学べることの幸せに感謝し、自らの未来を切り拓く女性へ!
創立91周年の伝統の継承と理念の現代化
横浜富士見丘学園は、今から91年前に「自主自立の精神」を教育理念に、女子教育の先駆けとして設立されました。その後、関東大震災や戦争など、幾度も困難な時代を迎えますが、今もなお“学びの場”として存続しているのは、現理事長をはじめ、多くの大人たちに支えられてきたからです。
去る5月22日に行われた「創立91周年記念式典」で、松田由紀子校長は、全生徒に向かってこう話しました。
「今、みなさんが学校に来て、普通に授業を受け、学校活動ができるのも、今に至るまで学校のために、まだ見ぬ皆さんのことを想像しながら将来のためにと、献身的な努力を続けて来られた先人の方々の存在があったからです。当たり前と思っている今の環境に、感謝の気持ちを忘れてはいけません。」
今、日本社会では、女性を取りまく環境が大きく変化しています。けれども、どんな時代であっても、礼儀を重んじる心を忘れないのが、“富士見”の教育です。その心を持った上で、一人ひとりが幸せな未来を切り拓くための力を6年間で養って欲しいと考えています。
“富士見生”への第一歩 中1オリエンテーション合宿
4月、大きな夢を膨らませ、44人の女子が“富士見生”の仲間入りをしました。そして5月中旬には、富士方面で2泊3日のオリエンテーション合宿が行われ、“富士見生”への第一歩を踏み出しました。
合宿1日目は、松田校長の講話からはじまり、午後からは他人史の制作に取りかかりました。他人史の制作は、これから6年間共に学ぶ友達について深く知るきっかけになるだけでなく、相手に話を聞き、それをまとめ、発表するという一連の流れは、これからの学びに大いに役立つという狙いがあります。
ペアは1組と2組の生徒同士で組み、お互い相手に質問をしていきます。ここで大事なのは聞き出す力。最終日の発表で、まだその生徒のことをよく知らない人たちに、その人の個性や良さを伝えるには、相手のことを深く知り、理解しなければなりません。だからといって根ほり葉ほり聞くのも考えものです。生徒たちは、他人史の作成を通して、人に話を聞く時にはマナーがあり、相手に対する配慮が必要であることも学びました。こうしたコミュニケーションスキルを学ぶことで、多様性の社会を生き抜く力を養っていきます。
仲間を理解し、仲間と協力し合った3日間
2日目は、青木ヶ原樹海にハイキングに出かけました。ハイキングというとのんびりとしたイメージですが、実際は標高千メートルの丘陵地帯を6時間歩き続けるというハードなものでした。しかし、生徒たちは互いに助け合い、励まし合いながら、最後まで歩き切ることができました。この体験を通じて、これから6年間共に学ぶ仲間との間に連帯感が生まれたようです。
夕食後は、昨日から取り組んできた他人史のプレゼンテーションを行いました。一人ひとりが模造紙にまとめた紹介文に写真やイラストを加えて、全員の前で発表をしました。なかには初めての経験で緊張する生徒もいましたが、発表の内容は期待以上の完成度だったと、松田校長は話します。最終日には、優れた発表に表彰が行われました。
同校では今後もこうした体験を積み重ね、自分から発信できる女性になって欲しいと考えています。その背景には、近年、急激な少子化の進行で、これまで家庭経営を主としていた生活から、男性と同じように社会の直接の担い手としての役割が求められるようになったことが挙げられます。同校では、そうした変化を予見し、6年間の中等教育の中で、教科の学習にとどまらず、課題解決学習、探究型学習に取り組み、自らの生き方を自分で選択することのできる女性になって欲しいと考えています。
女性の活躍の条件は高い英語力と対話力
また、同校では、これからの女性の活躍の条件として、コミュニケーションスキルに加え、高い英語力を身につける必要があると考えています。現在、日本人の海外での活動は日常化し、国内でもグローバル化が進んでいます。こうした時代に対応していくには、従来の英語教育にとどまらず、中高生のうちから英語を“使う”経験をたくさん積まなくてなりません。そのための取り組みとして、今年度から多彩な英語教育プログラムを実施することにしました。全校生徒を対象にした「イングリッシュ・スピーチコンテスト」や、英語を使いながら、世界に目を向け、自分たちができる小さな国際貢献を考える「イングリッシュ・デイ」をはじめ、希望者を対象にした「イングリッシュ・サマーキャンプ」や、4年生必修の10日間のオーストラリア海外研修に3カ月間の短期留学をプラスするなど、生きた英語を学ぶ機会を積極的に増やしています。
セブ島で実感した幸せな環境 感謝の気持ちを忘れない
昨年から実施された英語プログラムで、大きな成果を挙げたのが、1年生~5年生の希望者を対象にした「セブ島英語研修」です。フィリピンは英語が第二公用語であるため、外国人を対象にした英語教育機関が充実しています。また、自然に習得した欧米人に比べ、小中高で自ら学んだ経験を持つ先生方の教え方は、日本人にわかりやすいと言われています。授業はマンツーマン体制で、事前にプレイスメントテストを実施し、個々のレベルに合わせたレッスンプランが用意されており、英語を習い始めたばかりの中1の生徒でも無理なく英語を習得することができます。今年3月には、1年生から4年生まで32名の生徒が参加しました。
研修は英語力の向上だけが目的ではなく、国際的な視野を持った女性を育成するために、貧困児童支援施設「子どもの家 ・ヒーローズハウス」を訪れ、ボランティア活動も行いました。生徒たちは、自分たちが滞在している快適な語学施設の外には、ノート1冊も手にすることができない子どもたちがいるなど、この国が抱える貧困問題を目の当たりします。そして、改めて、自分たちの置かれた環境が恵まれていることを実感し、両親に対する感謝の気持ちを持つようになり、自分にできることは何かを考えるようになりました。同校では、このように6年間の中等教育の中でさまざまな体験をさせ、自分で考え行動できる女性の育成を目指しています。
横浜富士見丘学園中等教育学校
[学校HP]http://www.fujimigaoka.ed.jp/
〒241-8502 神奈川県横浜市旭区中沢1-24-1
☎ 045-367-4380
最寄駅/相鉄本線「二俣川駅」徒歩12分。