高大接続など外部との連携で視野を広げ、大学受験をゴールとせず、❝ほんものの自分❞に
一人ひとりを大切にする
教育で、自分らしく
浦和明の星女子中学校・高等学校は、埼玉県内で唯一のカトリックミッションスクールです。校名の「明の星」とはイエス・キリストの母である聖母マリアを表しており、「聖母マリアのように知性をはたらかせる、他者を思いやる、神のみ旨を求める、深く考え、よく気が付く、試練に立ち向かうことができる、などの姿勢を育成したい」という想いが込められています。同校の教育は「一人ひとりを大切にする」というもので、「人間は一人ひとり、神からいのち、存在を与えられ、その人固有の使命をいただいている」というキリスト教の人間観が根本にあります。人間は一人ひとり、かけがえのないいのちを与えられていることに気付かせることを同校では「一人ひとりを大切にする教育」という言葉で表しています。
同校は東京ドーム1個分の敷地に3つの理科実験室、12万冊の蔵書がある2階建ての図書館、天然芝の運動場、温水プール、全校生徒が集まることのできるパイプオルガンのあるホール、広々としたカフェテリアなど充実した施設・設備が整っていることも特徴で、自然環境も豊かです。教育内容も少人数教育などきめ細かく、手厚い指導を行っています。このように環境面を充実させつつ、それ以上に同校が大切にしているのは、生徒たちに自分の使命に気づいてほしい。そのために、自分を高めていく努力と、自分ひとりではなく、友達と仲良く協力しながら、社会の中で自分を育てていくことを意識してほしいということです。同校ではその想いを「正・浄・和」という校訓に表しています。この校訓はカトリック精神を要約し、教育方針を端的に表しており、「正」は「ほんとうの私として(正しく)、「浄」は「ありのままの私として(私らしく)」、「和」は「互いに助け合って(和やかに)」という意味が込められています。そして、それを実現するために「Be your best and truest self. (最善のあなたでありなさい。そして、最も真実なあなたでありなさい)」というモットーを掲げています。
将来の自己実現に向けて
きっかけを与える「種まき」
「教職員が理念として共有しているのは、本校の教育は種まきのようなものという考え方です。中高の6年間で結実しなくてもいい。みのり(教育の完成)は一生の課題と捉え、在学中に完成しなくてもいいと考えています。ただ、❝ほんものの自分❞とは何かを考えるきっかけになるような機会をさまざまな角度から与えています」と話すのは、広報部部長の髙野栄治先生。例えば、生徒会活動や部活動ではよい意味で生徒の自主性に任せて、責任を与えるようにしています。また、日々の学習においても「個」を尊重し、主体的に学び取っていく姿勢を育てています。高1必修の「理数探究基礎」では情報収集・整理分析・まとめ発表の知識・技能を身につけます。高2で「課題探究」を選択した生徒はその継続として個人による探究活動を行い、論文にして発表します。同校では授業以外でもさまざまな「種まき」をしており、例えば10月に行われる「修養会」では神父様のお話を聞いて、小グループで考えを分かち合います。11月の文化講演会では毎年、大学教授や研究者、宇宙飛行士、パラリンピアン、ジャーナリストなどの著名人を招き、生い立ちや現在の取り組みなどの話を聴いて、自分自身の生き方について考えるきっかけづくりをしています。
進路指導では高等学校卒業後の、その先を見据えたキリスト教的人間観に基づいた指導を行っています。「大学合格がゴールではなく、生涯を見据えた自己実現、❝ほんものの自分❞になるための指導を行っています。そのため、大学の偏差値やネームバリューによる進路選択ではなく、自分が本当にやりたいことができる、思い描く将来を実現するためには、どの道筋に行けばいいのかを、担任の先生を中心として、多くの先生が関わりながら時間をかけて探っていきます」(髙野先生)
夏休みに高1の希望者対象の
カナダ短期留学を実施
同校では毎年夏休みに高1の希望者を対象としたカナダ・ブリティッシュコロンビア州への16日間の短期留学を実施しています。カナダには同校の教育母体となっている聖母被昇天修道会の本部があり、この短期留学は1981年から実施されています。毎回、40~60名の生徒が参加し、現地の家庭にホームステイしながら「ロイヤルローズユニバーシティ」という大学で学びます。午前は一般の科目を受講し、午後からは好きな科目を選択して授業を受けます。選択授業は「持続可能性と環境問題を通して学ぶ英語」、「ドラマで学ぶ英語」、「発音スキルの向上」など6つのテーマの中から2つを選択します。授業以外にはカナディアンバディと呼ばれる現地の同世代の生徒と一緒に「ブッチャードガーデン」という植物園を散策したり、街中をウォーキングしたりとさまざまなアクティビティを楽しみます。そして、休日にはホストファミリーと過ごし、英語でのコミュニケーションや現地の生活、文化を体験します。
高大接続のその先へ
大学など外部との連携
同校では特定の大学との高大連携協定を結ぶのではなく、学校の内外でさまざまな大学や企業、組織などが実施しているプログラムを生徒に紹介し、それぞれが興味・関心のあるプログラムに有志で参加しています。
今年は9月に日本医科大学付属病院女性診療科・産科の川端伊久乃医師を招き、『出生前診断の現場から』というテーマで「生命倫理」について考える機会を設けました。川端先生には医師を目指した理由ややりがい、現場での苦労、そしてどのように出生前診断などの倫理的問題に向き合っているのかなどを話していただきました。検査結果が陽性時のご夫婦の葛藤やその後の判断、心のケアなどセンシティブな内容を出席者同士で分かち合い、大きな反響がありました。「講演後、出席した生徒たちに感想を書いてもらうと、『産婦人科医に興味があって参加したが、一人の女性として、このような検査を知ることができてよかった』など、自分の進路よりもその先を見据えるいい機会になったのではないかと感じました」(髙野先生)。
同じ9月には東京大学工学部長の加藤泰浩先生による『工学は未来を拓く』というテーマでの講演会もあり、中1から高3まで110名の生徒が参加しました。また、2019年から高校生を対象に日本学術振興会が主催するプログラム「サイエンスダイアログ」も導入。日本に滞在中の外国人研究者が、自身の研究や女性研究者としての生き方などに関して、英語で講義を行っています。質疑まですべてが英語で行われる講座ですが、生徒たちは「難しい内容だったが、英語で理解できて嬉しかった。英語学習のモチベーションにつながった」などの感想を寄せており、英語や理科の学習意欲向上につながっているようです。
埼玉大のHiGEPSや筑波大のGFEST、東北大の科学者の卵養成講座、そして東京大や宇都宮大などと科学技術振興機構(JST)が連携して実施するグローバルサイエンスキャンパスなどにも毎年20名前後の生徒が選抜されています。「このような取り組みを通じて、一人ひとりがかけがえのない存在で、自分にしかできないことがあるはずだから、それを見つけて、自分がなるべき姿になってほしい。いろんな刺激を与えて、何か一つでも心に引っかかることがあれば、その後の成長につながるのではないかと考えています」と髙野先生。一人ひとりを大切にする温かい雰囲気のもと、さまざまな気づきを与えてくれる6年間で、心も大きく成長できそうです。
※上記はNettyLandかわら版の抜粋です。全容はこちらをご覧ください。
浦和明の星女子中学校
[学校HP]https://www.urawa-akenohoshi.ed.jp
〒336-0926 埼玉県さいたま市緑区東浦和6-4-19 Tel.048-873-1160
最寄駅/
JR武蔵野線「東浦和駅」徒歩8分。