新校舎建築に込められた、豊かな心と高い知性を深化させる「次の学び」
桐朋の校是を具現化した新校舎
来年、創立75周年を迎える桐朋は、いま新校舎を建築中です。すでに教科教室棟や中学棟が完成し、来年、光が降り注ぐファサードなどの完成をもって、すべてが完了します。
「本校は合議体の学校ですので、10年前に新校舎建築のための委員会を立ち上げました。向こう50~60年、どのような教育をしたいのか、その意思統一がなければ、校舎は設計できません」と、校長の片岡哲郎先生。
「桐朋が75年間大事にしてきたものは、やはり“授業の質の高さ”です。まず、本質的で体系的な学問の世界があって、その先にどんな世界が広がっているかというところへ誘うことができなければいけません」
天文台など本格的な施設・設備にも表れる、同校の“リアリティをもって本質をとらえる”ことへのこだわりは並大抵のものではありません。また屋外テラスや“関心ラウンジ”など、人が集まる場所を随所に設け、生徒が使い方を工夫できる余地を残しているのも、桐朋らしさといえるでしょう。
他者と共に、自立して道を切り拓く
そして、同校は21世紀を切り拓く「次の学びプロジェクト」を立ち上げました。ただ、これは新たなプログラムではなく、新校舎という具体的な形に込めた、「本質的な学問の探求」を旨とする同校の理念の再発信といえるものです。
そこに示されているのは、
❶ 学問を探求する
❷ 仲間と共に自立していく
❸ 次の時代の担い手になるために、自分を育てていく
という3つのキーワードです。
「『学びに対する主体性を育てる』、これは本校の校是だと思っています。そのポイントは2つです。1つは教員が生徒に知的な驚きを与えること。これがあってこそ、生徒の目は開きます。もう1つは、教員が生徒を認め、信頼し、評価する場面をつくることです。この2つが日常にどれだけあるかが、桐朋の生命線だと思っています」
シーン1 地学の授業 身の回りの事象すべてが教材
中学3年6組の地学の授業を見学させてもらいました。普通教室で行われた「断層」についての講義でしたが、導入は別の話から。「いま秋雨前線が停滞しているけど、エルニーニョ現象にちょっと触れておこう。“エルニーニョ”はスペイン語ですが、意味は知っていますか?サッカー選手の名前じゃないよ」
上原隼先生は、雨が続く天候を引き合いに、秋雨前線の話から始めました。上原先生をはじめ、同校の先生方は専門性が高く、研究者としても秀でた方がそろっています。話が展開するたび問いを投げかけ、話題は縦横無尽。じつに桐朋らしい授業でした。
シーン2 地学部の活動 素晴らしい設備に探究心が膨らむ
地学部の活動は月・水・土の3日間。取材した日はクラブ活動のない日でしたが、部長の小道雄斗くん(高2)と、清水聡太くん(高1)が協力してくれました。二人はPCを操作しながら、プラネタリウムの投影をしてくれたのですが、宇宙空間を飛び回ることができる“フライト”というモードを使ってスピード感あふれる宇宙旅行を展開してくれました。地球上から見た日周運動に始まり、木星に飛んで木星から星空を見上げ、そして太陽系を飛び出して2~3万光年先の世界へ。「宇宙の外に出ました」と、最後には宇宙の外まで連れて行ってくれました。
「小学校のときから星や宇宙が好きだったんですが、桐朋にはプラネタリウムがあると聞いたので、この学校の地学部に入りたいと思って。あとは自由で自主的な校風にも惹かれて入学しました」(小道くん)。「もともと理科系が好きでした。桐朋の理系クラブには化学と生物と地学があるんですけど、とくに地学部の設備に憧れて受験を決めました」(清水くん)
天文台も見せてもらいましたが、いまは周期的に明るさを変える“変光星”の観察・研究をしているのだとか。そんなときは、土日で泊まり込むこともあるそうです。
「とにかく星が好きで好きでたまらない」と、宇宙の虜になった二人の熱い思いが、ダイレクトに伝わってきました。
シーン3 その他たくさん!
誌面が限られているので、桐朋の魅力をここではご紹介しきれません。ぜひ説明会に足を運ばれ、ご自身の目でお確かめください。
※上記はNettyLandかわら版の抜粋です。全容はこちらをご覧ください。
桐朋中学校
[学校HP]http://www.toho.ed.jp/
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