「総合的学習の時間」に探究を取り入れ、人間性を育む
探究が持つイメージとは似て非なる方向性
「着実・勤勉・自主」の校訓のもと、人間性の育成と大学進学指導の二本柱で教育を行っている城北埼玉。同校では週に1時間の「総合的な学習の時間」を使い、主体的な学びに挑戦しています。探究推進チームリーダー兼高校フロンティアコース・カリキュラムマネージャー内野正幸先生が同校の取り組みと、教育に対する熱い思いを語ってくれました。
「『探究』をS.T.E.A.M.やProject Based Learningなどととらえているケースもありますが、本校では違います。探究を一つの科目ととらえておらず、どのような人間性を育成したいか、そのためにはどのような投げかけをしていくか、を起点にして手段にとらわれない学びを目指しています。『総合的な学習の時間』にはT.T.で担当する2名の教師だけではなく、多くの先生が自由に出入りしています。風通しの良い安心安全な環境づくりが学び舎には最も大切ですから。また、適切な内容を適切なタイミングで取り組むことを重視しています。ですから、中1の1学期は、新入生オリエンテーションの延長で『公』『共』『個』というテーマについて考えました」
生徒のみなさんは「公」と「共」というそれぞれの字の意味を調べるだけでなく、腑に落ちる言葉になるまで突き詰めて言語化し「公共」の意味について深く落とし込むための協働をしたそうです。
「社会に関心を持つ活動の一環として、新聞を教材にしたプログラムも実施しています。気になった記事をピックアップし、その記事に対して自分の意見を述べる、また記述する課題にも挑戦します。定番の取り組みと思いきや、最近は自宅で新聞購読していないご家庭が多く、新聞を見慣れていない生徒にとっては、むしろ新鮮に感じるようです」
まずは新聞を使うゲームで、紙面に慣れることから始めたとのこと。そのうちに新たな知見が得られる喜びを知ると、おのずと記事を読んでいく様子がみられたそうです。中1の城戸蒼大くんと清水湧惺くんに新聞の授業について聞くと、「気になったのは通園バスでの園児置き去り事件です。防止策についていろいろ考えました。また、実際に意見を文章にすると、そのニュースが記憶に残っていて、これは動画ではなかった経験です」(城戸くん)、「デジタルシチズンシップも別の授業で学びましたが、ネットの話題はデマもあるということに気づきました。新聞はきちんと取材しているので比較的安心して読めると思います」(清水くん)と教えてくれました。生徒さんの話を聞くと、探究での学びがゆっくりと浸透してきているようです。
学び続ける人になるために
「大学生になることを目的にせず、学問への探究心をもって高等教育(大学)の扉を開いてほしい」
それには中学生時代は試行錯誤して失敗を糧にしながら挑戦し続けることが大切で、そのための余白を確保してあげることが大人の使命と語る内野先生。
「人は『あれをやったらからこんなになった』という単純なものではありません。総合の時間を通して、自分を俯瞰する機会をもたせたいですね。やりたいことを見つけられれば幸いですし、見つからなかったとしても大学生、社会人になっても自ら決断して学び続けられる人になってほしいと願っています」
内野先生は、「教育の結果はすぐに出るものではないと思います」とも。目に見える結果はわかりづらいかもしれませんが、皆さんが現在進行形で成長していることは確かでしょう。
※上記はNettyLandかわら版の抜粋です。全容はこちらをご覧ください。
城北埼玉中学校
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