私学探検隊

新たな体験学習「鳴子スタディツアー」で、 社会課題に対して学問的にアプローチする学び

鳴子の森で木を切り倒し、木材再利用の現場を学ぶ

持続可能な社会に向けた探究学習「ESD」を導入し、横浜女学院では中1から高2まで多角的な探究活動に取り組んでいます。

その新たな取り組みとして、昨年10月に「鳴子スタディツアー」を実施しました。同校の教室で使用している机と椅子が宮城県大崎市鳴子地区の木材で作られていることから、無駄のない木材の利用について知り、社会課題に学問的にアプローチする2泊3日の体験学習です。

今回参加したのは高2の希望者約20人。鳴子の森で伐倒体験をするだけでなく、東北大学の施設で廃棄木材の有効活用を目的とした熱交換システムや再生可能エネルギーの最先端技術を学び、次世代放射光施設「ナノテラス」を見学しました。

「鳴子スタディツアー」を立案した教務部長・進路指導部長の鈴木俊典先生は、鳴子町を舞台に 「思いのある経済活動が未来を作る現場を五感で体感し、一つの課題の周りには密接に繋がっているいくつもの学問領域があることを実感する」探究活動であると話します。

現在高3の新井さんは、「環境や生物に関する法律を学んで、課題解決にアプローチしていきたい」と法学部を目指している。

このツアーに参加した新井南子さん(現在高3)の心に強く残ったのは、木の生命力を実感したことでした。「伐倒したばかりの木の切り株に触れると湿り気があったのです。教室の椅子や机は乾いた木材ですが、私たちは生きていた木の命をいただいていたのだと胸にストンと落ちるものがありました。リサイクルの大切さも強く感じました」

鳴子体験を基に、東北大学のアントレプレナーシップに参加

また、ツアー参加者の中から、東北大学が募集したアントレプレナーシップに「鳴子の活性化」をテーマにした2チームが参加しました。新井さんのチームは、ドローンを活用することで「関係人口を増やす」プランを提案。

「大人気のドローンは需要が急増していますが、操縦できる人が足りません。そこで、操縦を学びたい人と、自然豊かな研修場所や宿泊施設を提供できる鳴子を私たちが繋げることで、Win-Winの関係を構築できるのではないかと考えました」(新井さん)。昨秋の12月には再度、鳴子フィールドワークを実施。地域の人や大崎市役所、宮城県庁への取材を重ねて名産品から観光集客数までさまざまなデータを集めました。

「一生懸命調べて聞いて、地域にとって何が本当に必要か、実現可能か。地域の人が切実に求めるものを自分ごととして考える」(鈴木先生)プロセスを経て、メンターとしてついてくれた東北大学の院生とオンラインミーティングを重ねながら、生徒たちは半年近くかけてプランを固めていきました。こうした頑張りの結果、今年3月に東北大学で行われた最終発表会では、横浜女学院の2チームが見事、最優秀賞と優秀賞を獲得しました。

高1の宿泊体験学習として、「鳴子スタディツアー」を恒例化

今後は、「高2で文系理系の選択をする前に体験して進路の参考にしてほしい」と、「鳴子スタディツアー」を高1の恒例行事とする予定です。「自分の関心や軸がどこにあるのかを考えるきっかけになればいい」と鈴木先生。

同校が「育成したい生徒像」として定めた「6領域12コンピテンシー」の中に、「何事にもチャレンジすることができる」項目があります。「生徒も教員も、チャレンジする機運が高まっています。それを支えるフットワークの軽さも、本校の良いところだと思っています」(鈴木先生)。

東北大学の研究施設では再生エネルギーに関する最先端の技術にも触れた。

 ※上記はNettyLandかわら版の抜粋です。全容はこちらをご覧ください。

横浜女学院中学校
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