないといった共通項があると思っています。クラブ活動を通して、実社会でも役立つようなスキルを身につけてほしいですね。
二村 それはあるかもしれないですね。僕は朝練を始めるようになって、休日も早朝から起きて活動するようになったし、キャプテンに立候補したことで普段の生活にも前向きになったと思います。
神宮司 そうした前向きな姿勢が、大学受験という大一番でも力を発揮するんでしょうね。

全員攻撃・全員守備のチームワークが持ち味 高校サッカー部

創部から既に50年以上を数える、獨協の中でも歴史あるクラブ。顧問の神宮司親治先生も指導を始めて今年で19年目。中高が一緒に活動するクラブが多い獨協では珍しく、中学校と高校が別々に活動中。それでも中学3年生が高校サッカー部の夏合宿に参加することもあるし、ほとんどの中学サッカー部員が高校でも続けるそうです。練習場所も時間も限られている分、試合では全員攻撃・全員守備を貫いて、皆で一丸となって勝利をめざすのが獨協のスタイル。地区大会を突破して都大会へと駒を進めるのが、現在の目標です。

高校のキャプテンです。中学でサッカーを始めた時からゴールキーパー一筋です!(高校3年二村康介君)

試合には数多くの父兄が応援に来ている

校庭での練習はパス交換や鬼回しが中心

演技を通して自分を表現できるようになる生徒たち

――男子校で演劇部というと、演目も限られてくるのではないでしょうか。
柳本 そうですね。そこで私や部員が脚本を書いて、自分たちに合わせた作品を演じています。
守田 僕も中学2年次から脚本を書いています。脚本は多くの部員が書いて、その中からいいものを選び、皆で手直ししていきます。
――演劇部の場合、役者が練習を休むと部員全員に迷惑がかかってしまうから大変ではないですか?
守田 そうですね。でも、そのぶん責任感が生まれたと思います。
内海 休まないことが一番大事ですが、もし誰かが休んでもフォローできる体制を整えるようにしています。
――そういう苦労がある中で、どんな部分に面白みを感じていますか?
内海 演劇部は中学生も高校生も一緒に活動していますが、僕が中学生のときに出演した舞台で、高校生の先輩にほめてもらったことがとてもうれしかったんですね。だから部長となった現在は、なるべく後輩に声をかけようと思っています。
守田 僕がうれしかったのは、中学3年次に書いた脚本が受賞した時ですね。
柳本 たとえば『荒野と風と大空と』という舞台は西部劇。生徒たちはゲームなどでそうしたフィクションの世界を体験することはあっても、リアルな世界で体験することはない。演劇は、それを体験できる機会なんですね。その経験から、生徒は新たな自分というものをさらけ出せるのだと思います。
――演劇部での活動を通して、いろいろな部分が成長していくんですね。
守田 僕はもともと引っ込み思案な性格だったんですが、副部長に立候補するなど、人前に出られるようになりました。
内海 僕は小学生の頃は人見知りが激しかったけれど、友だちがとても増えたと思います。ほかのクラスの生徒にも積極的に声をかけるようになりましたね。
柳本 最近は上手にコミュニケーションができない生徒が少なくないのですが、相手の目を見て話せば気持ちは伝わることを、演劇から学んでもらいたいですね。
――演劇で学んだことが普段の生活にも生かされる、ということでしょうか?
柳本 演劇は総合芸術ですから、日々の練習や観劇だけでなく、普段の生活での経験が演技のプラスになるわけです。その一方で演劇での経験を通して相手の気持ちを察したり、感情を表現できたりするようにもなってくれたらと思いますね。

セリフの細かな言い回しも指導する一方で、
ときには生徒の思うように表現させることもある柳本先生。
練習は教室が中心ですが、音楽や銃声などの効果音も機材を使って生徒が担当

 

演劇部 その独自の世界観が演劇大会でも高評価

中学生と高校生が一緒に活動する演劇部には、現在約20名が在籍。全員が役者と裏方(音響を担当するサンプラーなど)を交代で担当。男子のみであってもオリジナルの脚本で独自の世界観を構築し、俳優座公演や韓国公演も体験。受賞経験もあり他校からのファンも多い。こうした高い評価と活発な活動の背景には、自身も高校などで演劇経験のある柳本博先生の情熱あふれる指導に拠るところが大きいそうです。普段の練習は教室や廊下で行うことがほとんどですが、そんなハンデをものともしない、笑いの絶えない雰囲気が一番の特徴といえます。

過去には全国大会や都大会に出場したこともある演劇部。「僕らの代はまだ地区大会どまりなので、ぜひ都大会に出たいですね」と内海君

左:副部長です。好きな俳優は、笑いの取れる大泉洋さんです!(高校2年守田立吾君)
右:演劇部に入りたくて入学しました。好きな俳優は、幅広くどんな役にもなりきる堺雅人さんです!(高校2年内海直希君)

練習場所の確保が難しいサッカー部、男子のみで活動する演劇部。どちらも制限がある中でも工夫をすることで、楽しみながら活動しています。そうした経験は自身の成長につながるだけでなく、学生時代の忘れられない思い出になるはず。生徒の皆さんのキラキラした表情が、何よりもそれを語っていました。

獨協中学校・高等学校
[学校HP]http://www.dokkyo.ed.jp/
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☎ 03‐3943‐3651
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