私学探検隊

改めて違いに気づき尊重し合える道を模索する、別学の男女協働

根づいた「話し合い」の文化
同校の放課後は実に賑やかです。生徒会活動やクラブ活動、体育祭・文化祭などの準備のために、男子部、女子部の校舎を飛び出して、キャンパスのあちらこちらで協働が始まるからです。

写真左から、水村璃子さん(副部長/オーボエ)、和田葵さん(部長/ユーフォニアム)、西入蒼弥さん(部長/サックス)

高3の和田葵さん、西入蒼弥さん、水村璃子さんが所属している吹奏楽部もその一つです。楽器の演奏技術を磨き、合奏によって一つの音を創り上げる吹奏楽部の活動は協働そのものですが、最上級生になると部の活動を円滑に行う責任を担います。同部には「話し合い」の文化があり、部長、副部長、トレーナー(合奏面の指示者)、パートリーダーなど、要職に就く人が参加する運営会議で話し合いを重ねて方針を決めていきます。
中学時代から学年リーダーだった和田さんは、先輩のアドバイスに学ぶことが多かった自身の経験から適材適所の役職決めにこだわりました。難航したという副部長の一角を担うことになったのが水村さんでした。
「副部長は主に部員や楽器の管理を行います。例えば会場への楽器の運搬など計画性を求められることが多く最初は苦労しましたが、部員の動きをよく観ることにより次第に仕事が手について、人のために頑張る楽しさがわかるようになりました」(水村さん)

甲子園応援

部員の約8割が女子という環境のなかで、和田さんは「男子が部の運営に関わることのありがたみを感じた」と言います。例えば久我山祭や定期演奏会では、観客の皆さんを楽しませる工夫の一つとして、TikTokなどで流行った踊りたくなる曲を演奏します。盛り上がる演目ですが、その企画に乗り気ではない男子部員が声をあげました。
「そこで対応策を話し合い、無理に参加を促すのではなく希望制にしよう、と決めました」(西入さん)
「女子は人数が多いので教室でも同期と話ができます。ある程度意見がまとまった状態で会議に臨むこともありましたが、男子から全く違う視点の意見が出てきたり、思いがけない箇所を指摘されたりすることがありました。そういうとらえ方もあるのか、と勉強になりました」(和田さん)
話がわかりづらい時は「相手に寄り添い、意図を汲み取るために質問を重ねた」という和田さん。そうした気づかいの中で「部長としての姿勢を正していくことができた」と西入さんも感謝します。

部長をやり遂げ意義を実感

定期演奏会

野球部の応援に出向けば、感謝の気持ちを言葉で伝えてくれます。吹奏楽部も礼を尽くせるクラブでありたいと願い、促しますが、和田さんは当初、後輩を叱ることができませんでした。嫌われるのではないかと心配で、自分が行動しなければ何も変わらないと開き直るまでに時間がかかりました。辛いことも多い1年でしたが、やり遂げてよかったと感じたのが、最後の定期演奏会でした。
「演奏が終わり、私が後輩に向けて伝えた感謝に対し、涙を流して『ありがとうございました』と返してもらった時に、部長を務めたこの1年の意義を理解できました。すべてがかけがえのない思い出です」(和田さん)
同校が謳う「きちんと青春」には、困難にぶつかっても目を背けることなく創意工夫してしなやかに乗り越えてほしいという思いが込められています。それは男女協働の真髄でもあります。同校を訪れる際には放課後の様子にも目を向けて、目に見えない力が育つ息吹を感じてください。

心に残る活動を教えて

西入さん 「高2の夏合宿です。後輩の演奏指導にいつもより時間をかけることができ、みんなで研究しながら成長できました。大学生になってもサックスは続けるつもりです」
水村さん 「春の甲子園です。誰かの(背中を押す)ために演奏する、すごい経験をさせてもらいました。吹奏楽部の部員であることが誇らしく思えた瞬間でした」
和田さん 「今年の定期演奏会です。最後の「ポップスメドレー」は、私たちが取り組んできた音楽の魅力や楽しさが伝わればいいなと思いながら演奏していました。その時に野球部の皆さんが、目の前で声を出したり手拍子をしたりして、めっちゃ楽しんでるよ、ということを表現してくださったことがとても嬉しく印象に残っています」

 


※上記はNettyLandかわら版の抜粋です。全容はこちらをご覧ください。

国学院大学久我山中学校
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