私学探検隊

スクールメイキングからソーシャルメイキングへ!

共学化スタートで
生徒主体の学校作りを!

専門家を招いてのワークショップや話し合いも頻繁に行われた

1921年、ジャーナリストでクリスチャンでもあった羽仁もと子・羽仁吉一夫妻によって創立された自由学園。教育は「社会をつくるもの」、学校は「自分の生を経営する」という考えから「生活即教育」を掲げ、学校をより良い社会をつくるための実践の場として104年に及ぶ歴史を紡いできました。
そんな同校が2024年4月、別学校から共学校としてスタート! 共学化するにあたり、生徒主体の新しい学校づくりに取り組んできました。学園長補佐の山本太郎先生に生徒の皆さんの奮闘ぶりについて、お話を伺いました。
「共学化に至った経緯としては、これからの社会や100年後のことを考えた時、やはり別学ではなく共学だろうということになりました。本校は“子どもたちが中心の学校”ですが、さすがに共学化は学校の意思で決めました。しかし、それ以降のことは生徒たちに任せました」
まず取り組んだのが校舎などのハード面。東京ドーム2.1個分の広大なキャンパスには風情ある歴史を感じさせる建物も多く、それらを生かす形で新しい学舎(まなびや)を検討。

2つの教室は簡単な仕切りで分けられている。また体育館だったため、天井も高く開放的なつくりだ(ラーニングコモンズ)

「有志の生徒たちとともに先鋭的な学校建築がある富山や金沢、群馬などに校舎の視察に行きました。また、公共トイレの第一人者などに話を聞いたこともありました」
こうしてリニューアルされたのが、体育館だった建物を2つ分の教室と自習できるワーキングスペースにしたラーニングコモンズ。また、女子部だった校舎は暗くて閉鎖的だったため、回遊式の廊下を作り、明るくするなど、生徒の意見を反映させた学舎が完成しました。

 

学校のルール作りでも
熱い議論が!

次に着手したのが、ソフト面としての「学校のルールづくり」です。ただもともと生徒手帳もない自由な校風。たとえばチャイムがないのも特徴で、チャイムの代わりに生徒たちが自らベルを鳴らして時刻を知らせているんだとか。

学校づくりの様子は「共学化新聞」で。具体的な意見も記録されている

「ベルの鳴らし方にも男子部と女子部で違いがあり、そういった一つひとつのルールについて合意形成が必要となりました。しかし、生徒たちだけだと限界があります。そこで外部からファシリテーターを呼んでサポートしていただきました」
男子部と女子部の間では、お互いのことを知るための話し合いの場も設けられました。
また、制服についても熱い議論が交わされたようです。「まず『制服の意義』について話し合ったところ、『管理の象徴』『軍隊のよう』といった意見のほかに、『中高生らしさの象徴』『社会から求められている』といったものまで様々な意見が出ました。最終的にはフォーマルな場面での『式服』を、それ以外は自由な服装でよいということになり、2024年度より『式服』が採用されました」

ルールは全校生徒で何度も議論を重ね、つくり上げていったものですが、「時代の変化とともにまた新しいものがつくられるかもしれません」と山本先生。最後に、「創立当時は人間中心の社会づくりだったと思いますが、これからの社会は“自然との共生”が課題となってくるでしょう。時代に合わせたより良い社会をつくる生徒を育てる。生徒たちには10年後の社会を想像して、現在におけるより良い社会づくりを学校で実践していってもらいたいですね。スクールメイキングからソーシャルメイキングへ。今回の学校づくりもその一環です」と語ってくれました。

 

※上記はNettyLandかわら版の抜粋です。全容はこちらをご覧ください。

自由学園中等部・高等部
[学校HP]https://www.jiyu.ac.jp/
〒203-8521 東京都東久留米市学園町1-8-15 Tel.042-422-3111
最寄駅/
西武池袋線「ひばりヶ丘駅」徒歩8分。

 

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