私学探検隊

〝自己表現能力〟を最大限に伸ばす英語教育。ゴールに不可欠な3つの要素を着実に実践

「異文化をもつ人と理解しあい社会に貢献する人を育てる」という理念のもと、英語教育に力を入れている聖ヨゼフ学園。英語科では高いコミュニケーション能力を目標に課題を3つの要素に分けて実践しています。具体的な取り組みについて、英語科の山嵜美香先生と有本エリカ先生にお話を伺いました。

まずは「自分の意見をもつこと」と「表現するツールを磨くこと」

「生徒が出会う英語を“生きた言葉”にすることにこだわって授業をしています。たとえば、よく言われることですが、“What is this? It’s a ~.”という表現を学ぶ活動では一目見て何かわかるような絵や写真は使いません。これは何か?と聞く必要がある事物を提示する、または状況を設定します。そうすることで、その問答が本物のコミュニケーションになると考えるからです」(山嵜先生)
伝えたいものがあってこそ伝えることが意味をもち、そこで初めてそのツールが生きたものになる。当然、少ない語彙では気持ちや意見を伝えにくいときもあります。
「地図と共に“○○はどこですか?と聞かれたときにどう答えるか”という問題で、道順の説明を書くところに“come with me!”とだけ書いた生徒がいました。やられた!と思いました。間違いではないので正解にしました(笑)」(山嵜先生)
たったひと言で解決してしまうことも立派なコミュニケーション能力だと評価した山嵜先生の裁量です。それも、語彙力や文法知識とともに重要な要素であるということです。

最も大切な三番目の要素「経験」。それをできるだけ多く与える

「スモールトーク」の様子

少人数制の授業で毎回行われている「スモールトーク」の様子。1年の後半から「多読」も取り入れ、高校の課題「速読」につなげる

「日本の英語教育で足りないものは経験を積む環境です。考えているだけでは乗れるようにならない自転車と同じで、英語も頭で考えるだけではダメです。実際に“使う”訓練が、何よりも大事です」(山嵜先生)
通常の授業では、ペアで意見交換を行う「スモールトーク活動」を毎回実施。「英会話」では1クラスを分割した約15人の生徒をネイティブの先生がそれぞれ担当することで、どの生徒にも十分な発話回数が与えられています。さらに今年度からは、高校生を対象としたスピーキングテスト「GTEC Speaking Test」を導入し、中3からチャレンジさせ強化を図っています。
「高校では、普段は引っ込み思案なのに英語では堂々と自己表現をしてくる生徒もいますよ」(有本先生)
昨年度も同校は、弁論大会、作文コンクール、レシテーション大会で優秀な成績を収めました。
3つの要素への取り組みによって生徒が能力を伸ばす背景には、生徒を温かく見守り、一人ひとりの「個性を大切にする」学園理念があることを強く感じさせられました。

「自分の意見を持ち、それを英語で表現する」ための3つの要素

自分の意見を表現する経験を積む
自分の意見を表現するためのツール(語彙・文法・論理展開)を身につける
自分の意見を持つ(物事に対して課題意識を持つ)

生徒の提案で始まった英語だけで行われるクラス終礼

有本先生が担任する高2Bの英語終礼。発案した生徒の一人、小泉結さんにその理由を聞くと「イギリス研修(高1希望者対象)で、海外の生徒に意思が伝わったときの感動をみんなにも味わってほしかったから」と、目を輝かせ答えてくれました。簡単なフレーズのみで表現する生徒も、個人の“伝える力”として尊重されます。同校の英語教育には、多くの育みが凝縮されているということを実感したクラス終礼でした。

※上記はNettyLandかわら版の抜粋です。全容はこちらをご覧ください。

聖ヨゼフ学園中学校
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