私学探検隊

本郷中学校が取り組む生活力の育成

伝統ある男子校における家庭科教育

 JR山手線・都営三田線巣鴨駅を降りて徒歩で三分ほどのところに、人工芝の緑の鮮やかさが目を引く、本郷中学校のキャンパスがあります。本郷中学校は、1923年(大正12年)に創立された中高一貫の男子校です。例年、東大・京大・早慶等へ多数の卒業生を送り出す進学校です。

 本郷では「強健、厳正、勤勉」を教育目標として、学業のみならず、部活動にも積極的に取り組むように指導しています。中学校では九割以上の生徒が部活動に励んでいます。

 本郷では、かつて工業科やデザイン科を設置していた歴史もあり、実技教科の指導にも力を入れています。たとえば家庭科についても、実習施設の充実を図ったり、授業形態の工夫をしたりしながら、授業を実践しています。

 今回は、本郷中学校・高等学校で長らく家庭科を指導されてきた小高綾子先生に、本郷での家庭科教育についてお話を伺いました。

「本校だからこそ、家庭科が大切です。本校の生徒たちは学業にも部活動にも熱心な生徒が多く、知力と体力が伸びていきます。でも伸びが不十分で残念だと感じていることがあります」と小高先生。

残念だと感じることとは?

「『生活力』の成長です。知力と体力と生活力がバランスよく成長してほしいと思っています。社会で活躍する人たちは、特定の分野だけでなく、幅広い生活のことを理解しているからこそ活躍されているはずです。ですから、本校の生徒には、生活のことをよく知り、考えることを大切に授業を進めています。もちろん、料理や簡単な補修技術などのスキルも必要ですから、実習にも十分な授業数をとっています。」

担任と実習助手の2名体制でしっかりフォロー

 では本郷中学校ではどのような家庭科教育が行われているのでしょうか。

 授業は、通常の一クラスを二つに分ける分割授業を行っています。例えば定員42名のクラスは二つに分けるので、一クラスの人数は21人です。

「中学1年生には、小学校の家庭科とは全然違うという驚きの声をよく聞きます。社会と自分の生活を結び付けながら学習を深めていきます。少人数ですので、意見を発表したり、討論したりがとても活発に行えています。質問も多く、生徒の家庭科への興味の深まりが実感できます」(小高先生)

 施設は、調理用の実習室と調理以外(裁縫など)用の実習室があります。

「実習も大切にしています。作業の意味などを考え、試行錯誤しながら身につけたことは忘れないでしょうし、製作や調理で『先を見通す』という大事なことも身につけています。苦手意識を持っている生徒も多いですが、教員と実習助手の2名でサポートしています。上手に仕上げたいと熱心に取り組む生徒が多いのですが、どのようにすればいいのか丁寧に教えることができていると思います。」

体育祭や本郷祭では染物、縫物などアドバイスをもらいに来る生徒もいて、授業にとどまらず学園生活と連携した活動も行っています。料理同研究部の部員も多く、コロナ禍前の本郷祭では販売するスパゲッティや焼き菓子には行列ができていたそうです。

 「本郷の家庭科が生徒にとって、生活力をあげるとともに、自分の価値観やライフスタイルにつなげてくれると、とても嬉しいですね」(小高先生)

教員免許をとって、家庭科の教員になった生徒さんがいるそうです。生徒たちの生活や人生にも家庭科という教科がしっかりと息づいているようです。知力と体力に生活力。本郷中学ではバランスのとれた人間形成を目指しています。

調理実習の様子


※上記はNettyLandかわら版の抜粋です。全容はこちらをご覧ください。

本郷中学校
[学校HP]https://www.hongo.ed.jp
〒170-0003 東京都豊島区駒込4-11-1 Tel.03-3917-1456
最寄駅/JR・都営三田線「巣鴨駅」徒歩3分。JR・メトロ南北線「駒込駅」徒歩7分。

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