自分の考えを深く掘り下げるきっかけの場として 生徒と先生が協力し合いながら作る図書室
本は思考のスタート地点
多様な使い方ができるよう指導
廊下を歩いていると、生徒の調べ学習の掲示をあちこちで見ることができます。九州地方について、文豪の作者調べなどテーマはさまざまですが、共通することは1枚の紙が手書きでビッシリと埋められ、内容もバラエティに富んでいること。レイアウトにも工夫があり、どの生徒も与えられたテーマにじっくりと向き合って調べ上げたことが一目で分かります。学校の教育方針でもある生徒たちの「自ら考え、自ら学び、自ら行う」という精神がしっかり育まれているようです。その「自念自動」の秘密が図書室にありました。
「本校ではどの教科でもあなたはどう思うか、どうしたいかを生徒に問いかけます。調べたり書いたりする授業が多いのは、自分の頭でしっかり考えて欲しいからです。疑問は何かを知ってこそ生まれてくるもの。そのために与えられたテーマを深く考察できるよう、資料として本を上手に活用してもらいたいと思っています」とは司書教諭の久保文香先生。
ただし資料を使いこなすことは入学したての1年生にはなかなか難しいものです。そこで新1年生には春から図書室の使い方から丁寧に説明していきます。調べ学習の肝となる資料の集め方は、夏休みの宿題が出るタイミングで教えていくそうです。
「国語の調べ物にはまずは便覧が便利であることや、本の検索方法とネットでの検索方法の違いなどを説明します。2年生は9月に東北へ出かけるため夏休みに東北を調べる課題が出ます。ひとつでも疑問を持って出かけて、実際に体験して解決してきて欲しいので、まずは自分で情報を取りに行く方法を身に付けることを大切にしています」と久保先生。
コラボレーション授業でも参考図書を上手に活用
情報を探す作業は授業内でも取り入れられています。この日は図書室で自分の気に入った絵画を探し、感じたことを文章にする1年生の国語の授業が行われていました。このような資料を使う授業ではまず「絵画コーナー」を設けておくそう。担当教諭と情報共有をして絵画の資料を目に付きやすい場所に置き、まず入り口のハードルを低くして、次に書架を歩き回って本を探せるようにというアプローチ方法です。
「“次はこんな授業で、こんな宿題が出る”と生徒から情報をもらってコーナーを設けることも多いです。図書室に来ると今どんな宿題が出されているかが分かり、調べるきっかけが作れるようにしています。生徒の自治活動が基本の学校なので図書委員が発信をすることも多く、貸出や返却だけでなく図書室のPRをする仕事もあります。読書週間などのイベントではやりたいことを着実に実行していくので頼もしいです」。
インプットとアウトプットが日常に溶け込み、図書室がその一助となっている日本女子大学附属中学校。論文執筆やプレゼンテーション能力が自然と培われていくようです。
※上記はNettyLandかわら版の抜粋です。全容はこちらをご覧ください。
日本女子大学附属中学校
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最寄駅/
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