「まとめて・書いて・発表する」力を鍛え、〝行動する哲人〟に育て上げる
中高一貫部を設立して5年目の千葉明徳ですが、教育の両輪に据えているのが「心を耕す教育(人間性の向上)」と、「文理両道のリべラルアーツ(学力の向上)」の2つ。そして、それを支えるのは中学で徹底して行われる「まとめて・書いて・発表する」です。同校の6年間は「発掘課程(中1・2)と「磨き課程(中3・高1)」、そして「完成課程(高2・3)」に分かれますが、今回は、中学の3年間を中心に、教頭の宮下和彦先生にお話を伺いました。
中1・2では新聞に、模造紙に。あらゆる場面で発信する力を育成
「本校では、授業はもちろんですが、学校生活のさまざまな場面に〝発言・発表〟のしかけがあります」と、宮下教頭は言います。
まず、中学3年間は朝の会で日直が1分間スピーチをします。これは行事などで見つけた課題をスピーチ原稿にまとめ、1分間で発表するもの。ほかの生徒もただ聞くのではなく、必ず質問をすることになっているとか。それが毎朝の光景です。
「最初は大変ですが、月に1回は順番が回ってきますし、中学の3年間続けることで、自分の考えをまとめ、発表する力がかなりついてきます」
また、同校は、「新聞」とだけ印字された真っ白なA3の用紙を常備しています。その「新聞」の文字の前に、生徒がそれぞれ調べたテーマを入れて、「理科新聞」や「美術新聞」、「消費税新聞」などを作るのです。
「文章だけではなく、どうしたら人を惹きつけられるかという、ビジュアル的に訴えかける工夫も必要です。この新聞は教科学習だけでなく、学校生活のいろいろな場面で作成します。たとえば体育祭が終わったら、『はい、新聞』という具合に(笑)」
また、中1・2で行われる「土と生命の学習」や「職業インタビュー」のように、模造紙の発表もあります。ここでは6~7名でのグループワークになりますが、2学年が混合することが特徴で、中2がアドバイスをして中1が動くという具合に、異学年交流の場にもなっています。
中3では集大成として、課題研究論文に取り組む
中1・2で〝まとめて・書いて・発表する〟ことを積み重ね、中3では8000~1万字の「課題研究論文」に取り組みますが、2年間の鍛錬の成果でしょう、「左利き誕生の理由」「源氏物語~光源氏が愛し、愛された理由~」「日本に原発はもう要らないのか」(昨年の論文より)など、なかなかの力作がそろいます。
さらに、高1になると総合の時間に行われる「自分を識る学習」へと発展。エネルギー問題など、解答のない社会問題をテーマに、議論を重ねながら考えを深めていきます。
中学では集団のなかでつながることを学びますが、高校になると自らつながりを築き、他者のなかで自分を知り、どう生きていくべきかと学びを深めていきます。そして、それを進路に結びつけていくわけです。
このように、同校では6年間をとおして〝自ら考え、発信する〟力を着実に育てていきます。
「社会に出ていくためには〝知〟を磨かなくてはなりません。ただ、知とは自分の中に受け入れるだけではなく、発信できてこそ〝知〟なのです。そのことを知り、実践できるようになってほしいと思います」
こうして、同校は生徒たちを〝行動する哲人〟になるよう育て、大学へ、そして社会へ送り出すのです。
「あたりまえ教育」で自主的に学ぶ姿勢を育てる
あたりまえのことをきちんとやる。それは簡単なことではありません。そこで同校は、「あたりまえ教育」として2つのことを実施しています。1つはノーチャイム制。もう1つは日誌をつけることです。1冊で1カ月分、6年間続けます。
自分で時間を管理し、予定を立て、振り返りをする。これは学習習慣や生活習慣を確立するために欠かせないことです。
「日誌は毎日回収し、担任が目を通して感想やアドバイスを書き込み、帰るときに返します」
※上記はNettyLandかわら版の抜粋です。全容はこちらをご覧ください。
千葉明徳中学校
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〒260-8685 千葉県千葉市中央区南生実町1412
☎ 043-265-1612
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