私学探検隊

ボクシングを通して養う“絆”と“集中力”鎌学ボクシング部の放課後に潜入レポート!

創部67年の伝統を持つ
中学生から入れるボクシング部
初夏には紫陽花があちこちに咲く風光明媚な北鎌倉駅から徒歩15分、ここ鎌倉学園では、2023年に創部67年を迎えるボクシング部があります。神奈川県内でもボクシング部のある学校は私立と公立合わせても6校のみ。取材時中学生1名、高校生6名の計7人が放課後に学校のそばにあるクラブハウスで研鑽を積んでいました。長らく高校生からしか入部ができませんでしたが、2019年から中学生も入れるようになったそうです。いったいどんな練習をしているのでしょうか。

学校から徒歩1分もかからない場所にあるクラブハウス内に、特注のリングを備えた本格的な専用練習場がある恵まれた環境

「アマチュアボクシングはダウンするまでやらず、ポイントで勝敗が決まります。つまり相手を倒すというより、合理的な体の使い方をしないとなかなか勝てません。そのため、基本的な形を覚える練習を大切にし、プラスいわゆるスパーリングなど実践的な練習を行っています」と顧問の鎌田先生。
自由なスタイルで練習していたボクシング部ですが、鎌田先生が顧問に着任した11年前から、競技性を重んじて“勝つこと”をひとつの目標にした運営方針に変更しました。

顧問の鎌田先生に聞く
ボクシング部とその魅力
「やっぱり“変わりたい”、“強くなりたい”と自分自身の成長を願って入部してくる生徒が多いんです。だから勝つ経験は生徒の成長には大切だと思っています。練習は正直ラクではありません。だからこそ、最後は自分に自信を持って引退・卒業していく選手たちばかり。OBたちはこんなにきついことは今までもこれからもない。受験勉強が楽に感じると話してくれますね(笑)」。

顧問の鎌田学先生。10年間野球部の顧問教員を務めた後、プライベートでボクシングジムに通い、その楽しさにハマったそう。日本スポーツ協会公認ボクシングコーチの資格を保有

ただ、ボクシングの練習は自分と向き合い続ける割とストイックな競技とあって、単調になりがち。モチベーションが上がらないと練習の質に関わってくる競技だからこそ、選手に対しては客観的かつ具体的にフィードバックをすることを大切にしているそうです。
「声掛けを頻繁にして、良くなった点などを指摘します。一回の練習を無駄にしないよう練習映像を残して自分自身で客観的に見られるようにしたり、Google Classroomで練習内容を書き留め1年前の自分の練習、自分が書いた反省をクラウド上でいつでも見られるようにして、モチベーションを保てる工夫をしています」
とはいえ、ボクシングと言えばパンチを繰り出す競技。保護者はさぞ心配するのではないか?という疑問にはこう答えてくれました。
「入部の段階で、生徒の安全をどう守るのかを書面にして保護者の方の不安を取り除くご説明をしています。ただ、ボクシングに限らず、鎌倉学園ではスポーツは危険と隣り合わせだという意識を関係者全員が持って運営しているので、幾重にも安全確保をしています」。
もうひとつ、アマチュアボクシングはダウンするまでやらず、いいパンチが当たったら倒れなくても一度止めるのだそう。ただボクシング部に入るために保護者を説得する生徒に対して、保護者が積極的に薦めるパターンも多いそうです。

先輩たちの雰囲気を見て入部
勉強への集中力を上げたい
中1の山本さんは、この4月に入部したばかり。文化部か運動部どちらに入るかを迷い、運動部に入ったほうが背も伸びると思いボクシング部の見学へ。「先輩たちの雰囲気が良くて、自分に合う部活だと感じました。実際に先輩は優しくていろんなことを教えてもらえています」。

唯一の中学生である中学1年生の山本陽斗さん。今のうちに上下関係を学ぶことができているのも有り難いと話してくれた

山本さんは勉強を始めとした様々なことに集中ができず、物事に打ち込むことが難しいと自覚をしていました。そんな自分自身を変えるために、ボクシングで集中力を養いたかったのだそう。
「腕立てなどの筋トレできついと思うこともありますが、そのハードさを乗り越えた時や、習得できた時は達成感があります。初めての定期試験でも9割取れる科目があり、部活の集中力が勉強にも影響してきたのかなと思っています。親も応援してくれていて、ボクシングを通して精神的な面で成長できそうだと感じています。ある程度習得できたら試合に出させてもらえると先生に聞いているので、頑張っています」。

勝った時の喜びはひとしお
ボクシングを通して学んだこと
お父さんが社会人になってボクシングを始めたこともあり、なじみがあったことから高校から入部したという佐藤さん。関東大会にまで出る実績をあげていますが、小学校や中学校からボクシングをやってきた人には試合に勝てず悔しい思いもしてきたそうです。
「メンバーと拳を交わして練習するのは、他の競技においてもないことだと思います。ボクシングを通して友情とも違う“絆”が育ったと感じています。厳しかったこともありますが総括すると充実したいい時間でした。試合に勝った時の喜びは、何にも代え難い。練習を怠けたい気持ちも出てきますが、やはり勝った時の喜びが勝ります」。

高校3年生で元部長の佐藤優太さん。関東大会に出場した経験がある。すでに引退しているが、たまに部活に参加して後輩の指導もしているそう

大変だったのは減量。1ヶ月で57・8㎏から52㎏に落としたことがあったそうです。「単純に自分の食欲を抑えなきゃいけないのが辛いですね。修学旅行にちょうど当たってビュッフェで調整したこともあります。上下関係がなく風通しがいい部ですが、やはり根性は必要です。ボクシングを通して根性がつきました。自分は根性なかったんで(笑)。コロナの影響でまともに練習できない時期もあり、今は部員が少ないのですが、強い意志がある人はぜひボクシング部に入って欲しいです」。
練習や試合を乗り越え、最後までやり遂げたという自信から、チャレンジ精神が養われていきます。試合で勝つこと以上に自分を信じられる力を持って卒業していけるボクシング部は、社会に輝く強く自信にあふれた鎌学生を輩出しています。

鎌倉学園 ボクシング部 練習風景
放課後の専用練習場で汗を流す選手たちをレポート。1日の練習時間は約2時間、17時半まで。週2日が休養日に当てられています。公認リングのある神奈川県立スポーツセンターで練習することもあるそう

新入生は先生とマンツーマンで基本のフォームを学ぶ

取材時にトレーニングに参加していた6名の鎌学ボクシング部員のみなさん。左から、山本さん(中1)、丹羽さん(高1)、前川さん(高1)、佐藤さん(高3)、吉村さん(高2)、神保さん(高2)


※上記はNettyLandかわら版の抜粋です。全容はこちらをご覧ください。

鎌倉学園中学校
[学校HP]https://www.kamagaku.ac.jp/
〒247-0062 神奈川県鎌倉市山ノ内110 Tel.0467-22-0994
最寄駅/
JR湘南新宿ライン 横須賀線「北鎌倉駅」徒歩13分。「北鎌倉駅」、JR湘南新宿ライン
横須賀線・江ノ島電鉄線「鎌倉駅」から江ノ電バス「建長寺」。

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