個人で、グループで、それぞれの進め方で行う探究学習
「自問自答プログラム」に今年から共同研究もスタート
二松学舎大学附属柏中学校は、総合探究コース、グローバル探究コースともに探究学習に力を入れています。その軸のひとつとなっている「自問自答プログラム」では、自分自身で見つけた「問い」を3年間かけて研究。最終的に8000字程度の探究論文『自問自答』にまとめて発表を行います。また、中3全員の探究論文が毎年1冊の冊子にまとめて発行されています。昨年度までは全員が個人で研究を行ってきましたが、今年度から数名ずつのグループで探究を行う「共創」(共同研究)も選択できるようになりました。今回は入試広報室長の平田立人先生と、個人研究、共同研究を行っている総合探究コースの中3の生徒たちにお話を伺いました。
南極に花、木材の透明化など 個性的なテーマの個人探究
個人研究を選択した鈴木千尋さんは、花が好きなことから「寒い地域に咲く花はあるのか? 南極に花畑を作ることにより、環境問題を解決することはできないか?」と考えました。そこで、冷凍庫で南極を再現し、そこに苗を植える実験をすることにしました。この実験は夏休みに自宅の冷凍庫で1か月くらいかけて行う予定です。花の種類は北極で咲く花を入手しようと考えているそうです。
一方、丸山陽輝さんは木材の透明化をテーマに取り組んでいます。丸山さんは科学同好会に所属しており、高校生の先輩たちにも相談してテーマを決めました。アメリカの大学が発表した木の板をガラスのように透明にした上で、ガラスよりも丈夫で優れた断熱特性を持つようにする技術を再現。水酸化ナトリウムと過酸化水素水を塗った木を太陽光に当てるという方法を学校の理科室で実験します。成功したら、ガラスやプラスチックに比べた利点や用途まで研究する予定です。
自然豊かな学校の環境を活かしたグループワーク
共創(共同研究)のひとつ、地域研究で「鳥と水」をテーマとするグループは、12人で研究を進めています。グループ全体のリーダーでもある吉川泰牙さんは「水」、小髙海翔さんは「鳥」を担当しています。同校のキャンパス内に多くの鳥が生息していることや中1で「我孫子市鳥の博物館」を見学したこと、校外学習「沼の教室」で学校の近くにある手賀沼の環境と歴史を学んだことをベースとし、さらに発展的調査を行い、地域の身近な社会課題に取り組んでいます。「鳥」の担当者は週に2回、校舎やグラウンドの周囲に生息する鳥を調べています。「グループで鳥の調査だけでなく巣箱も作るなど、地道な作業を積み重ねています。文化祭で中間発表がありますが、少しでも僕たちの研究に興味を持ってもらえたら」と小髙さん。一方、「水」を担当する吉川さんは「『沼の教室』で今の手賀沼があるのは北千葉導水ビジターセンターの方々の工夫があってこそだと知りました。そこで昔、沼が汚染されていた原因とどのようにして今の状態にできたのかを調査します」と話します。グループだからこそできる協力体制での研究がどのような結果をもたらすのか興味深いところです。「個人研究の生徒にはテーマをどんどん掘り下げ、その過程でさらに新しい課題に出合ってほしい。共同研究の生徒には校外学習などでやってきたことをさらに深めて新しい発見をしてほしいと考えています」と平田先生。多様なテーマ、進め方で「自問自答」し、学び続けることが生徒たちの成長につながっています。
※上記はNettyLandかわら版の抜粋です。全容はこちらをご覧ください。
二松学舎大学附属柏中学校
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最寄駅/JR常磐線など・東武アーバンパークライン「柏駅」から東武バス「大井」徒歩15分。
スクールバス:「柏駅」、東武線「新柏駅」、JR常磐線 成田線など「我孫子駅」から15分、「北総ルート」50分ほか。