変化の激しい社会で立ち止まって考える「AI 倫理会議」
便利ならいい?AIと人間の共存を考える
キリスト教の教えに基づいた教育を行っている清泉女学院では、中高の6年間を通じて「倫理」の授業があります。授業では宗教的な内容だけでなく、現代社会をテーマにした倫理観のグループワークなども行っています。4年前に人型ロボット・ペッパーを呼び、『人間とAIとの共存は可能か?』という授業を行った時に、生徒達から「授業以外の場でもっと話し合ってみたい」という声が上がり、スタートしたのが「AI 倫理会議」です。
同会議は参加希望者の生徒の中から実行委員会を結成し、実行委員が中心となって進めていきます。主な内容は、AIの専門家による講義と、「農業」「教育」「医療」など5つのテーマ(毎年テーマは変わります)について分かれて考え、AI倫理憲章を作成する会議です。例えば「農業」がテーマであれば、AIを活用することのメリットとデメリットをそれぞれ出し合い、AIとどのように付き合っていけばいいのかを考えていきます。
学年・学校の枠を超えた中高生のための会議
同会議は中1~高3までの希望者が参加できます。おもしろいのは、他校の生徒も招いて行うことです。はじめは神奈川県内の学校のみでしたが、回を重ねるごとに広がりを見せ、今年3月に行われた第3回目の会議では、東京都の学校からの参加もありました。また、生徒達の要望で、「もっとたくさん話し合う時間が欲しい」と開催日を1日から2日に延ばし、学生達が学年や学校の枠を超えて、本音で話せる雰囲気を作りたいと、2日目の会議の日は制服ではなく私服で参加できるようにしました。
前回、高1の時に参加した角優子さんと内山芽衣さんは、「第4回 AI 倫理会議」委員会の委員長と副委員長。第3回の会議では「農業」について話し合うグループに参加したと言います。
「高齢化が進む農家にAIを導入するメリットはたくさんありますが、一方でお年寄りの方がそれを使いこなせるかといった課題が上がりました。物事を両側面から見るといろいろな意見が挙がり、自分の視野が広がりました」(角さん)、「日頃は他校との交流があまりないので、学校以外の同世代と語り合うことができて刺激になりました」(内山さん)と、とても有意義な時間を過ごせたようです。この会議の報告書は、「第3回 AI 倫理会議」委員会のメンバーがまとめ、後日、内閣府に提出しました。訪問時には上席政策調査員の方と2時間にも及ぶ座談会を行ったそうです。
そして、この夏から第4回目の会議に向けての準備がスタートしました。「次回はAIを研究している企業を訪問するなど、新たな試みをしたい」(角さん)、「今まで以上に参加者を増やしたい」(内山さん)、とその意気込みを語ってくれました。
※上記はNettyLandかわら版の抜粋です。全容はこちらをご覧ください。
清泉女学院中学校
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