私学探検隊

学園の独自性を生かした教育を展開 相模女子の新しい取り組みの数々

特進クラスの設置で進学実績もアップ

「音楽を通じての教育や食育も大事にしたい」と語る竹下昌之校長

2020年には創立120周年を迎える、現存する日本の女子学校としては4番目に古い相模女子大学。小学校から大学までが一つのキャンパスで学ぶという恵まれた環境を生かし、独自の教育を行っています。今回は、今年度から中学部と高等部の校長となった竹下昌之先生にお話を伺いました。
相模女子大学中学部高等部は、中学から入学する中高一貫生と、高等部から入学する生徒が混在します。「そこで教育内容も、一貫生と高校からの入学生という二本柱を取り入れています」と竹下先生。中高6年間のカリキュラムの場合、中学2年までを基礎確立期、高校1年までを充実発見期、高校3年までを発展挑戦期と位置づけてじっくりと指導。高等部では、学校行事、部活動、大学受験のすべてに全力で取り組める「進学コース」と、様々なサポートで難関大学受験に対応する力を身につける「特進コース」が設置されています。中高一貫生には、中学3年次に「特進準備クラス」を設けており、進路獲得に向けて、長い視野で考え、実力を熟成させていくことができます。また、「特進コース」では、高等部の入学生と混成のクラス編制となっており、互いに刺激を感じながらも、「受験は団体戦」の合言葉のもと切磋琢磨しています。完全な中高一貫校ではないことで、かえってフレキシブルな指導体制を組むことができる点が相模女子の特長です。
こうした進学クラス、特進クラスに分けての指導は8年目になりますが、昨年度の卒業生はお茶の水女子大学をはじめとする国公立大学や早慶上智といった難関大学に合格と、その効果は進学実績にも表れてきています。「また、卒業生が学生チューターとして自習室に指導に来るといった取り組みも行っています。中学1年生にとっては、初めて体験する定期試験の意味を教わるなど学ぶことも多く、リピーターが増えています」とのこと。そのほか、放課後補習に相模女子大学の学生がアシスタントとして入る取り組みは、大学までが同じキャンパスにあるメリットといえるでしょう。
このほかにも中学1年生が入学直後につまずくことのないように、基礎の部分を朝学習で徹底させるスタートカリキュラムなど、きめ細かな指導をしている点も特長といえるでしょう。

情操教育の成果が生徒の普段の行動に

中1と高1が必修の茶道(情操教育)は、作法だけではなく自分自身を見つめる機会にもなる

さらに、非常に効果を上げているのが情操教育であると、竹下先生は語ってくれました。「中学1年生と高校1年生で必修となっているのが茶道です。茶道はお点前を身につけるだけでなく自分自身を内と外から見つめ直すいい機会になり、それは生徒の日々の行動にも反映されています。何より私が驚いたのは、校長として最初に生徒たちに挨拶をしたときのこと。私が頭を上げても生徒たちはまだ頭を下げていたんです。こうした行動は相手のことを考えるからこそできることで、生徒の中に礼儀が息づいていると感じましたね」。
このほかに今後取り組んでいく予定であるのが、国際教育の分野です。現在でも海外修学旅行や語学研修などさまざまなプログラムを取り入れていますが、今後は留学生をキャンパスに招く2ウェイの国際交流も検討したいそうです。「今年度から小学部には、オーストラリアの児童がホームステイという形でやって来ます。今後は中学部や高等部でも、そうした留学生が各クラスで学んでいるようになればと思っています。隣に海外の人がいることを当たり前に思えることが理想ですね」。
次々と新たなことに取り組み、実を結び始めている相模女子大学中学部高等部。本当の成果が出るのは、まさにこれからなのかもしれません。

相模女子大学中学部・高等部
[学校HP]http://www.sagami-wu.ac.jp/chukou/
〒252-0383 神奈川県相模原市南区文京2-1-1
☎ 042-742-1442
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