私学探検隊

“世界市民"の育成のため、4技能ではなく“5技能"の英語力を磨く

1940年に帰国生のために創立された啓明学園。その伝統のグローバル教育については本誌7・8月号でご紹介しましたが、今回は、国際生(帰国生)が3割を占める同校独自の英語教育について、英語科の木幡朝子先生に伺いました。

5技能とは何か?啓明学園の英語教育に迫る!

「知性を磨く」「世界を繋ぐ」「心を育む」を教育方針に掲げる同校ですが、英語教育でもこの3つを視野に入れた指導が展開されています。
よくいわれる英語の4技能とは、「聞く・読む・話す・書く」を指しますが、同校で指導するのは「5技能」。いったい、どのようなものなのでしょうか。
「本校には『世界を心に入れた人間を育てる』という目標がありますので、英語を通じて世界の問題を考え、解決する人間を育てるために、最新ニュースなど、さまざまな情報を提供することを心がけながら授業を行っています」と木幡先生。
今、自分たちが勉強していることが世界のどういうことにつながっているのかを知ることは、生徒たちの学びのモチベーションにもなります。
中高ともに英会話では、自分で考え意見をまとめて、発表する機会がありますが、たとえば高2のインタラクション(英語表現)では環境問題や死刑制度の是非についてまで踏み込み、ディベートを行います。
「インタラクションでは自分で考えるだけでなく、グループワークで意見交換をしながら、考えを確立していくという作業を行っています」
つまり、5技能目とはこのこと。英語で思考する力、それを表現する力のことを指しているのです。
「“思考力を育むアウトプット(表現)活動”といえるかもしれません」
“5技能”とはいうものの、5技能目は“テクニック”ではなく、他を受け入れる寛容性、また時には意見を戦わせて道を探る交渉力など、“マインド”の部分が大きいといいます。

はじめは英語の素養がない一般生も、刺激を受けて大きく成長

英会話の授業

英会話の授業では、自分の考えを英語で表現する機会を多く設定。発表の準備の際は、日本人とネイティブの先生が生徒一人ひとりに作文のアドバイスをしてくれる

中学は1学年約60名と、少人数制を敷く同校。ホームルームクラスは国際生と一般生が混合しますが、授業は国際クラス、一般クラスに分かれて実施。また、英語に関しては全学年で習熟度別クラス編制(国際生は2クラス、一般クラスは3クラス)をとっています。
「本校には、帰国生だけではなく、元帰国生や海外在住経験のある教員が多く、さまざまなバックグラウンドを受け入れる素地がありますので、逆に英語がうまくない子がいることも当然だという空気があります。でも、入学して1年も経つと、自信をもって話せるようになりますね。スピーチコンテストで、堂々優勝する一般生もいます。スピーチだけでなく、ジェスチャーでもアピールするのには驚かされますが、周囲から自然に学んでいるんだと思います」
英語力の高い仲間を目の当たりにしても、それを高いハードルと思わずにすむ環境があるためか、生徒たちの目も自然に世界へ。約100名の卒業生のうち、毎年5~6名が海外の大学に進学していますが、昨年度もアメリカのアーカンソー州立大学やハワイ大学、モスクワ大学などに合格者が出ました。
「英語力はもちろんですが、それよりも、知らない言語、経験したことのない出来事に直面したとき、どう対応すればいいのかを教わりました」と言った卒業生がいます。これこそ、同校の“5技能目”を端的に表している言葉ではないでしょうか。

中3以上は全員TOEFLを受験

中3以上の生徒(一般英語クラス)は毎年秋にTOEFL Junior®を全員受験し、各自の英語力の向上を確認しています。TOEFLは分野別にスコアが明示されるため、各自の実力とその伸長を知ることができます。このスコアから算出すると、「一般クラス」の高2生は60%以上が英検準2級以上のレベルを取得しています。なお、「国際英語クラス」は中1からTOEFL ITP®を受験しています。

 

※上記はNettyLandかわら版の抜粋です。全容はこちらをご覧ください。

啓明学園中学校
[学校HP]http://www.keimei.ac.jp/jsh/
〒196-0002 東京都昭島市拝島町5-11-15
☎ 042-541-1003
最寄駅/JR・西武拝島線「拝島駅」から徒歩20分。
スクールバス:「拝島駅」から6分、JR「八王子駅」から30分、京王線「京王八王子駅」から20分。
路線バス:JR「立川駅」から25分、「拝島駅」から10分、「啓明学園」下車。